たそがれ時のつれづれに

人生のたそがれ時を迎えて折々の記を・・思うままに

輪廻転生

2012年06月03日 | お寺参り

遠藤周作 著 「万華鏡」 朝日新聞社 1993.4刊 に、「転生」について2編のエッセイを書いている。キリスト教徒である遠藤氏は、葬式の後の49日という日の意義を、尊敬する玉城康四郎先生の本で勉強する。
当時結婚して妊娠7ヶ月目で、お腹の随分大きくなった松坂慶子さんと会い、
「・・死んだら私はあなたの子となって生まれ変わってこよう」
「その時はあなたは私のお母さんです。母である以上人工栄養ではなく、母乳で私を育ててくださいね」と、からかった。
また、インドのベナレスに滞在した際は、占い師に私の前世は何であるかと問うた。占い師は
「あなたの前世は鳩である。腰を矢で射られて死んだのです」、
「それゆえ、今でもあなたは腰が時々痛むだろう」と占う。
自分のイメージと鳩はどうしても結びつかなく、来世は何に生まれ変わるかたずねると。
「鹿です」・・。
日本に戻ると早速米国ヴァージニア大学のスティーブンソン教授のよき理解者、笠原敏雄氏と会い、輪廻転生の研究者であるスティーブンソン教授の話を伺ったそうだ。

また大分前になるが敬愛する、哲学者梅原猛先生は、NHKの番組「こころの時代」だったか、著名なベテラン女性アナウンサーを相手に「母を語る」に出演されたことがある。この番組で先生は
「90歳以上も生きるのは本人も惨めだ。そこそこに仕舞って逝き、輪廻転生でまた生まれ変わり、また同じ仕事をしたい」と述懐された。
先生は、昨年の「東日本大震災復興構想会議」の委員に選出され、首相官邸で開かれた委員会で防衛大学長、五百旗頭 真議長に、「福島を見捨てるのか。福島なしで何が復興か。そんな会議ならやめてしまえ」と、机をどんどん叩き演説されたと新聞で読んだ。今年87歳になられる。
先生の全集で生い立ちの記を読んだことがある。先生は知多半島の旧家の出であるが、父が東北大学工学部学生の時、下宿していた仙台の下宿屋の娘さんとできて生まれた。
旧家の実家が反対し子供は引き離され、薄幸の母は東京で若くして亡くなったと、NHKの番組で涙を流して追憶しておられた。
父はトヨタの研究所長になり初代コロナの開発責任者もやったとか。 数代後のコロナは私が22年も長く乗った愛車でもあり、ブログIDにもしていて感慨深い。

輪廻転生は浄土仏教では、往相回向(おうそうえこう)と還相回向(げんそうえこう)の二種回向といい、梅原猛先生が新聞で解説された。分りやすい解説なので次回紹介しよう。