不登校の息子とビョーキの母

不登校の息子との現在、統合失調症の母との過去

不登校の息子が高校を卒業しました

2019-04-09 09:27:29 | 日記
不登校の息子がこの3月でめでたく通信制高校を卒業しました。

とはいえ、
「めでたさも中くらいかな?」
というのが私の偽らざる心境ではありますが……。

テストとビデオ授業の視聴報告書と最低限のスクーリングでほぼ単位は取れていたのですが、
他に特別活動の単位というのがありまして、オープンキャンパスや博物館へ行ってレポートを書くか、
読書感想文を書かなければなりません。

オープンキャンパスも行ったのですが、結局進学しなかった息子。
博物館に出かけるのもおっくうな息子。
読書感想文くらいしかできそうなものがありません。

「俺、何書いていいか分かんない。
本なんて面白かったかつまんなかったかだけじゃない?感想を書いてどうなるの?」

「いや、どうなるとかいうことじゃなくて……卒業の単位なんだから。これで高卒になれるんだから」

「あと1カ月で4冊だろ?信じらんない」
その遠い道のりを考えただけで、息子は心が折れてしまったようです。

「じゃ、1冊はお母さんが書くよ」

「お父さんも1冊書くよ」
最近はすっかり息子と仲よくなった夫も横から口を出します。

「わかったよ」
息子はしぶしぶうなずきました。

納得のいかないことは絶対にやろうとしない息子ですが、さすがに高卒資格は欲しいのでしょう。

子供たちが小さい頃、親が子供の宿題を代わりにやってやる親の話を見聞きしては、
(なんて甘い親だろう。宿題は自分でやらなきゃ子供のためにならないのに……)
と思って、決して宿題を手伝わなかった私です。

(これでいいのかなあ。いや、いいも悪いもあるか。
息子に読書感想文を強いる学校が、ひいては高卒を求める社会が悪いんだ)
無理やり自分を納得させて書きました。

私が書いたのは「『人間失格』を読んで」。

書き出しはこうです。
「僕がこの本を選んだのは、『人間失格』という題名にひかれたからです。
同じ年頃の友達のように学校に行けなかった僕は、自分のことを人間失格だと思っていたからです」。

作中で主人公は学校をさぼったり酒と薬に溺れたり、
心中を図って相手の女性を死なせ、自分だけ生き残ったりします。

私はこんなふうに文章を結びました。
「この本を読み終わって、僕はそこまで『人間失格』ではないと思いました。
もちろんそれは僕がまだ自分でお金を稼いだり、結婚したりしなくてもいい年齢だからかもしれません。
でも逆に考えれば、僕が人間失格になるかどうかは、これからどう生きるかにかかっているということです。……」

多分に母の願望の交ざり込んだ感想文を、息子は微妙な表情で黙々と原稿用紙に書き写していました。