ドラマは端島の隆盛と衰退を見事に描いてくれていました。個人的には主人公達と年齢が近いということもありますが、子供のころ北海道の炭鉱町で育ったこともあり、懐かしさすら感じたのです。特に島にTVが次々に設置されていく様は、私の子供のころの記憶に重なりました。白黒のブラウン管TVが我が家にやって来た日は今でも鮮明に覚えています。
且つては倉本総の『昨日悲別で』というドラマもありましたが、衰退期に入った炭鉱町が舞台でした。一方、このドラマの前半は日本の炭鉱町の隆盛期が生き生きとカラフルに描かれていたのです。
最盛期には東京ドーム1.4個分の土地に5000人以上が暮らし、人口密度は日本一。「一島一家」と言われた端島は、まさに島国日本の縮図でした。でも、炭鉱町の隆盛期を知る人はどんどん減っています。来年古希を迎える私が知る炭鉱町も既に衰退期でした。閉山後の炭鉱町の姿の寂れた姿も見てきました。
農村に生まれ、小学校に入ると同時に炭鉱町へ。当時の炭鉱町の小学校は1学年が10学級以上もあったのです。それが、6年生になった年に転向した炭鉱町では1学年1学級、妹がいた4つ下の学年は複式学級(複数学年が1クラス)だったのです。既に炭鉱が閉山していた町だったからです。中学3年になる年にその中学は閉校となってしまいました。
「閉山の、寂しさに耐え、野菊咲く」
その頃の想いを込めた私の句です。