
夏からこっち、入り浸ってる感もある
某所 秘密基地
本気で遊べる大人が集まるところ
大将は我らがゾノさん
年末、ちゃぶ台カフェ爆発的繁盛で
若干おつかれ気味
前回参加したのは第一夜
土砂降りの雨のなか
ゲラゲラ笑いながら焼いて食べたハンバーガー
オーナー沼さんに
「なんで雨なのに集まってんの?そしてなんでみんな笑ってんの?」
とさすがに呆れられた会
でもねそう言いつつ沼さんだっていっぱい笑ってたよ
そして今回はまさかの大寒波
何しろ仕込んで行ったアップルパイの
生地もりんごも冷凍のまま全然溶けなくて
塗り卵をはけで塗ったら、バキバキ凍るという体たらく

アイスクリームなんか作業台の上に放置で問題なし
石窯の温度調節は自分じゃできなくて
石窯研究会のあきこさんとみっちゃんにお任せ
みっちゃんは胸にべいびいを抱きながら
重たい鉄の扉や真っ赤な炭をガンガン操る
なんともかっこいい女の子
あきこさんは温度計で入念に確認しながら
ほぼつきっきりで一緒に焼いてくれた
オーブンで作るみたいに
230度で15分、ってわけにいかないので
たまに扉を開けてパイの焼き色を見ながら
もうちょっとかな、そろそろかな、
よし!って出してお皿から外すと
ぱりんっと焼けた底生地の感触が
ナイフから伝わってきてちょっと感動
ザクザク切ったらすぐお皿に分けて
上にアイス乗っけてシナモン振って叫ぶ
「みんな!早く!取りに来て!」
わらわら集まってくれたみんなに配布
美味しい!って声が聞こえて
ものすごく満足
今夜のメインは、ゾノさん仕込みの
きりたんぽ鍋
さとみにゃんがご飯を半分突いて
菜箸にくっつけて作ってくれたやつ
パパのルーツが秋田なので
おばあちゃん家に行くとよく振る舞ってくれた
懐かしい味
ごぼうの土臭さとセリの青臭さは
子供の私にはちょっとしんどかったけど
鶏の出汁が染み込んだぐずぐずのご飯の塊が
それはもうおいしくてたくさん食べた
一緒によく出してくれたのが
ハタハタの米粒まみれのやつ
熟鮓だったんだと思うけど
お醤油ちょっとたらして食べると
悶絶するほどおいしかった
きりたんぽとか五平餅みたいに
ご飯粒を半分くらい残して突いたものを
半殺しっていうんだけど
れっきとした料理用語なんだって
で、これはもしかしたら
担がれたのかもしれないんだけど
いわゆるお餅のことを
皆殺しっていう地方があって
遠方から来たお客さんをもてなそうと
繰り広げられる会話
「今夜はどうすべえ、やっぱり半殺しがいいべかー」
「いんや、せっかくだ、皆殺しにすべえ」
な、なんか、やばいとこに来た?!
震えるお客さん 笑
そんなきりたんぽ鍋の他に
でっかい豚肉をダッヂオーブンで
じんわり焼き上げたローストポーク

さとみにゃんが切り分けてくれた
一切れが手のひらより大きい
みっちゃんは相変わらずべいびいを胸に抱えたまま
今度はオリーブ、野菜の乗ったフォカッチャを
石窯で焼きあげる
ほんのりガーリックが効いてて奥深い味
まいんち食べたい・・・
松本先生の作ってくれた
かりんシロップをお湯割にして
焚火の前で啜りながら
ドラマの時代考証の話をする
江戸時代の庶民の家に
白いお砂糖なんかあったのか?
お砂糖が貴重品だというのは
何も江戸時代まで遡らなくても
きりたんぽをよく食べさせてくれた
おばあちゃんがまさにそういう人で
お砂糖がふんだんに入ってる料理は
ものすごいご馳走、という認識だったらしく
おばあちゃんの作る
「超高級な豆ご飯」は
もち米をシロップで炊いて甘納豆混ぜたやつ
「いつもの納豆をより美味しく」は
納豆に醤油と白砂糖でぐるぐる搔き回す
一口食べると奥歯殴られたみたいになるけど
今となってはそれもノスタルジックな味覚
やっぱり松本先生が作ってきてくれた
お菓子教室の試作のニョッキ
おしるこ仕立てでほかほかいただいた
先生が私に向かって
「ニョッキってさー」
と言いかけ、
「あ、やっぱ、マエゾノさんに聞こうっと
ねえねえニョッキってさー、茹でたら一旦冷やすー?」
そりゃ料理のことは全然わかんないけどさー
もうそれもかなり定着してるんだからさー
その割には先生のうっかり振りが止まんないんだよねー
そろそろお片づけの時間
紙のお皿やコップや割り箸を
火にくべると
瞬間、ものすごい勢いで
真っ赤な炎が上がり
周りの空気が急にあったまって
鼻先にボワンと登ってくる
すごいな、火
昨夜も思ったけど
ものすごく当たり前のことなのに
実感する機会はとても貴重だ
あちこちにいろんな火があって
料理したり手をかざしたり
小さな火を大きな炎に育てたり
ただ周りをぐるぐる走り回ったり
喋ったり笑ったり
一人でぼーっとしたり
あ、これってつまり
生きるってことかもしれないなあ
なんて
大それたことを思った
そいでもっと大それてるのは
なんちゃってアップルパイを
堂々とお菓子の師匠に
振るまってる私
いつもあの手この手で
遊ばせてくれるゾノさん、さとみにゃん
気前よく基地を貸してくれる沼さん
一緒に遊んでくださる皆さん
ありがとうございます