まくとぅーぷ

作ったお菓子のこと、読んだ本のこと、寄り道したカフェのこと。

新人パティシエちゃんの初クリスマス戦線異常だらけ

2016-11-15 23:18:38 | 日記
そんなわけで貴重なお休み(月に5日だけだもんね)を
一緒に美味しく楽しく過ごしたまゆちゃんから
帰りの電車で来るクリスマスの話を聞いた。

ケーキ屋さんのかき入れ時、クリスマス。
まゆちゃんのお勤め先は地元の老舗。
今年のクリスマスには7種類のケーキを用意。
うち一つは超プレミアム、1万円超えの限定7台。
他に4種類、それぞれ限定100台。
そしてその他2種、無制限っていうのがある。

それってもしかして全部で4桁いっちゃう?
そうかもしれませんねー。
スポンジは作りためて冷凍しないと間に合わないよね。
はい、もう作りためてます。

まだ1ヶ月以上先ですけれど。

でも生クリームは塗ったら冷凍はできないので
流れ作業でガンガン作る。
去年研修生だった彼女の仕事は
イチゴをひたすら選別してカット。
今年は何するの?と聞いたら

ナッペはこないだ試験に合格したんですけど
まだ遅いから先輩がやると思います。
私はイチゴ並べるとかですかねー。

ナッペに試験があるんだね。
はい、電話応対の試験に合格したらナッペに進めます。
同期の中では私が一番先に電話もナッペも合格したんですけど。

学生時代からケーキ屋さんでバイトしてた彼女は
電話で注文をとったり、ケーキの箱を組み立てたりは
すでに経験値を積んでいる。
だから一緒にやると同期の子の方が
お前なんでそんなに遅いんだ、って叱られるらしい。
比較されちゃうのもかわいそうだけど
そんなわけで同期の子は苦手意識もあり
電話はほとんどまゆちゃんが取ってるんだって。

それをやると作業が止まっちゃうし
相手によっては10分くらい喋るような人もいて
なんだかなあ、と思ってるところに
クリスマスケーキの予約電話が
殺到し始めるにあたり
同期の子に「お前は電話でるな」指令が出た。

ケーキの予約は、予約票に
必要な項目を手書きしたのち
それを業者に回してデータ化してから
予約日、引き取り希望日に合わせて
製作にかかるんだけど
その予約票の文字が
「お前のは汚すぎて読めないから」
っていうのがその理由で

まゆちゃんは先輩から
来月になったら電話の子機を
首から下げてやるといいよ、って
冗談とも本気ともつかないことを
言われてるらしい。

パティシエの道ってかくも険しいのか。


そっか、そんなら
お店に電話したらもれなく
まゆちゃんと喋れるのね
って言ったら

やめてください!
だって

食べまくりタボラータ

2016-11-15 21:52:51 | 日記

ドア開けた瞬間、ものすごいモーター音が出迎えてくれる
挨拶の声もかき消されるような勢いの向こうから
さらにその音をかき消すような
恵美さんの元気な声

あ!今日のアイドル!

いやいやそんなそんな

じゃなくて
アイドルは一緒に来た
まゆちゃんね

前回の私の日記を読んでくれて
ぜひ行きたい!けど一人では怖い!というので
会社サボって引率の私

今ね!ひき肉作ってんの!

ちゃんとしたお肉屋ならいざ知らず
スーパーなんかのひき肉は
クズ肉集めてチューブにしたやつが
原材料なのだそう
家でミキサーかけるなら、
脂の美味しいバラと赤身の美味しいモモが
ちょうど良く混ざっている切り落としがいいんだって

そこへモルタデッラ(ボローニャ風ソーセージ)
パルミジャーノ、卵、パン粉、牛乳を混ぜ
あろうことかぺろっと手を舐めて味見して
(前からやってたんだけど
プロはみんなやってると知って
堂々とやることにしたそうだ)
コロコロとミートボールを作る恵美さん

じゃあ簡単に自己紹介ね
今日はみんな短めに
なぜなら
私がいっぱい喋るから!

これこれ、この恵美ワールドに浸りに来たのだ

今日は全部で6人参加
ご近所にお住いの常連さんや
遠くからいらしてる方も

ミートボールには両面に小麦粉をふりかけ
フライパンで2面焼き付けてから
トマトソースで煮込む
イタリア人お得意の長時間じっくりゆっくり戦法
さらにそこへ大量のグリンピース
嫌いって人が多い食べ物だけど
ソースの旨みを吸い込んでとても美味しくなるんだって

次に、パスタのきのこソースに取り掛かる
乾燥ポルチーニなんて買ったことないけど
独特の香りがキッチンに充満してる
他のきのこはエリンギ、しめじ、マッシュルーム
なんでもいいけどマイタケだとポルチーニが負けちゃうらしい
マッシュルームは硬いほうが美味しいから
スーパーで買う時は店には悪いかもしれないけど
「押してみて!」と恵美さん
クニャッとしてたり、茶色い傷があったりしたら
買っちゃダメなんだって

今度その辺でマッシュルーム押してる人見たら
タボラータ会員の可能性高し

そして、きのこにはニンニクが合うのだと
北イタリアの人は信じてるんだそうだ

炒める時は高温、あんまり鍋をいじらない
ぐずぐず炒めてびしゃびしゃになったきのこと
高温で炒めて水分がうまく飛ばせたきのこでは
味がまるで違うのだそう

ポルチーニの戻し汁を鍋に入れる時は
そおっと運ばないと
沈んだ砂が混じっちゃうからね

って

もう思い出してタイプしてるだけで
ちょっとヘトヘトになってきたけど
恵美さんのパワーはこんなもんじゃない

人生で会った中でダントツ喋るのは
5時間ぶっ通しで新人研修やった前社長のDさんだけど
恵美さんは堂々の2位だな
でももしかしたらご一緒してる時間が5時間より少なかっただけで
24時間タボラータにいたら恵美さんがぶっちぎり首位かもしんない

ドライトマトの前菜、カマンベールの生ハム焼きを
いただいたらいよいよ
みんなでパスタ作り



もう出来上がってる生地を
マシンでのすだけなんだけど
これがなんだかとっても楽しい
生地は栗と卵の2種類
栗の粉、初めて見た
香ばしい香り、思ったより甘い香りはしない
恵美さんによると、単体差がめちゃくちゃ激しいんだって
今日のはなんかお醤油みたいな香りだねー、って

トスカーナでおなじみの栗の粉のお菓子といえば
カスタナッチョというものなんだって
恵美さんはあんまり好きじゃないから
タボラータでは作りません、って

どんなものだろう、と思って検索したら
栗の粉を水とオリーブオイルで溶いて
松の実とレーズンを散らして焼く、とのこと
どんだけ素材頼りなんだ、という簡素なレシピ

そうこうするうちに全てのパスタがカットされ
茹でるのは2分程度で
まずは栗のパスタからいただく


初めましての味でどうにも形容が難しい
生徒さんの一人が「森、だね」という
うん、そうだ、これは、
秋も深まってきた森の中を
雨上がりにトレッキングシューズで
落ち葉と黒土をザクザク踏みしだきながら
歩いてる時の香りだ

ってあんまり美味しそうに聞こえないか

卵のパスタも茹であがり
両方交互に食べてみると
おお、なんか栗、味わいが深いぞ、と思う

そこへどーんとミートボールが
イタリアではポルペッティと呼ぶそうだ


ふわっとやわらかいお団子で
そんなに大量に入ってないのに
モルタデッラの風味がきちんと効いていて
一緒に煮込まれたグリンピースは
言われたまんまだけど
ソースの味をしっかり含んでいて美味しい

食べながら、売ってる生パスタが
いかにまずいかという話になり
鎌○パスタのパスタがすげぃまずいという話になり
あれならサイゼの方がマシ、という発言もあり
さすが美味しいものが好きな人の集まるタボラータ
まずいものには容赦しない感が面白すぎた

お料理を教えていらっしゃる方から
「お菓子作れるのはすごいと思う」と言われ
「設計図があるのでその通りにやれば誰でも出来るので
 お料理の方が断然すごいです」と答えたら
設計図通りに作るというのがストレスになるのだそう
自分でレシピ書くにも、いつも適当に蒔いてるお塩を
トレーに蒔いた後一旦集めてスプーンに入れ直してたら
もう無理ー!ってなったので
「材料の名前だけ書いて、量は全部空欄にした」そうだ
同じ食べるものを作るのに人それぞれ
得意なアプローチが違うのが楽しい


ドルチェにパンナコッタ(栗のジャムがめちゃうま)
カプチーノを淹れていただいて
今日も大満足、大満腹の1日

恵美さん
ご一緒した皆さん
ありがとうございました!

そして帰り道
新一年生パティシエまゆちゃんの
悩める日々の話を聞きます(続く)