先日、「こんな権威も何も無い医者の言うことが…」
「大学病院じゃないと…」
と捨て台詞を吐いて帰られた患者さんがおりました。
確かに「権威も何もありません」ので
そんなことに腹を立てておりませんが
その患者さんは私の「ある推論」にご立腹されたようです。
大学病院で「異常無い」と言われたのに、そのような私に問題を指摘されたので。
その患者さんは二度と当院には来られないでしょう。
しかしながら、ちょっと前に届いた検査結果が「私の推論」が正しかったことを証明していました。
大半の日本人が勘違いされているのですが
大学病院は全ての医療の頂点に立つ存在というわけではありません。
大学病院は研究、研修のための病院であり
「非常に珍しい病気」や「原因や治療法が研究中の病気」などを扱うためのところです。
かなり誤解されていますが、大学病院で研修すると、極一般的な病気の治療経験は皆無と言うこともあり
あえて市中病院での研修を希望する医師も多いものです。
「実地医家」と呼ばれる一般的な「開業医」は大学病院とは正反対に
「ごくありふれた病気」や「治療法がある程度確立された病気」を扱います。
1年に1回くらいは「特殊な病気かもしれない」という患者さんに遭遇しますが
その場合はすぐに大学病院など適切な専門病院に紹介します。
なぜならば、その直感が当たれば開業医レベルでは手に負えなくなるからです。
そういう意味では、実地医家は「何かおかしい」ということに気づき、適切な医療機関に紹介することが重要な役割で
その後の診断や治療はそれぞれの専門家がすれば良いことなのです。
実地医家たる開業医と大学病院は本来、役割や機能が全く違います。
諸外国はその分担が上手く機能しているのですが
残念なことに日本は…
大学病院の救急外来に「かぜ」で受診したり…
国民自体が役割分担を理解していないように感じられます。
もちろん大学病院やその他の大病院が
収益の面から本来の診る必要がない患者層も手放そうとしないところにも問題があります。
また紹介すると、大半の方は紹介先の病院の方が「良い病院」「名医」と思います。
最初に病気を見つけたのは私なんですけどね
私は患者さんが良くなってくれれば、別にどう思われてもいいのですが。
医療崩壊、医療費増大
いろいろ問題がありますが
解決するのは理論的には簡単です。
上述したことをやるだけですが、今となっては「面舵一杯」という風にはなかなかいかないでしょう。
脱線してしまいましたが
冒頭の患者さんのような病気であれば
開業医は、大学病院の先生の少なくとも10倍以上は診療経験があることでしょう。
(大学病院時代は特殊な経験もしましたが…
大学病院や研究機関でないと治せない病気があります。
安易な受診は避けてください。