帯状疱疹 その２ ワクチンについて

前回で帯状疱疹がどんな病気かはおおむね理解していただいたかと思います。

高齢になると、体が弱るとかかりやすくなる病気で、掛かった後の神経痛が非常に厄介だという理解で良いと思います。

帯状疱疹に罹患すること自体の確率を下げ、そしてもしかかったとしても、罹患後の神経痛を防ぐことが出来るのが水痘・帯状疱疹ワクチンです。

帯状疱疹のワクチンは２種類あります

 ■　帯状疱疹予防ワクチンの種類 

1)水痘ワクチンを流用する： 弱毒化ウイルスの 生ワクチン（国産）１回接種です。

2）シングリックス：遺伝子組み換え法の 不活化ワクチン（MSD社製）２回接種が必要です。

 ■　２つのワクチンの共通点 　注射で投与し，水痘・帯状疱疹ウイルスに対する特異的な免疫力を高めます。そしていずれも，50歳以上の方に使用できます．

 ■　違い，その１ --- ワクチンの効果 　「水痘ワクチン」はやや弱めです．60歳以上に使うと，帯状疱疹の発症がおおむね半減 し，帯状疱疹後神経痛は約1/3にまで減ります．「シングリックス」は非常に強力です．帯状疱疹の発症頻度は，50歳以上の試験で３～５％にまでに激減し，70歳以上でも10%程 度まで大幅に下がります。帯状疱疹後神経痛もそれに見合って減少します．

 ■　違い，その２ --- 副反応 　いずれも重篤な副反応はまれです．ただ，注射部位が痛んだり腫れたりします．これは 「水痘ワクチン」ではごく軽くすみますが，「シングリックス」はかなり強いのです．ま た，筋肉痛や疲労感，頭痛のような全身症状も「シングリックス」に多いようです．免疫 反応を強めるために配合されたアジュバンド成分がその原因と考えられています． 　なお，生きたウイルスを含む「水痘ワクチン」は免疫機能低下の人には使えません．

 ■　違い，その３ --- 価格と注射回数 　　

当院価格で （うちは安い方です、最安値保証はありませんが・・・）

「水痘ワクチン」 7000円 ×１回 ＝ 7000円

「シングリックス」 21,000×２回 ＝ 42､000円

 ■　どちらがよいの？ 　効果の差は明らかです．ただし，価格の差も大きいです。かかった 場合に，本当につらいのは帯状疱疹後神経痛ですが，シングリックスの場合ほぼ考えなくても良いレベルにまで可能性は低下します。水痘ワクチンでもある程度は予防できますが・・・・打って掛かったら、神経痛になったら悔しいですよねぇ。

　そして、効果がいつまで持続するか、今のところ長期のデータが無いので，追加接種の必要性が判断しづらいところです。しかし、50歳で打って100歳まで生き延びたらどうなるか？？そんなデータはあと半世紀ほどしないと出て来ません。多分余程長生きしない限りは大丈夫だとは思いますが・・・。