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創業130年・箱根宮ノ下、富士屋ホテル、その①

2008年11月14日 20時20分40秒 | 神奈川のこと
            
                ※昭和11年(1936年)建・『花御殿』
銀婚式の記念旅行に、宮ノ下『富士屋ホテル』に行きました。学生の頃、授業が休講になるとよく箱根に遊びに行ったのですが、そのときに登山電車の窓から見た富士屋ホテル!…いつか泊まってみたいなぁと思っていました。

「あの時見えたのはこのホテルの屋根だったんだなぁ」と感慨に浸りながら花御殿前の坂道を上がると、フロントに到着します。
           
               ※明治24年(1891年)建・『本館』
フロントのある『本館』です。本館は唐破風といわれる竜宮城の様な屋根が、おとぎ話の様なリゾートの世界へ誘ってくれます。イメージが『千と千尋の神隠し』の湯屋『油屋』のようです。100年以上も前の建物が今も現役で活躍している事に感動しました! 
           
              ※回転扉の上の、“つがい”の孔雀
小さな木の回転ドアに往時を偲びながらロビーから外に出ると広いテラスがあります。ここは花御殿を臨む絶好の撮影スポットで、ホテルを訪れたジョン・レノン一家もこの場所で記念撮影をしました。
          
                  
               ※フロント・ロビーの尾長鳥の彫刻
かつてホテルで飼われていた人気者のペット尾長鳥、ヘレン・ケラー女史も一緒に記念写真を撮ったそうです。今も木彫になってロビーの柱にとまっていました♪

            
㊧メインダイニングの1階にあるバーでは、ホテルを訪れた著名人を冠したカクテルが130年記念として発表されていました。上からジョン・レノン、ラフカディオ・ハーン、チャーリー・チャップリン、ダグラス・フェアバンクス、メアリー・ビッグフォード
㊨本館の奥には山に沿って温室がグリーンルームがありました。これは温泉の熱を利用した温室で、たくさんの植物が栽培されていました。
            
㊧花御殿にある「史料展示室」の壁のライトです、そして㊨は昭和29年、戦後のアメリカ軍による接収が解除され、ホテルが一般に公開されたときのポスターです。昭和29年は私の生まれた年なのでとても印象に残りました。史料室には興味深い資料がたくさん展示されていました。

           
そしてこれは、現在も使われているタグです。古き佳き時代のほのぼのとした雰囲気が今に伝えられ、クラシックホテルならではの楽しみだと思いました♪



創業130年・箱根宮ノ下、富士屋ホテル、その②

2008年11月14日 15時20分28秒 | 神奈川のこと
      
          
               ※明治37年(1906年)建・『西洋館』 
こちらは今回宿泊した「西洋館」、唐派風の屋根と洋館の組み合わせが魅力の建物です。部屋の中も明るく可愛らしいインテリアで、ドールハウスの中に迷い込んでしまったようでした~♪ 外国人専用ホテルとして建てられたので、天井がとても高くてゆったりとしています。

          
                  ※ヒーターもクラシック~♪
ホテルのショップで販売されている「創業130年記念のテディベア」、部屋にテディベアがよく似合います。 

               
天井の可愛いらしいスズラン形のライトが柔らかな光を放っています。家具も外国人サイズで、とても大きいです♪

        
回廊と廊下も開放的で明るく、紅葉の始まった庭園の木々がよく映えていました。
             
         ※昭和5年(1930年)建・メインダイニング『ザ・フジヤ』
夜来の雨も上がった朝、窓からの景色です。メインダイニングの屋根と二重の塔・昇天閣と、雲のかかった箱根の山々の組み合わせが幻想的でした。


          
            ※明治28年(1895年)建・『菊華荘』(旧御用邸)
こちらは和の『菊華荘』、こちらでも食事や宿泊が楽しめるようになっていました。畳の上にテーブルが設置されているので、明治維新当時の様な雰囲気です。
          
                   ※散策もでる日本庭園
 小田急ロマンスカーのCMにも菊華荘が登場しています。ガラス戸は「ゆらゆらガラス」という昔の製法で造られたガラスなので、、外の景色の見え方も趣があります。 

               
             ※サウナ・ジャグジー付き温泉プール               
プールは利用する人が少ないため、温かいプールで思い切り手足を伸ばすことができます。ジャグジーは少し高い温度のお湯なのでマッサージ効果もあるようで、夏以来ずっと具合の悪かった腰も良くなりました。やはり温泉&運動の相乗効果なのでしょう。時間があったらもっとプールで過せたのに…残念

長い歴史を持つ建物の中で行き届いたサービスのもと、伝統の食事を楽しんだり、温泉プールで泳いだり、史料展示室でホテルの歴史に親しんだり…
雄大な箱根の山々を眺めながら時空を超えた休日を過ごす事ができました。わずか1泊2日でしたが充実した時間を過せ、心身ともにリフレッシュできました。

ホテルの創業者・山口仙之助氏は、横浜の出身で、桜木町の隣町、高島町の人でした。ホテル創業当時、外国人向けの肉などの食材は横浜にしかなく食材は横浜から馬車で小田原まで運ばれたのだそうです。横浜と富士屋ホテルは深い関係がありました!ホテルの歴史

また、松沢神奈川県知事の著書『破天荒力』には山口氏をはじめとして、箱根を開発した人々の活躍が記されており、映画化もされました。

ホテルの建物の殆どが登録有形文化財、近代産業遺産に認定されています。横浜松坂屋解体、東京の歌舞伎座も建て替えで解体、と寂しいニュースが続いているので、富士屋ホテルの存在がなおさら貴重に思えます、また是非訪れてみたいホテルです。建物の詳細は→文化遺産オンライン



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