不馴れな姿勢でギター抱えてたら、向こうからなんか企み顔でタカさんがやってきた。
GとDとCを教えてくれて、これを順番に繰り返してくださいって言う。たどたどしく弾くわたしにあわせ、美しいリードを鳴らしてくれたとき、とても嬉しくなってしまった。
曲はwonderful tonightで、わたしのギターがクラプトンモデルゆえのお誘いだった。
それが秋のこと。
そこからのわたしの自主練習の熱心なことといったら。とりあえず、家事しないでギター。だんだん、それじゃやばいなとおもいはじめてからは、一時間掃除したら一時間ギター。たった三つのコードをなめらかに音楽になるように弾くのがこんなに大変だと思わなかった。でもとにかく楽しいし、腕が良くなくてもギターそのものがとんでもなく良いものなので、響く音が心地よい。
そのうち生意気にもベース音を意識しながら弾いたりしはじめた。
アコギクラブの集まりで、隅っこのほうでタカさんと合わせる。りゅうさんがそれを見て、2月のライブで演奏してみる?と言う。せっかくなので乗ることにした。デュオの名前どうしようか?と話し合って、「Chantilly!」にした。クラプトンのいたバンド名creamからの連想ね。もっとゆるっとしたあわだてクリーム。
ライブまであと半月、というときに、「マーチン入院しちゃった」とタカさんから連絡が。ネックが逆反りしたので、湿度を管理した部屋でひとつきかけて矯正するのだそう。コールクラークでやります、というので、どんなかんじになるのかなと少し心配した。ところがわたしはライブ前の週に風邪ひいて最後の練習に出られず。新調したピックアップは本番当日に初めて装着するはめになった。ボディに穴あけるのがどうしてもいやで、コンデンサーマイクのついてるクリップをサウンドホールにひっかけるタイプ。
そして当日、爆音ユニットの直後の熱された空気をすこし醒まして、wonderfulなtonightがはじまった。
こんなにたくさんのお客さんの前でやるにはあまりに下手なわたしだったので、申し訳なさ半分と、楽しくて嬉しい気持ち半分と。
タカさんのコールクラークはキラキラしたソリッドな音でとても気持ちよく、わたしはそれを特等席で聴けた。
打ち上げセッションでは、タカさんがわたしのギターでtears in heavenを演奏してくれた。インスタントなコーラスをやらせてもらった。ちゃんと弾ける人が鳴らすとこんなに素敵に響くんだなぁ。もっとわたしもがんばらなきゃ。そう思う反面、むしろ弾かずにハモってたらいいんなら最高じゃないか、なんて思う。いや、それだめだから。
重岡さんが録画をCDに焼いてくれた。自信の無さが音量に表れているけど、とにかくとても楽しそうに弾いてるわたしだった。人前でやるにはまだまだだけどね。他の演者さんのパフォーマンス、さすがだな。
そして実はその日、別のユニットにも参加したんだけど、その話はまた。