いよいよ今年もあとわずか
今年も多くの巨星が失われたた年でした。
このブログでも
4月23日 ミルヴァ(伊・歌手)
7月20日 フランソワーズ・アルヌール(仏・女優)
8月17日 笑福亭仁鶴(日・落語家)
9月23日 ジュリエット・グレコ(仏・歌手)
などを取りあげましたが、記事にできなかった著名人として他にも
1月21日 ナタリー・ドロン(仏・女優)
2月5日 クリストファー・プラマー(英・男優)
3月2日 クリス・バーバー(英・演奏家)
5月29日 B・J・トーマス(米・歌手)
9月2日 ミキス・テオドラキス(希・作曲家)
9月6日 ニーノ・カステルヌオーヴォ(伊・男優)
9月6日 ジャン・ポール・ベルモンド(仏・男優)
9月24日 さいとうたかを(日・劇画家)
などが惜しまれながらこの世を去っています。
中でも、さいとうたかをさんは本来ならばこのブログで取りあげたかったのですが、
折悪しく、訃報記事が重なりすぎたこともあって記事にできませんでしたので
ここにあらためまして、さいとうたかをさんを追悼したく存じます。
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『さいとうたかをさんを偲んで…』
★さいとうたかを (1936.11.3~2021.9.24)
本年9月24日、劇画家のさいとうたかをさんがお亡くなりになられました。
あらためまして心から哀悼の意を捧げさせていただきます。
思えば…
昭和50年代、男子向けの児童漫画は、手塚治虫、横山光輝の両巨頭の作品が主流で、
登場人物はたいてい三~四頭身でした。
しかし、その表現に異論を唱え、さらなるリアル感を追求すべく生まれたのが劇画です。
やがて同志が集まって『劇画工房』が誕生し、雑誌『影』や『街』を舞台として発展していきます。
メンバーは、さいとうたかを、佐藤まさあき、K元美津、山森ススム、辰巳ヨシヒロ、桜井昌一、
松本正彦、石川フミヤス(敬称略) 註・『劇画工房』の後期には水島新司も
当初は、漫画の域を出ない作品も多かったのですが、『影』や『街』で漫画と劇画の違いを詳しく
比較解説する作品も登場するなど、劇画の使命感を強く訴えはじめます。。
外国映画からかなりの影響を受けていたと思われるリアルな写実、コマ割り、光と影の対比など
斬新な語り口で劇画は貸本屋ブームに乗って一気に台頭し始めました。
中でも、優れたデッサン力のさいとうたかを作品はファンからも絶大な支持を得ていました。
さいとう作品の特徴は殺し屋を主人公にした殺伐としたハードボイルドの中にもきめ細やかな
情感を漂わせ、特に女性は美しく描き上げるという手法に、当時中学生だった私もそんな作品に
魅了され心の師として仰ぎ、夢中でさいとう作品の模写をしたものでした。
私が描く女性のイラストはさいとう先生の『女性は美しく描け』という無言の教えにより大いに
影響を受けたことは間違いあのません。
また、このブログの私のプロフィールのイラストもさいとうたかを作品の模写の一つでもあります。
ついでに当時、私が模写したイラストが何点か残っていますので、ここに貼っておきます。
その後、さいとうたかを作品は大人向けの劇画で絶大な人気を得て数々の作品を生み出しました。
特に『ゴルゴ13』はその筆頭格となりました。しかし、その『ゴルゴ13』は門下生やスタッフによって
描かれたプロダクションによる作品なので、本来のさいとう作品ではないように思えてなりません。
今思うに、さいとうたかを作品は劇画工房時代が最も輝いていたと思う次第です。