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離為火 九三の解釈

2011-08-26 13:02:53 | 易の解釈

離為火九三について書きました。よろしければ参考にしてください。

 

◇離為火 九三

初九は日の出前の薄明、六二は昼間(中天の太陽)、そしてこの九三は日の入後の薄明です。いわゆる黄昏の時であり、夕闇から夜への変遷期です。昼の太陽として人生を謳歌してきた人の栄光と挫折、もしくは終焉の時がクローズアップされます。裏卦の坎六三が上下の坎(険難)に挟まれていたように、離九三も昼と夜の太陽の狭間にいます。古来、この境界線に当たる宵の時間帯は「逢魔時」と呼ばれ、鬼や化け物、妖怪といった魔に逢いやすい(魔=闇が勢力を持ち始める)頃だとされていました。人の場合、魔が差して悪事を働いてしまったり、疲労や不注意による過失、判断ミス、勘違い等が起きやすい時なのかもしれません。

また、中国哲理の十二運で言うならば、建禄(臨官)・帝旺といった絶頂期から衰・病・老・死…へと斜陽していく落日の状態を物語っています。それが、ジワジワと失速していくことになるか、遅発的または絶頂のド真ん中で急な不運に見舞われて落魄の身となるか、それは状況によりけりですが、いずれにせよ引退は余儀なくされ、残りの人生をどう過ごすかを考えなくてはならなくなります。こうした体験には前段階としてのハングリー精神、人々を巻き込んだ旺盛な活動力、金銭的事情や社会的責務からくる従属的な労働などが伴います。

噬[口盍]六三の影響で良き師と良い理念に恵まれて障害を打破できれば、自分の夢を叶える所まで行けるかもしれません。ともかく、そこで一種の極致を経験した後で、何かしらの世の儚さや無常を悟らせる事態が起きるのです。そして今までのことは追憶の中に消えていく。失望感が強ければ過去を振り返ることは辛いと思います。でも、今更浮かれる気分にもなれないでしょうし、いつまでも悲嘆に暮れていても仕方ありません。過去を修正したい気持ちに駆られても現実にはできるはずもなく、諦観して(自らの運命を受け入れて)今を素直に生きるよりないのです。

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この爻を見ると、僕はたいてい「ミリオンダラー・ベイビー」という映画を思い出します。
ご存知ですか、この映画。

願わくば、次の言葉のようになりたいものです。

「夕映えが美しいように、老人の場所から見た世界は美しいのです。」【伊藤整】



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