湖のほとりから。

花と空と心模様を写真と詩と文に託して。

常滑焼との出会い

2019-04-13 23:30:00 | 日記
日本には各地の焼き物の里がある。
 
訪れた際は、出来るだけ
その産地に伝わる、これぞ、この焼き物!
と、言う風なものを残したくて
自分へのお土産には『お猪口』と決めている。
 
 
 
普段の生活食器や雑器
好んで求めることもある。
 
しかし、不思議なことに
常滑焼にまつわることが数回
 
その産地に行ったこともないのに
どう言うわけか家にあるのだ。
 
 
 
結婚したてのころ
大好きな叔母からシルクフラワーを頂いたことがある。
叔母からは、私の好みは聞かれなかったのに
そのシルクフラワーは、私の大好きなストックの花だった。
 
嬉しくて、どこに飾ろうと、、、。
いや、飾る前に花瓶でしょってことで
まだ、周辺の町にも慣れてないのに
とりあえず、花屋さんに飛び込んだ!
 
『花瓶が欲しいのですが
なるべく背の高いものをさがしてます』と
かなり年季のはいったオバさんに
訴えるように言ったことをいまだにおぼえる。
 
オバさんは
『さぁ、どれがいいんやろうね』って
花屋の奥に飾ってある花瓶に目をやった
 
私は、数個並べてあったのを一つ一つ遠目に見るようにして、一番脇に立っていたものを指差した。
 
『あれ下さい』値段も聞かずに言っていた。
 
オバさんは、けげんな顔をして
『あれでいいの? もう何年?何十年かな?
置きっ放しにしてあるんやつだけど、これでいいのね』
 
こっくりうなづいて、受け取った。
 
あのストックを入れられると思うと、より嬉しかった。
思った通りのものが手に入った。
お金を払う際、値段を聞いて『えっ!』
 
安すぎるのだった。
有難いけれど、それでいいのかと尋ねたら
もう随分と置いたままのものだから
値段が裏についてあるまでいいからと
その裏を見ると、値段と一緒に『常滑焼』と
書いたシールがあった。
 
オバさんは、
『品物は古いけど悪くないものだよ、正真正銘の常滑焼だよ、ちょっと珍しいかもしれない』と言ってくれた。
 
独身時代から友達と和歌山のあちこちの雑貨屋さんや、荒物屋さんで焼き物を見に回っていたけれど、茶器の急須以外の常滑焼をみたのが
この花瓶が初めてだった。
 
 
それが常滑焼との初めての出会いと言っていい。
 
 
2度目の常滑焼との出会いは、関東の外れ
茨城県の笠間だった。
その頃、生活も落ち着いてきて
少し、アロマなどと興味が出てきた時だった。
 
陶器のお皿部分に
水を入れ、精油を垂らし、温めると
匂いが広がって良い気分になる。
 
新しい作家さん達が集まるこの笠間なら
きっと見つかるはずだと色んな店を回っていたが
なかなか思うようなものが見つからなかった。
 
今のようにパソコンで品物を頼める時代ではないころのこと。
 
 
あと、一軒まわってなければ諦めようと入った店で、見つけたのは、『茶香炉』だった。
いわば、お茶の葉っぱを乗せて、下から温めると言う和のアロマ。
茶香炉の存在は知っていても初めてみるものだった。
 
『これ下さい!』
思わず興奮して叫んでいたように思う。
 
雰囲気、色、形、用途、、、。
これでいい。ほくそ笑む私。
値段は書いてあったので納得のお値段。
やったーと小躍りしたいくらいだった。
 
そこの店の主人と思われる方が出てきて
 
『本当にこれでいいの?笠間焼じゃないよ、それは、こちらも、珍しいからすこしだけ仕入れたから、そんなに個数は置いてないのだけど
常滑焼だよ』
 
『えー、笠間焼じゃないのですか?
常滑焼なんですか。けどいいです、これで』
 
 
何故か
私を待っていてくれたかのように
うちの子になってくれた常滑焼の2
 
 
私の嗜好が合うのか、呼んでしまうのか
わからないけれど
もう、何十年と手元にある。
 
 
茶香炉には
『雅』と言う字がくり抜いてある。
 
中村雅俊さんのマサでもあるし
みやびやかな『雅』でもある
 
この茶香炉は
茶葉をお皿に乗せて
下から温めると
すこーし香ばしく
優しくほのかに漂ってくる香り
 
ゆったりと、ホッコリと、
ちょっぴり、まさに、優雅な気分
 
 
思い出す不思議な常滑焼との出会い。
 
 
 
 


最新の画像もっと見る