西の空に薄い三日月が見えた。
時々曇る眼鏡越しに、視線をそらさずに駅へと続く道を進んだ。
心に刺さったままのトゲが、一つ一つ小さな温もりをくれていた。
月が満ち欠けを繰り返しても月に変わりがない様に
社会のルールでは、私は私である。
けれども生物としての私は、私のまま留まる事を許してはくれない。
7年も経てば細胞は総入れ替えされる。
別な私が言う。
メンバーが変われど、阪神タイガースは阪神タイガース、と。
けれども1985年と今ではやっぱり違う。
机上は何時だって空論のおもちゃ箱。
大抵、実際とは違っているのは、整理方法の問題か。
人間関係に幸せを詰め込み、
イメージ通りな勝利の方程式に飢え、
個性に最終兵器を重ねようと足りないパーツを探していた。
無神論者も神などいない事を信じずには生きられない。
遠い日々と未だ見ぬ時間が、ひとりでに小さな煙をあげる。
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