図書館の無料配布に残りをる近藤とし子「さいかちの道」
見返しの夫・芳美のゴム印に添へて「とし子」とサインのありて
男には長い睫毛を無理に閉ぢ最期に君は何を見たのだ
お祓ひを待ちつかれたる幼子のパパにだかるる花束ににて
銀杏散る石段のぼる振袖に祖母の両手がハラハラしてゐる
かまきりがかうして虫をかじつてた 真似て少女の息の激しき
<選歌後記>
お祓ひを待ちつかれたる幼子のパパにだかるる花束ににて
お宮参りか。幼子は順番を待つ間に父親のふところで眠ってしまった。「花束ににて」が存在の美や大切そうな扱われ方までよく現している。
◎ありがとうございました。