涼しい朝を迎えた。
重く垂れ込めた雲のおかげなのだろう。
予報では、まだ前線が日本を離れることはないらしい。
街中では多数派のクマゼミが、命の活動を始めた。
晴れ間少ない空を見上げてみれば、ひとつまたひとつと響きだした。
近所の婆さんに挨拶の声をかけたけれども、返事はなかった。
世の中は、相も変わらず暗いニュースの大安売りで、恐れるべきは何なのかわからない。
新型ウィルス感染者祭りもまだ続いている。
オオカミの数を数えるように、感染者数を数えては難しい顔をしてにらめっこしている。
本当は重篤患者も死者数もインフルエンザの比じゃない程にきっと大勢いて、実は隠されているという事なのだろう。
東京ではPCR検査をした陽性者には10万円が貰えるらしい。
感染はご法度扱いで、安全安心なポジション確保を第一にじっとぬるま湯につかったまま、
人間様の命の活動である経済温度は下がり続けている。
いったい何が起こっているのと、お天道様に尋ねてみても、待ちきれない夏の声にかき消されていくばかり。