季節風~日々の思いを風に乗せて

喜寿になったのを機に新しいブログを始めました。日々の思いをつぶやきます。

花束ににて~今月の短歌「塔」3月号 なみの亜子選

2021-04-05 20:50:26 | 短歌
図書館の無料配布に残りをる近藤とし子「さいかちの道」

見返しの夫・芳美のゴム印に添へて「とし子」とサインのありて

男には長い睫毛を無理に閉ぢ最期に君は何を見たのだ

お祓ひを待ちつかれたる幼子のパパにだかるる花束ににて

銀杏散る石段のぼる振袖に祖母の両手がハラハラしてゐる

かまきりがかうして虫をかじつてた 真似て少女の息の激しき

<選歌後記>
お祓ひを待ちつかれたる幼子のパパにだかるる花束ににて
  お宮参りか。幼子は順番を待つ間に父親のふところで眠ってしまった。「花束ににて」が存在の美や大切そうな扱われ方までよく現している。

◎ありがとうございました。