コロンブドール

Les Films de la Colombe d'Or 白鳩が黄金の鳩になるよう人生ドラマを語る!私家版萬日誌

卑怯な映画 現在蔓延している日本映画界に警鐘

2010-11-07 | Ma chanson  et 金言科白
「不治の病、身体の障害を利用して、観客を泣かそうと映画は、卑怯だ」
 
以前、映画五社のなかで、
ただ一人、シナリオ講座に来てくれた松竹社長・故城戸四郎氏の言葉である。
感銘を受け、現在でもその仕事は断っているが、昨今周囲を見渡すと、余命○ 年だ、癌だ、白血病だ。
どんな映画を作ろうと、そりゃ勝手だが、相当辟易する。

            シナリオ作家 古田 求氏 月刊シナリオ 11月号 2010年度

 この古田 求氏の言葉に賛同します。
最近、これにまさしく匹敵する映画が上映され全国60館あまりの劇場で公開され、
事話題にもならずに公開を終えました。まったく映画など知らない人が地元に来て”映画”であるといい
撮っていったようですが、その白血病で死ぬというだけでのドラマの抱き合わせ商法みえみえでした。
地元の人は世界一の四尺玉花火が映画になり、またその映画に出演でき一生の記念になったようですが、他県の観客にはドラマの”ド”もしらない人の映画に”NO”と答えたのは日本の映画観客も目が肥えてきた証かもしれません。故に多少日本映画にも希望が見えてきたのかもしれませんから、古田氏の嘆き、悲観することも多少薄らいだようにもにもおもわれます。
 さてこの”花火”をテーマにする企画は以前から囁かれていて、”花火”は海外で受けるからどうかといわれていたものです。そしてこの兄妹の話は、地元新潟でも有名で各マスコミが取り上げていたものです。まさかこの兄妹の話が朝日新聞関係の出版から出された原作物ですが映画になるとはおもわず、ただただ白血病で死ぬ話では映画にならないとおもうものが普通なのですが、この世の中不思議にゴーサインが出るものといたく驚いた次第です。常識ある映画関係者では、”死”という概念にドラマとして周りの人々の葛藤が描かれるのですが、この映画のスタッフは異常ともおもわれる見識しか持ち合わせていないようにおもわれたのは私だけでしょうか・・・・。私だったら、この実際の兄妹の関係に地元の土着、風土問題を取り入れた青春群像映画になり、その様子を地元の老人や家族が見守るドラマ展開になるのですが・・・・。
 毎々から私は、世界一の片貝の花火は当たると明言していて準備もしていたのですがー。
 この映画が地元新潟で撮影を開始した直後、私の知り合い関係者には警鐘を鳴らしたのですが、配給され見事世界一の花火が皆に観られず不発してしまいました。この企画、地元映画としてまた海外配給を視野に入れた映画でしたので映画関係者としてしごく残念であります。

 ところで、シナリオ作家古田 求氏とは、以前下記作品で氏の脚本作品を担当されて頂きました。

TBS 放送日 1992年4月5日  21:00-23:24 放映
  ドラマ大型特別企画 「社長が震えた日」
   主演 藤田まこと 佐藤 慶  倍賞美津子 山村 聡 西村 知美、高松 英郎、
   脚本 古田  求
   監督 山下 耕作
   原作 阿部 牧郎「雷鳴のとき」

   制作会社 TBS=国際放映  関連記事リンク藤田まことさん御逝去

「社長が震えた日」
  出向先の小さな会社の再建に成功した男が、今度は倒産寸前の大企業再建を依頼される。 
  やらないかんことはやらないかんのや、立ち塞がる困難をのり越えひた走る男と、家族の絆。

この作品の中に、藤田まことさんと倍賞美津子さんの娘役の西村知美さんが途中で亡くなりますが、
上記の宣伝キャッチコピーように古田作品は、家族というキーワードを駆使し、ただの愛娘の死で片付けなく、その死を心に大切にしまい娘の死を超越する父の話になっています。
 これこそがドラマだとおもいます!

 なお、この作品のプロデューサーは故鈴木 潔さんで、この鈴木さんも松竹時代レッドパージにあった人物でもあります。また確か、古田氏も当初松竹の助監督だったとおもいますが?
鈴木氏は後、独立プロの助監督や制作主任等で名作映画のクレジットタイトルで時々御見かけします。

 この上記の古田 求氏の御意見共に松竹社長・故城戸四郎氏の言葉も大切にしたいとおもいます。

なお、蛇足ですが
同じ月刊シナリオの同じ近況というコーナーでとんでもない人物も紹介されていた・・・。
一応監督という肩書きですが、実態は演技事務が演出をしているある人物です。肩書きをフルに使って新人俳優、スタッフを担ぎ、金集め長けた人物までも入っていたのは驚き、また呆れてしまいました。以前から良心的な月刊シナリオもこのご時世、金集めのすえ地元の人から告訴され裁判沙汰になり、更に知らないところで先手の謎の電話の掛けまくりの人物まで掲載するとは、なんとはや業界のホラーとも言いましょうか悲しくなりますが・・・・。
 昔はいいシナリオが掲載され、私は荒井晴彦氏の「赫い髪の女」を読んで感動し、シナリオと映画の融合性を実感したのですが、今日そのような作品が見当たらないのは不満で最近は読まなくなっていますが・・・。
 また、先月T・JOY京都での「内田吐夢、月形龍之介没後40年回顧上映会」に行かなかったのも、上記映画が同時期に上映していたためでもあることも一因であった事もお伝えしておきます!





 
コメント (1)
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