命のカウントダウン(健康余命3605日)

トレッキング、カメラ、陶芸、スキー、釣り、カヌー、遊びなら何でも大好き。仕事も好き、時間がない!

家に帰ろう 在宅緩和医療のすすめ

2020-07-19 23:23:34 | 在宅医療
家に帰ろう―医師による死に方のガイドブック

緩和医療と言うと、がんに対して抗がん剤治療など積極的治療が出来なくなって、やむを得ず選択する最後の道というイメージがあるようだ

誤解してますよ!と、言いたいけれど、誤解を解くのがなかなか難しい。

WHOによる緩和医療、緩和ケアの定義は、以下のごとくである

緩和ケアは、生命を脅かす疾患による問題に直面する患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的、心理的、社会的な問題、さらにスピリチュアル(宗教的、哲学的なこころや精神、霊魂、魂)な問題を早期に発見し、的確な評価と処置を行うことによって、 苦痛を予防したり和らげることで、QOL(人生の質、生活の質)を改善する行為である、としているのである。
Palliative care is an approach that improves the quality of life of patients and their families facing the problem associated with life-threatening illness, through the prevention and relief of suffering by means of early identification and impeccable assessment and treatment of pain and other problems, physical, psychosocial and spiritual.

要約すると
緩和ケアとは、命の淵に立たされた患者とその家族に対して、痛みやその他の諸問題に対応し、苦痛を予防したり和らげることで生活の質を改善すること

そして、緩和医療は、生活の質を改善することにより、生命予後そのものも改善することが報告されている。
https://diamond.jp/articles/-/214510 

ヒトはだれしも最後の時を迎える。私も、いつかは・・・・
脳卒中などで、長年寝たきりになるよりは、周囲の世話が必要な期間が比較的短いがんの方が良いのかなぁなどとも思ったりもする。
どれが良いか選択したところで、実際には選ぶことは出来ないのだが

比較的多数の方の死に際を見せてもらってきた私としては、痛みさえコントロールしてくれたら、がんは「上手く死にゆく方法」の一つだと感じている

痛みは、がんの出来る場所、転移する場所にもよるが、写真のような装置(PCAポンプ)を使ったりすれば、がんの9割以上は殆ど問題なくコントロールできる。コントロールの難しい症例が(5%以下だと思う)存在して、どうしてもコントロールが難しくて、意識を落とさざるを得ない場合がある。

私は、経験上5%を超えることはまず無いと思っているが、入院患者の半数以上に、意識を落とす治療をするホスピスもある。
内情を聞くと、その方が病院側に都合がいいからだと言う。眠ってしまっている患者は、文句を言わない!!!

難しい問題だとは思うけれども・・・・(患者さん家族もその方が良いと言われる場合もあるし、患者さん本人も望まれているのかもしれないが)
私は、意識を落とすのは最後の手段だと思っていて、出来るだけ意識下のコントロールを目指している。

どの方法を選ぶか、患者さん本人に決めてもらうのが最善だと思うのですが
そのような状態になった時に患者さんに的確な判断力が残っている事はほとんどなくて、かすかな意思の表明すら困難なことが多いです。
そういう場合は、ご家族と医療者で決めてしまわざるを得ません

ご家族に、「ご本人ならどう判断されるでしょうね?」と聞いた答えを実現するよう努力します
自分なら そんな時にどうしてほしいか、ご家族に話しておいてくださいね
これが、厚生労働省の言う「人生会議」です
このポスターは物議をかもしてしまいましたが、私は時代を先取りしすぎたのだと思っています。良いポスターですよ。




緩和医療は「最後にやむなく選択する」ものではなくて、人生の質を向上させるためのものであること

そして、何より尊重したいのは患者さん本人の意思であり、判断力が低下したり、意思が伝えられなくなった時のために「人生会議」と大上段に構えなくてもいいから、こんな時にはどうしてほしいか、身近な人に伝えておいていただきたい

がんの疼痛コントロールは進化しております。日本は麻薬消費量が西欧に比べてけた違いに少ないからダメダメなどという見当違いの意見もありましたが、アメリカは麻薬中毒患者が問題になっており、麻薬の消費を減らすことに懸命です。遺伝子の違いもあり、使用量の多寡で医療レベルを比較するのは乱暴すぎます。

日本の疼痛コントロールレベルは決して低くありません。特に在宅緩和医療のレベルは高いと私は思っています。(当たりはずれはあるようで・・・外れやったと言われない様、努力しております!)

がん末期の医療は、ご自宅の方が適しているのではないかと感じております。ご自宅に帰られたほうが、患者さんの苦痛レベルが下がり、自宅に帰ってきたことだけで、生活の質が改善し、食欲も出てくることもよくあります。
一般病院での入院治療、ホスピスへの入所、在宅医療 患者さんご自身の選択肢が増える事を祈っております。

そうそう、新型コロナウィルス関連で、面会させてもらえないからと在宅医療を希望される患者さんも増えてきているのだそうです。もっと積極的に希望してもらえた方が嬉しいのですがね!!


最新の画像もっと見る

コメントを投稿