この巻の実質的な主人公は対戦相手の宮川と言っていいかもしれない。
表紙を見ると、かつてのひょろっとした美少年から、主人公の丸尾とはまた違った形で戦ってきたことが直感的にわかるようになっている。思春期の少年が、子供の頃からの夢をかなえる上で最後のチャンスを掴むために行ったディターミネーションとデディケーション((R)Wayne Gardner)が、短く切った髪、厚くなった胸板や肩の線に顕れているのだ。この表現方法は、旧来のマンガのように、いかにも血のにじむ特訓してきました、という大げさ過ぎて現実感が薄れてしまう描写よりずっと好ましいと僕は思う。一方で、主人公の丸尾は鉄腕アトムのようにほとんど外見に変化が無い。これは意図的なものかも知れないが、あれだけ練習しているのだから、少しは変えてもよさそうな気がする。
さて、試合に入ると、お互いが強力なライバルと認識して再戦する、このマンガ初の状況になる。画も話もあくまでフェアでさわやかなタッチで進んでゆくが、最初の挨拶から双方の目の色が変わっていることが(白黒でも)よくわかる。
プレー自体は、設定上の都合もあり、プロ並の?冷静な判断力と緻密なコントロールを持つ*主人公が更にパワーアップしたのに対し、宮川は自分との力の差を早々に悟ることになる。だからこの試合のテーマは主人公がしっかり勝ちきることであり、宮川はいかに突破口を見出してゆくかということだった。P60の表情でも、その微妙な位置の違いが読み取れると言ったら深読みのしすぎかもしれないが、主人公のこの表情は、今までの“学習途中の単なる挑戦者”のそれとは明らかに違っている。
*まあ、ジュニア選手ってのは邪念がない分大概そんな感じで、だから子供の頃の蓄積が無いサンデー・プレイヤーは”小さなテニスマシン”達に圧倒されるのだが。
表情といえば、主人公がゲームカウント3-1としたブレークポイントでの双方の様子、宮川は追い詰められ自分の夢を阻む敵を憎み(大げさかな)、主人公は完全に集中し切っている。ここから4-1まであっさりいってしまうところは、切なくなるほど現実によくある話で、また宮川が2-4とまたファイトバックするところもリアルに描けている。
そして2回戦のため1セットマッチの終盤、正面からの打ち合いの末、主人公が勝利を収める。宮川は握手を交わした後の会話で、主人公と自分の差の理由を悟るのだ。
一方、主人公は宮川が泣く様子を見て、この勝負がライバルにもたらす現実を“知る”。その重さに圧倒されてしまい素直に喜べない。そして勝ってゆく限り増え続けるだろう背中の重いものを”実感”するようになるのだ。そんな主人公に対し、ナツは「今は終わったばかりだからそんな感じかもしれないけど きっとすぐわかるよ 本当に楽しい試合は そういう試合だって」と言う。これは青井コーチが繰り返し言ってきたことでもあるのだが、まだ主人公はしっくりこないようだ。
まあ、実際にはwin-winをいかにたくさん、大きく実現するかで仕事は評価されるわけだから、必ずしも、大人になってもこういう世界に無縁であることが問題であるとは思わないけどね。
表紙を見ると、かつてのひょろっとした美少年から、主人公の丸尾とはまた違った形で戦ってきたことが直感的にわかるようになっている。思春期の少年が、子供の頃からの夢をかなえる上で最後のチャンスを掴むために行ったディターミネーションとデディケーション((R)Wayne Gardner)が、短く切った髪、厚くなった胸板や肩の線に顕れているのだ。この表現方法は、旧来のマンガのように、いかにも血のにじむ特訓してきました、という大げさ過ぎて現実感が薄れてしまう描写よりずっと好ましいと僕は思う。一方で、主人公の丸尾は鉄腕アトムのようにほとんど外見に変化が無い。これは意図的なものかも知れないが、あれだけ練習しているのだから、少しは変えてもよさそうな気がする。
さて、試合に入ると、お互いが強力なライバルと認識して再戦する、このマンガ初の状況になる。画も話もあくまでフェアでさわやかなタッチで進んでゆくが、最初の挨拶から双方の目の色が変わっていることが(白黒でも)よくわかる。
プレー自体は、設定上の都合もあり、プロ並の?冷静な判断力と緻密なコントロールを持つ*主人公が更にパワーアップしたのに対し、宮川は自分との力の差を早々に悟ることになる。だからこの試合のテーマは主人公がしっかり勝ちきることであり、宮川はいかに突破口を見出してゆくかということだった。P60の表情でも、その微妙な位置の違いが読み取れると言ったら深読みのしすぎかもしれないが、主人公のこの表情は、今までの“学習途中の単なる挑戦者”のそれとは明らかに違っている。
*まあ、ジュニア選手ってのは邪念がない分大概そんな感じで、だから子供の頃の蓄積が無いサンデー・プレイヤーは”小さなテニスマシン”達に圧倒されるのだが。
表情といえば、主人公がゲームカウント3-1としたブレークポイントでの双方の様子、宮川は追い詰められ自分の夢を阻む敵を憎み(大げさかな)、主人公は完全に集中し切っている。ここから4-1まであっさりいってしまうところは、切なくなるほど現実によくある話で、また宮川が2-4とまたファイトバックするところもリアルに描けている。
そして2回戦のため1セットマッチの終盤、正面からの打ち合いの末、主人公が勝利を収める。宮川は握手を交わした後の会話で、主人公と自分の差の理由を悟るのだ。
一方、主人公は宮川が泣く様子を見て、この勝負がライバルにもたらす現実を“知る”。その重さに圧倒されてしまい素直に喜べない。そして勝ってゆく限り増え続けるだろう背中の重いものを”実感”するようになるのだ。そんな主人公に対し、ナツは「今は終わったばかりだからそんな感じかもしれないけど きっとすぐわかるよ 本当に楽しい試合は そういう試合だって」と言う。これは青井コーチが繰り返し言ってきたことでもあるのだが、まだ主人公はしっくりこないようだ。
まあ、実際にはwin-winをいかにたくさん、大きく実現するかで仕事は評価されるわけだから、必ずしも、大人になってもこういう世界に無縁であることが問題であるとは思わないけどね。
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