命のカウントダウン(健康余命3605日)

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ALS患者さんの急性呼吸不全 その1

2021-09-10 23:39:14 | 在宅医療
7年以上、ご自宅で療養中のALS患者さん。

この7年間、食事を摂られたことは一度もありません。それどころか、自分で呼吸された事すらありません。

栄養は中心静脈栄養
TPN(Total Parenteral Nutritionトータル パレンテラル ニュートリション)
という方法で、心臓近くにまで挿入されたカテーテルから濃い栄養液が24時間継続的に点滴されています。

呼吸は、気管切開を拒否されたので、鼻マスク、またはフェイスマスクを通じて侵襲的陽圧換気療法NPPV(Non invasive Positive Pressure Ventilation)という方法で人工呼吸を24時間継続されています
意識は・・・・ご家族は、眼周囲の動きで、明確に感じると言われるのですが・・・・私にはほぼほぼ99%感じることが出来ません。1%はご家族の言われる事を聞いたら、そうなのかなと思う時があるからです。

全くの寝たきりで、自分で寝返りを打つことも不能、自発呼吸ゼロ、食事も排泄も自力ではゼロの状態が何年も何年も続いています。
それでなのに、全身状態が長期安定しているのは、ご家族の献身的な介護、訪問看護の医療・介護が適切になされているからだと思います。

皆さまの予想とは真逆なことに、CVカテーテルの入れ替えなどの必要があって入院されると、状態が明確に悪化します!!!自宅では安定している病態が、入院すると悪化します。これは、病院関係者も認めざるを得ないので、認めていただいていると思っています。(入院されても、結局、ご家族が排痰などをされていました)

ご家族を中心とした、ご本人に対するスペシャルな介護体制が在宅医療介護の中で完成させられているからだと思います。

私は毎週月曜日に訪問診療しているのですが、今週の月曜(9月6日)は全く安定しておられました。全身から感じる雰囲気、バイタルサイン、血液検査データろれも全く問題ありませんでした。血液ガス検査(坂根医院は、在宅患者さんの血液ガスをその場で検査しております。相当にマニアックです!)も全く問題ありませんでした。動脈血液中の炭酸ガス濃度:42mmHgと上手く換気できていました。

それが、9日夕になって「酸素飽和度が急に上がらなくなりました」という電話をいただきました。酸素濃縮装置、5L/minまで使える機材を2台設置(10l/minまで可能)してもらっているのですが、6L/minまで上げてもSpO2:90%までしか上昇しませんとの事でした。

可及的速やかに往診しました。呼吸音を聞いてみると、両肺共に著明に呼吸音が減弱しています。すなわち、呼吸する音がほとんど聞こえませんでした。人工呼吸器はきちんと酸素化された空気を送り出しています。
動脈血液ガス採取すると、PaO2:73mmHg (SpO2:87%)、PaCO2は95.6mmHg と、換気が出来ていない状態。そしてPH:7.117と、とんでもないアシドーシスでした。

何が起こっているのか理解が出来ませんでした。分かるのは、上気道レベルでの気道閉塞があるのだろうという推測と低酸素血症、高炭酸ガス血症とそれに伴う著明なアシドーシスです。何が起こったと思われますか?

答えは分からないのですが、分からないまま、現在も在宅のままご健在です。
今後入院されないと思うので、急性呼吸不全の原因は分からないままだと思っています。

現在の治療は、ステロイド(デカドロン9.9㎎を2日連続で静脈注射しました)それと、抗生物質(セフトリアキソン2g+生食20mlを2日連続静脈注射)追加したほかは、以前の治療と変えていません。

呼吸に関しては、ご家族が独特な方法で補助されておりますが、それは次回以降で報告させていただきます。

とりあえず、今日のところは第一報です。
疑問やご意見、ご指導などございましたら、是非お知らせください。
色々な方面のご意見やご指導を得たいと思っております。




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