op's weblog

文字通りのログ。経験したことや考えたことの断片のアーカイブ。

20141103のテニスメモ

2014年11月05日 20時37分09秒 | Weblog
日曜日、結局外に出なかったので、翌日はどっかに行こうと思い、全日本テニスのタダ券もらったのを思い出したので文化の日は有明に行ってきた。

ちなみに(木曜日まで?)は現地でもタダで入場券配ってました。来年はどうするんだろう?

この日は第1試合にいきなり本日一番の注目カードと言える松井俊英vs片山翔が第1コート(クラブハウスの前ね)で組まれていた。後でネットを見ると、既に全日本では2回?ほど接戦をしたそうだが、今回は期待に反してやや一方的なスコアになってしまった。松井選手はジャパンオープンの予選でスタコフスキー(最近ではウィンブルドンでフェデラーに勝ったり、もっと前には全仏で錦織に勝ったこともある)とよく似たプレイスタイルで戦っているのを観たのが最初だっただろうか。とにかくボレーにきっちり強いバックスピンをかけて、決して浮いた弾道にはしないが、パンチよりもしっかり狙った所にボールを置き、しかも跳ねさせないことで相手がいいパスを打ちにくいボールにしているのが印象的だった。相手のスタコフスキーもそうだったので、これが「世界標準」のボレーというものなのかと感心したものだった。

今回の試合では、片山選手が順調に強くなっているのに対し、松井選手はやや不調の様子で、まず、サーブ&ボレーヤーの生命線であるサービスの精度・球威とも今ひとつ。片山選手のリターンにやられる場面が目立った。また、ラリーでもしのぐのが精一杯という状態。フォアはエドベリを彷彿とさせる感じだが以前の松井選手のそれとはかなり違う。得意のバックも時折スライスの攻めでキレをみせたが、主導権を奪えるポイントは少なかった。上背はないががっしりした体格の片山選手は、フットワークがよく安定して力のあるストロークを打ちつづけられる(体勢がとにかく崩れない)のが強みだが、筋力が増したのか、更に伸びとコントロールの効いたストロークで主導権を取りノータッチで決めてみせる。また、サービスも弱い方ではないので、松井選手がリターンから攻めるきっかけをつくることができなかった。

この日は松井選手、近藤大生選手、鈴木貴男選手と、ネットでフィニッシュするスタイルの全日本上位プレイヤーを3人観たがそれぞれ特徴が違うのが面白い。松井選手はルックスや「サーブ&ボレーヤー」という華やかな一般的イメージとは違い、一言でいうととても「実直」なプレイをする。前述のようなボレーをし、一発で決めるより、「コントロールした確実なボレーで必要ならばネットでシコり」つつ、確実に相手を追い込んで確実に決めるプレイをする。また、フットワークからして、極端に前後の動きが左右より良く見えるという点も生真面目に「ネット命」をやっている。ここしばらくのプロのトレンドととは違うこともあり、個人的にも応援したい選手の一人ではある。

ちなみに松井選手やスタコフスキーのボレーの回転を逆にすると、そのまま男子プロのストロークの世界標準になる。ボールを潰しながらきっちりトップスピンをかけ、徹底的に落下点までコントロールしきる。なおかつ弾道は低く抑えて、跳ねた後ボールが伸びることで相手をコートのより後方に押し込みながら、ボールが高く跳ねてしまうことで相手の打ち込みチャンスを与えてることを避けている。ナダルのようなクレーコート育ちのトッププロは生で観たことがないのでさておき、今年のジャパンオープンで練習マッチを間近で観たドルゴポロフのような天才肌のプレイヤーでもラリーの殆どはこれである。松井選手のボレーが跳ねた後の伸びも消している(相手のカウンターに力を与えない)こと以外は殆ど同じ思想だ。ちなみにスライスのストロークはボレーと同じ傾向だった。


次はちょっとブラついた後スタジアムへ。丁度内山靖崇選手が予選上がりの選手とやっていて、第1セットを6-0で取り、第2セットに入るところだった。内山選手は特に好調という訳ではなく、程ほどに抑えたプレイをしていたが、相手がもう戦意喪失に近い感じで、折角予選を勝ち抜いてセンターコートにいるのに大変勿体なく思えるプレイ振りだった。ラリーで打ち負けてもないので、とにかくミスせず打ち続けてチャンスを待ってもよかったのではと、いち観客としては思った。こういう試合では内山選手についても取り立てて書くことがなくなってしまう。


午後からのラウンドでは第2コートに鈴木貴男vs志賀正人という興味深いカードが組まれているが、僕はまず首都高速側に近い第3コートの近藤大生選手の試合を観に行った。近藤選手のプレイスタイルはテニスファンにとってはある意味分りやすい。「日本のフェデラー」。プレイ全体にリズムがあり、サービスはコースや球種、タイミングの組み合わせが豊富でレシーブ側はかなり予測がしづらい様子。そして何より精度が非常に高い。ラリーに入るとタイミング良くボールを捉えて力まず効果的なショットを打つセンスが抜群(ちなみにヒットの瞬間しばしばジャンプしてます)。レシーブゲームでもうまくチャンスボールを「つくり出し」、攻めに入ると速いテンポとうまい配球でスムーズにネットを取り、決めてしまう。既にダブルスで全日本を取っていることでわかるように、ボレーも非常にうまいので、アプローチがやや甘かったり、少々強引な出方をしてもポイントしてしまう。こんな風だから、最悪の場合、相手はランク下位の選手がフェデラーと当たった時と同じような状態になる。しのいだり攻め返す機会を与えられないままどんどん速いテンポで攻められ続けて自分を見失ってしまうのだ。この日の対戦相手もこのパターンで、大学時代はかなりの成績を残していたはずだが、どうしていいかわからなくなってしまったようだった。未だにラケットは最初のエアロジェル200(ベルディヒや引退したブレイクといったパワーヒッターが使っていた名器。僕も2本持っているがかなり飛びを抑えたフレームで、95平方インチながらスイートスポットはかなり小さめ、ストリングの設定も難しかった)を使っていたが今後はどうするのだろう?

そんな近藤選手のネットプレイは、ネットに来るまでに既に相手の体勢が崩れてしまっていることが多いせいか、パンチは強くないが綺麗に一発で決めるボレーが多かった。ボールの回転も、通常は松井選手ほど強いバックスピンをかけてはいなかった。そしてスマッシュもそうだが、配球で相手の予測を外すのがうまい。次の試合では若手選手に逆転負けしてしまったようだが、記事を読むとサービスの精度が途中から下がっていたようで、プレイのリズムがつくれなくなってポイントできなくなってしまったのであれば、同じタイプのRFとやはり負け方も似ている。


近藤選手の試合が早めに終わったので第2コートに移動。予選から出ていた38歳の鈴木選手に注目が集まっていたようだが、僕は相手の志賀選手にも興味があった。最初に見かけたときは、小柄で上半身もヤセ気味、坊主頭に銀ブチ眼鏡の慶大生。ストロークは弾道が高めであまり強そうには見えないが負けない。面白い選手だなーと思っていたが、卒業後はプロになると早くから決めていたそうで、今年はプロ転向直後にフューチャーズ優勝など結果も残しているようだ。

で、国内スター選手の鈴木選手の試合のため、結構な観客数、僕はベースライン側から立ち見で観戦。第1セットからシーソーゲームで鈴木選手の7-5だったが、志賀選手、大幅にイメージチェンジしていた。髪を伸ばし眼鏡を外してスポンサーを取りやすく?そして体は上半身もかなりがっしりして相当鍛えてきたよう。やはりプロ意識が高いのだろう。一方プレイスタイル自体は基本的に以前観たときとあまり変わらず、ネットの向こうの鈴木選手が観客にも見せつけるようなプレイ(や発声)をするのとは好対照。ラリー時は高い弾道のストロークで、パスのみフラット気味に叩いてくる。難点といえばやはりサービス、特にセカンドサーブにあまり球威がないので、配球には気を遣っていたようだが、鈴木選手にレシーブからアタックするチャンスを与えてしまっていた。ストロークとともに、もっとパワーがついてくれば攻められるきっかけがかなり減りそうだ。

第2セット終了時で午後4時を過ぎ、冷えてきたこともあって途中で引きあげてきたが、年配者に不利に思えた環境だったが結局鈴木選手が勝ったようだ。鈴木選手のスタイルは、「すごいプレイをよりすごく、難しいプレイをより難しそうに見せる」タイプで、ジャッジへのクレーム含め演出力でも(笑)相手を圧倒しようとするところがある。ショットも全般的に力のこもったフォームでワンショットワンショットしっかり打ち、近藤選手のようにタイミングで打ち滑らかにフィニッシュまでつなげるタイプとは違う。自分の力で打ちたいからか、志賀選手のように強打してこない相手にはストロークから強く叩いて主導権を取りにいこうとするが、以前決勝で当たった杉田選手クラスのハードヒットで押されると打開するのに苦労している感がある。そんなキャラクター(笑)なので、ネットプレイも「すごそうだなあ、大変そうだなな」という印象ばかり残っている。対戦相手にもよるだろうが、アプローチを「打てる条件」がそれほど広くなく、アプローチ自体の選択肢も意外に多くなく、最終的に優れた反射神経と闘争心でフィニッシュしているように見える。ボレーの球質は松井選手ほど回転は強くなく、一発で決めたいタイプ。この日の出来ではサービスももうちょっと球威・精度とも上げたいところ。


連休の最終日で、この時期にしてはまあまあの天気だったこともあってか、人出もまあまあよかった。出店が少なかった(広場にはゼロ)のは機会ロスに思えたが、翌日から平日が続くので判断が難しいところではある。観客としては、生で観る分には充分楽しめる試合内容が多い大会なので、錦織氏の活躍でテニスに興味を持ったばかりの方々にもお勧めではあります。(楽天が入ったおかげでコストパフォーマンスがえらく下がったジャパン・オープンを考えると尚更ね。)


追記:
女子の試合も少し観たけど、相変わらず「今時の日本の女の子や日本人モデル」的な体型が多かった。前にも書いたがこれでは海外でランク上げるのは難しいだろう。白人黒人でも細い選手はいるが、サイズはもとより筋肉の質や骨格が違うので。それにモデル業でも稼いでいるシャラポワにしても(サイズや体型の割に)ずっと筋量は多い。世界で上位に行ったバドミントンの日本女子選手もそうだったが、レベルが高い動きが出来る選手は胴体の形がそれらしくなっていて、特に脇腹の部分にしっかり筋肉がついているのが素人でもパッと見でわかります。

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