港町のカフェテリア 『Sentimiento-Cinema』


献立は…  
シネマ・ポップス…ときどきイラスト

旅の友・ポップス編 (338) 『誘惑されて棄てられて』

2018-01-31 23:16:50 | 旅の友・ポップス編

『誘惑されて棄てられて』 唄:ピノ・フェラーラ
”Sedotta E Abbandonata” Carlo Rustichelli E Pino Ferrara 【YOUTUBEより】


1964年制作、ピエトロ・ジェルミ監督による同名のイタリア映画の主題歌です。
映画は同監督の『イタリア式離婚狂想曲』に次ぐシシリーの俗習を皮肉った艶笑喜劇で、未成年の娘に手を出して
逃げ回る男、家名第一で世間体をかまって狂言誘拐や殺人までたくらむ一族の馬鹿げた醜態を描いています。
物語の説明的な役割を持つ主題歌はイタリアきっての映画音楽作曲家カルロ・ルスティケッリの作曲によるもので、
シシリーの風土を醸し出すような民族色の豊かな仕上がりになっていて、映画の進行と同期しながら狂言回し的な
役割を担っていました。

関連記事
2014-10-10 映画音楽史(255)『誘惑されて棄てられて』1965年公開

映画封切時に『誘惑されて棄てられて』という邦題で紹介されましたので、ポルノ風の安っぽいタイトルだと
思っていたのですが、原題は”Sedotta E Abbandonata”(誘惑と放棄)なので納得せざるを得ませんね。

**********

【付記】 2018.2.2
この主題歌につきまして「歌詞が物語の説明的な役割を持つもの」と記述いたしましたが
その歌詞内容について映像を確認しながら書き留めてみました。
(金丸美南子 翻訳)

まず、冒頭で

  お聞かせしよう
  アスカローネ家の物語
  嘘偽りのないシチリアの物語
  家の名誉がけがされた
  若造のペピーノが
  姉と妹に手を出した
  アニェーゼは行く
  苦しみに胸もだえて
  司祭様に告白し
  罪の許しを請いたいの

そして映画の中ほどの48分経過頃に

  絶望と怒りとで
  父親は気も転倒
  事を知ってからは
  夜も眠れない
  急げ急げ
  不運なアスカローネ
  血走った眼で
  いとこの忠告を求めた

以上のように劇中ではこの主題歌が狂言回し的に二度流れております。


旅の友・ポップス編 (337) 『煙が目にしみる』

2018-01-30 13:08:58 | 旅の友・ポップス編

『煙が目にしみる』 プラターズ
”Smoke Gets In Your Eyes” The Platters 【YOUTUBEより】


この曲は1933年にジェローム・カーンが作曲してラジオ番組のテーマ曲として書かれたものですが、1935年制作の
ウィリアム・サイター監督による映画『ロバータ』の劇中歌として使われることになり、急遽オットー・ハーバックが
作詞、アイリン・ダンが唄って一世を風靡、これによってスタンダード・ナンバーとして定着しました。
1958年にはプラターズがパリ公演中にこれをカヴァーしてリヴァイヴァル・ヒット、1959年には全米No.1に輝き、
プラターズとして5枚目のミリオンセラーになりました。

「煙草の煙が目にしみる」と思われがちですが、この歌の煙は心の目を覆う煙のことで、
  恋をするとみんな盲目になるんだよ
  心が燃え上っているときは
  煙で目が見えなくなり
  そして
  恋の炎が消えると
  煙が目にしみるのさ
と、失恋の痛手をまわりに悟られないように笑ってごまかしています。

関連記事
2015-01-05 映画音楽史(328)『ロバータ』1935年公開

リード・ヴォーカルのトニー·ウィリアムスのハイトーン・ヴォイスは素晴らしいの一言ですね


旅の友・ポップス編 (336) 『パーフィディア』

2018-01-29 14:22:05 | 旅の友・ポップス編

『パーフィディア』 ペペ・ハラミジョとラテン・アメリカン・リズム
”Perfidia” Pepe Jaramillo & His Latin American Rhythm 【YOUTUBEより】


メキシコのマリンバ奏者アルベルト・ドミンゲスが1939年に作詞・作曲したラテン・ナンバーです。
タイトルの『パーフィディア』は「裏切り」とか「背信」という意味です。
1941年にはミルトン・リーズが、彼女の愛に裏切られて悲しむ男という内容の英詩をつけてアメリカでも大流行しました。
1942年の映画『カサブランカ』のダンスシーンでもこの曲がわずかに流れていました。

関連記事
2016-06-06 名曲セレクション『パーフィディア』ザヴィア・クガー楽団

旅の友・ポップス編 (335) 『裸足のボレロ』

2018-01-28 13:29:35 | 旅の友・ポップス編

『裸足のボレロ』 ユーゴー・ウィンターハルター楽団
”Song Of The Barefoot Contessa” Hugo Winterhalter 【YOUTUBEより】


1954年制作、ジョセフ・L・マンキーウィッツ監督によるアメリカ映画『裸足の伯爵夫人』の主題歌です。
映画はジプシーダンサーから人気女優そして伯爵夫人になったマリアの生涯を回想形式で綴りあげています。
この映画を監督したマンキーウィッツは、1950年にブロードウェイの内幕を暴露した『イヴの総て』でその手腕を高く
評価されていましたが、ハリウッドの商業主義から脱して自らの独立プロという自由な立場で『裸足の伯爵夫人』を
制作したものの、独立第一作を興行的に失敗できないというジレンマを背負ったがために、通俗的で物足りない
出来栄えになってしまいました。マリアを女優に仕立て上げた映画監督の回想という構成で撮影を進めたものの
主体を安定できない脚本の拙さに原因があったのかもしれません。
主題歌の『裸足のボレロ』はこの映画のためにイタリア人のマリオ・ナシンベーネが書き下ろしたエキゾチックな楽曲で
ユーゴー・ウィンターハルター楽団の演奏によって映画公開と同時に大ヒットしました。
ミラノ生まれのマリオ・ナシンベーネはアメリカで数本の映画音楽を担当した後に本国イタリアに戻り、『激しい季節』、
鞄を持った女』、『国境は燃えている』という映画史に燦然と輝く優れた作品を残しています。

関連記事
2014-01-26 映画音楽史(36)『裸足の伯爵夫人』1954年公開

映画の主人公マリアの「靴を履いているとなんだか怖い。土の上に裸の足をつけていると安心するの」という台詞が
印象的でした。

旅の友・ポップス編 (334) 『蘭の花』

2018-01-27 18:21:34 | 旅の友・ポップス編

『蘭の花』 ウーゴ・ブランコと彼のアルパヴィアヘラ
”Orquidea” Hugo Blanco 【YOUTUBEより】


1960年にウーゴ・ブランコ自身がインディアン・ハープ(アルパ)を用い軽快なリズムに乗せて作曲した楽曲で、
大ヒットした『コーヒー・ルンバ』とのカップリング曲です。
ウーゴ・ブランコの曲には他にも『鍛冶屋のルンバ』『かえるのルンバ』『悲しきルンバ』などのようにタイトルに
【ルンバ】と付く曲が多いのですが、実際はルンバではなく、彼が考案した【オルキディア】というリズムです。
この曲のタイトルは本来彼のリズムである【オルキディア】ということなのですが、一方、【オルキディア】とは
ベネズエラの国の花である【蘭】のことでもあることから邦題も『蘭の花』になったようです。

『コーヒー・ルンバ』の大ヒットの影に隠れてしまいましたが当時の私の好みはこちらでした。