不登校の息子とビョーキの母

不登校の息子との現在、統合失調症の母との過去

後悔しても取り返しはつきません

2019-10-06 09:19:08 | 日記
久しぶりの応援でしたが、二階にMさんの姿はありませんでした。

その後も何度か応援があり、一階にも行きましたが、やはりMさんはいませんでした。
二階で全然見かけないので、一階にいるものとばかり思っていたのに……。

じゃあ、一体Mさんはどこにいるんだろう。私は不安になってきました。
急にこの倉庫全体からMさんの気配が消えてしまったような、もの寂しい感じが忍び寄ってきたのです。

ある日私は食堂で、一人でお昼を食べているOさんを見つけました。
OさんはMさんの友達です。
最近冷たい目で見られるので勇気が要りましたが、私は思い切ってOさんに声をかけました。
「Oさん」
「うん?」
Oさんは振り向かずに答えました。
「Mさんって辞めちゃったんですか?」
と私は聞きました。
「うん」
Oさんはこともなげに言いました。
私の心臓は一瞬止まったかと思うとうるさいほど鳴り始めました。
Oさんの口調は(何を、今さら)と言いたげでした。
Oさんはちらっと私の顔を見て、
「なんで?」
と言いました。
「いつ?」
私は質問を無視して聞きました。自分の声が震えているのが分かりました。
「2月の半ばかな」

それは私が最後にMさんに会った頃でした。

Mさんが出勤簿置き場に現れたあの日。
あんなに前に、Mさんは辞めていたのです。
あの日、もし私が声をかけていたら、Mさんは辞めなかったのでしょうか……?

私は茫然としてOさんから離れました。

久しぶりに応援に行く時に
「そろそろいいでしょ」
と言ったKさんの言葉は、
(Mさんが辞めたショックから、もう立ち直った頃でしょ)
という意味だったのです。
私はマヌケなことに、Mさんが辞めたことを知りもしなかったというのに……。

冷たくしてしまったことを私は後悔しました。でももうMさんには会えません。
私はMさんについて、名前以外何も知らないのです。住んでいる場所も、派遣会社も。

Mさんは黒シャツだから、そう簡単に辞めないと思っていました。
何年か頑張れば正社員にもなれただろうに。
Mさんを辞めさせるくらいなら、私が辞めたほうが良かったのに……。

いくら後悔しても取り返しはつきません。


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