子どもの頃「よまち」が好きでした。
町内のあちこちにある小さな神社の「夜祭」です。なぜか胡瓜をもってお参りに行く「どんりゅうさん」から始まり、毎夜のようにどこかのお宮がにぎわっていました。
町一番の魚屋の横にもお宮がありました。そこには幽霊の絵があり、年に一度の縁日に合わせて公開されました。怖いのでよく見たことはありません。なぜか鰹節を銜えた女性の幽霊でした。
何の本で読んだかは覚えていないのですが、あのおどろおどろしい幽霊の姿には意味があるのだそうです。長く後ろに引きずった髪の毛は、過去へのこだわり。前のめりに下がる両手は、来るかどうかわからない未来へのはかない期待、そして足がないのは、現実を踏まえしっかりと立っていないからなのだそうです。
今でもあのお宮の夏祭りに、幽霊は公開されているのでしょうか。たとえ見ることができるとしても、見たいとは思いません。子どもの頃は、幽霊の姿がただ恐ろしかっただけです。幽霊の意味を知ってしまった今は、幽霊が自分の姿と重なります。誰だって、足元の定まらない、自分のおどろおどろしい姿を見たいとは思わないでしょうね。。
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