私も最初は、
(もし詐欺師ならお金をくすねた途端に姿をくらますはずだ)
と考えて、本当に友達なのかと思ったのですが、10年以上返してくれないというのは尋常ではありません。
それもお金がないというわけではなく、わざわざお金の入った通帳を見せてくれて
「ほら、ちゃんとあるでしょう?明日こそ返すから」
などと言っておいて、その日になると都合が悪くなるというのです。
それでも、義母が「友達だ」と言うならどうすることもできません。
返すつもりがあると相手が言い、義母が納得しているなら、犯罪としては成り立たないのです。
詐欺に遭ったと自分で認めた途端、ショックでボケたりしたらよけいに困るので、
私も夫もその問題にはそれ以上触れずにいました。
もしかしたら義母は、いよいよお金が返ってこないので、私に老後の面倒を見てほしくなったのかもしれません。
それまではいつも、
「お金ならあるんだから、お前たちに老後の面倒はかけないよ。有料老人ホームに入って暮らすから」
と常々言っていたのです。
社交的な義母なら、ホームで大勢の仲間に囲まれて暮らしたほうが楽しいだろうと思って、私も感謝していました。
ところが貸したお金がなかなか返ってこない。
(自分が死んだ後で返ってきたら、お金が転がり込むのはこの嫁のところだ。
だったら、思い描いていた何不自由のない老後を実現するために、嫁に尽くしてもらう権利がある。
でもこんな不愛想な嫁では、自分が親戚に恥をかいてしまう。この際、口の利き方も叩き込まなければ……)
義母がそう思ったとしても不思議はありません。
普通に
「やっぱり老後の面倒を見てくれない?」
などと言えば、無遠慮な私に
「結局お金は返ってこなかったんですか」
と聞かれてしまう。それは避けたい。義母の考えでは、いつかお金は必ず返ってくるのですから。
(義母にはもっと敬意を払うべきだと骨の髄まで思い知らせれば、嫁は恐れ入って言うことを聞くだろう。
そのためにはぐうの音も出ないほど怒鳴りつければいいい)
と、義母は思ったのでしょうか。
それなのにいくら怒鳴っても私が恐れ入らないのを見て、義母は焦り始めたようです。
「おばあちゃんももうすぐ80なんだよ。医者には不整脈だって言われてるし。
心臓がどきどきしてくると、このまま息が止まるんじゃないかって思う時もある」
じわじわと泣き落としに方針を転換し始めました。
(もし詐欺師ならお金をくすねた途端に姿をくらますはずだ)
と考えて、本当に友達なのかと思ったのですが、10年以上返してくれないというのは尋常ではありません。
それもお金がないというわけではなく、わざわざお金の入った通帳を見せてくれて
「ほら、ちゃんとあるでしょう?明日こそ返すから」
などと言っておいて、その日になると都合が悪くなるというのです。
それでも、義母が「友達だ」と言うならどうすることもできません。
返すつもりがあると相手が言い、義母が納得しているなら、犯罪としては成り立たないのです。
詐欺に遭ったと自分で認めた途端、ショックでボケたりしたらよけいに困るので、
私も夫もその問題にはそれ以上触れずにいました。
もしかしたら義母は、いよいよお金が返ってこないので、私に老後の面倒を見てほしくなったのかもしれません。
それまではいつも、
「お金ならあるんだから、お前たちに老後の面倒はかけないよ。有料老人ホームに入って暮らすから」
と常々言っていたのです。
社交的な義母なら、ホームで大勢の仲間に囲まれて暮らしたほうが楽しいだろうと思って、私も感謝していました。
ところが貸したお金がなかなか返ってこない。
(自分が死んだ後で返ってきたら、お金が転がり込むのはこの嫁のところだ。
だったら、思い描いていた何不自由のない老後を実現するために、嫁に尽くしてもらう権利がある。
でもこんな不愛想な嫁では、自分が親戚に恥をかいてしまう。この際、口の利き方も叩き込まなければ……)
義母がそう思ったとしても不思議はありません。
普通に
「やっぱり老後の面倒を見てくれない?」
などと言えば、無遠慮な私に
「結局お金は返ってこなかったんですか」
と聞かれてしまう。それは避けたい。義母の考えでは、いつかお金は必ず返ってくるのですから。
(義母にはもっと敬意を払うべきだと骨の髄まで思い知らせれば、嫁は恐れ入って言うことを聞くだろう。
そのためにはぐうの音も出ないほど怒鳴りつければいいい)
と、義母は思ったのでしょうか。
それなのにいくら怒鳴っても私が恐れ入らないのを見て、義母は焦り始めたようです。
「おばあちゃんももうすぐ80なんだよ。医者には不整脈だって言われてるし。
心臓がどきどきしてくると、このまま息が止まるんじゃないかって思う時もある」
じわじわと泣き落としに方針を転換し始めました。