建交労九州支部(緒方徹治委員長)は7月14日から17日まで熊本、鹿児島、宮崎、大分、長崎、佐賀、福岡の各労働局に「第17回労働災害の根絶と補償の充実を求める」要請行動(九州キャラバン)を行いました。
今回の要請は「1、トンネルじん肺根絶に関して 2、労働行政の充実について 3、労働災害の予防について 4、振動障害の補償と社会復帰について 5、じん肺について 6、間質性肺炎とアスペルギルス症について 7、列挙疾病の調査については、認定基準に基づきおこなうこと 8、移送費(通院費)に関する報告書について」の8分野15項目です。福岡労働局以外は、すべて監督・健康安全・労災補償の各課長が応対しました。
トンネル現場からのじん肺根絶は、建交労が17年前のトンネルじん肺請求団発足から取り組んでいるもので、国が本気でトンネル現場からじん肺を根絶するなら「粉じんばく露時間を短くすることが重要」で、労働時間を8時間以内にすることが不可欠です。じん肺患者(原告)と建交労を中心とした運動で、2交代で行われていたものが残業を含め10時間以内に変更されました。しかし、2時間残業が恒常的であり、時間外労働を労使で決める36協定も労働組合がないため、一方的に毎日2時間残業で締結された形になっています。各労働局の監督課長は、現法律では取り締まることができないと回答しました。第2次安倍内閣時に総理も調印した「政策合意」を完全実施するためには、法の改正が必要です。
労働行政の充実は、労災保険の民営化や労働局のブロック化や職員の増員問題は「建交労と同じ立場である」と回答しました。労働災害の予防では、人手不足による未熟練労働者の労働災害問題が増えていることが共通して出されました。
じん肺の管理区分申請と決定件数は各局共通して減少しています。局側は、炭鉱閉山など産業構造の変化が理由にあると回答しましたが、建交労側は石綿被害は2030年をピークに急増しているのに申請が少ないのは、「不整形型じん肺を間質性肺炎や喫煙原因論にすり替える医療機関の不理解があるのではないか」と指摘しました。また、ある労働局では104件の申請で管理1決定(じん肺なし)が83件もあるという驚くべき回答がありました。
斉一性が求められる国の労働基準行政でも、各局によってかなり違うことが今年のキャラバンでも浮き彫りになりました。建交労のような全国組織の役割がますます重要であることを痛感するキャラバンでした。(文責 中里研哉)