『転がり抵抗』という言葉がありますが、この言葉をロードバイクに当てはめるとしばしば誤解が生じるようです。つまり「タイヤ幅が広い方が転がり抵抗は小さくなる」というものです。中にはエコランで使用されているタイヤを例にして、タイヤ幅は広い方が有利と錯覚させるような記事も見受けられます。 では、実際にロードバイクに25Cタイヤと23Cタイヤを装着(チューブやタイヤメーカー、ホイールは同じ)し、同じ空気圧で同じルートを走った場合、25Cタイヤの方がパワー(出力)が少なくて済むのでしょうか?自転車乗りの常識としてはそんなことはありえないと誰もが思うはずです。 純粋に『転がり抵抗』の定義に従えば確かにそういう理屈になるのですが、実際には幅の広いタイヤの方が楽に早く走ることができる(パワーを小さくできる)という訳ではないということです。勿論、空気抵抗の問題もありますが、これは空気抵抗のないローラー台で実験しても同じだと思います。 エコランとは、「1リットルのガソリンでどれだけ長い距離を走れるかを競う低燃費車レース」ですが、使用されているタイヤは4輪で且つ20インチが主流だということを忘れているようです。例えばエコラン用の20インチタイヤを履かせたミニベロと700×28Cタイヤを履かせたクロスバイクでタイムを競ってみれば一目両全ではないでしょうか?転がり抵抗は明らかにエコラン用の20インチタイヤかもしれませんが、走行速度は明らかにクロスバイクの方が上です。いくらエコラン用のタイヤを履いていたとしても、時速30km程度でのパワーを比較してみれば明らかだと思っています。 つまり、自転車において『転がり抵抗』という概念自体あまり重要ではないということです。勿論、『転がり抵抗係数(RRC)』なるものがあり、各メーカーがこれを気にかけていることはあるでしょう。コンパウンドの材質や組み合わせを変えながら、極力タイヤ自体の変形を少なくする努力はしているはずです。2010年1月から日本自動車タイヤ協会(JATMA)による等級制度が導入されており、上述のRRCの値に基づいて「AAA」から「C」までの等級表示を行なっていることも事実です。 『転がり抵抗』とは「ある物体が地面や壁面などに支えられて転がるとき、転がる物体とそれを支えている物体は変形と復元を連続的に繰り返しながら転がる。このとき、それぞれの物体の変形に伴う減衰や、互いの変形量の違いから物体同士の接触面で摩擦が起こり、運動エネルギーが散逸することが主な発生原理と考えられている。したがって、転がる物体と支えている物体の構造や材質、表面の粗さ、物体間の垂直抗力に大きく依存する(ウィキペディア)」ものなのです。 そもそもロードバイクの『転がり抵抗』自体はソーラーカーやエコマラソン用特製タイヤよりも小さいケースさえあるのです(2.2 - 5)。それはロードバイク用のタイヤの径が大きくタイヤ幅が狭く、高い空気圧によりタイヤの変形がより少なく抑えられているからに他ならなりません。それをロードバイクについても一概にタイヤ幅が広い方が『転がり抵抗が小さい』と論じてしまうのはいかがなものかと思う次第です。
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