ここまでは重量を中心にドライブトレインを見てきましたが、回転部位である以上、エネルギー効率としての回転性能も考慮する必要があると思います。これはタイヤの摩擦抵抗と同じで、回転部位の抵抗を軽減することでエネルギーロスを少しでも軽減するのが狙いです。そこでフリーハブやボトムブラケットのベアリングをセラミックにするという発想が出て来る訳です。
自転車の動力効率は図抜けていて、90%を超えていると言われています。恐ろしいばかりに高効率な乗り物な訳です。一般的な自動車がエネルギーのほとんどを無駄に捨てている(ガソリンエンジン車の効率は20%にすら満たない)のに比べると、さすが人類が産み出した最高に高効率な乗り物と評するほかはありません。しかも、ロス分10%ほどの内訳の大半がギアとチェーンの部分で発生するロスで、ハブで発生しているメカロスなど「誤差」と考えてもいい程度なのが現実のようです。
本当に機械損失を少なくしたいと考えるなら、ハブの回転に血道を上げるよりもギアやチェーンを何とかしようとした方がよほど根本的な問題の解決に繋がるという見方もできます。ベアリングのプロのほとんどが自転車にG3というハイグレードなベアリング球を使うことへ「意味がないのでは?」と首を傾げるのは、理屈からしても至極もっともな話な訳です。
競輪などで究極の回転部を使った場合と純正ハイグレード品を使った場合との違いで発生する実際の差は1000m TTで1mも出ないというデータもあります。確かにいいベアリングを使い最高に整備されたホイールは空転させた時の回りが全然違って感動的なくらい軽く回るのが紛れもない事実なのですが、この手のハブ回転で感激する話は自転車の効率自体が根本的に軸の回転の良し悪しにはほとんど依存していないという重大な問題を見落としているのです。魔法の数字と呼ばれたりする700cの直径ですが、自転車はこの大径ホイールの採用により小径の回転軸の抵抗が効率に及ぼす影響を相当小さくしているのです。直径700mm弱もあるタイヤで走るロードレーサーやトラックレーサーでハブの回転に血道を上げるのは、最終的なところでは実効よりも「そこまでやった」気持ちの問題が大きいのではなおでしょうか?
ノーマルベアリングのハブでも完全にグリースを取り除けば実によく回ります。セラミックベアリングは硬く熱による膨張も少ないので、ノングリースでこそその性能が活きるのですが、残念ながらカートリッジベアリングであってもノングリースで使うことは大変に難しいのが実情なのです。ハブの回転部位にグリースを使用するのは潤滑の為というより水やゴミの進入を防止するのが目的なのです。従ってせっかくのセラミックベアリングであってもグリースを注入するのが一般的なのです。一部カンパのCULTのようなノングリースのカートリッジベアリングもあるにはありますが、カンパの一部のBBやハブにしか使用できないのが実情です。「クランクでは1回転ごとに3W生み出し、ホイールは9倍回り続けるという脅威の性能」という触れ込みが事実なら、プロツアーでこれほどSHIMANOやSRAMが幅を利かせることはないと思います。
こうして考えてみると、高価なG3グレードのセラミックベアリングの導入より、チェーンやギアクランク・スプロケット周りのメカロスをいかに少なくするかを考えた方が実利的ではないかと思えてくるのです。
ドライブトレインを考える場合、回転性能より重量の方が重要なのだということがお分かりいただけたでしょうか?私のCAAD10を例に取ると、フレーム部の重量が3,291gなのに対し駆動部は4,023gで45:55という重量比になります。
ここでいうフレーム部とはフレーム、ハンドル、ステム、ヘッドセット、コントロールレバー、シートポスト、サドル、フロントディレイラー、ブレーキ(前後)を、駆動部はペダル、クランク(チェーンリングを含む)、BB、チェーン、リアディレイラー、CS(カッセット・スプロケット)、ホイール、チューブ、タイヤを指しています。
フレーム部で最も重量があるのがフレームで、駆動部ではホイールになります。もしもう少し効率よく走ることを考え、200gの軽量化を図るとすると、やはりホイール交換になると思います。ここまで論じてきたことを考えれば、当然の帰結でしょう。次はクランクでしょう。クランクをCANNONDALE HOLLOWGRAM Si SL2(484g)に交換すると、200gほど駆動部を軽くできるからです。費用的には10万円弱なので、ホイールを200g軽くするよりは安上がりなのですが、走行性を考えればまずはホイールからでしょう。
勿論、「軽ければ全て良し」などと云うつもりはありません。フレームにはバイクの骨格としての機能がありますし、ホイールにおいても走行性能や空力性能という大切な役割があることは十分に承知しています。ただ、現状としてそうした部分が注目されている割りに、ドライブトレインが軽視されているようなので、敢えて皆さんが注目していることは省かせていただきました。
私がここで云いたかったことは、ロードバイクはフレームは勿論ホイールやそれ以外のドライブトレインも含めたトータルバランスが重要であり、トータルバランスを考える場合、ドライブトレイン部が軽視されることはあってはならないということなのです。
TNI BB30 アダプター(セラミックベアリング付き) BB30フレーム内径42mm用 | |
クリエーター情報なし | |
TNI |
自転車の動力効率は図抜けていて、90%を超えていると言われています。恐ろしいばかりに高効率な乗り物な訳です。一般的な自動車がエネルギーのほとんどを無駄に捨てている(ガソリンエンジン車の効率は20%にすら満たない)のに比べると、さすが人類が産み出した最高に高効率な乗り物と評するほかはありません。しかも、ロス分10%ほどの内訳の大半がギアとチェーンの部分で発生するロスで、ハブで発生しているメカロスなど「誤差」と考えてもいい程度なのが現実のようです。
本当に機械損失を少なくしたいと考えるなら、ハブの回転に血道を上げるよりもギアやチェーンを何とかしようとした方がよほど根本的な問題の解決に繋がるという見方もできます。ベアリングのプロのほとんどが自転車にG3というハイグレードなベアリング球を使うことへ「意味がないのでは?」と首を傾げるのは、理屈からしても至極もっともな話な訳です。
TNI フルセラミックチタンプーリー 13T | |
クリエーター情報なし | |
TNI |
競輪などで究極の回転部を使った場合と純正ハイグレード品を使った場合との違いで発生する実際の差は1000m TTで1mも出ないというデータもあります。確かにいいベアリングを使い最高に整備されたホイールは空転させた時の回りが全然違って感動的なくらい軽く回るのが紛れもない事実なのですが、この手のハブ回転で感激する話は自転車の効率自体が根本的に軸の回転の良し悪しにはほとんど依存していないという重大な問題を見落としているのです。魔法の数字と呼ばれたりする700cの直径ですが、自転車はこの大径ホイールの採用により小径の回転軸の抵抗が効率に及ぼす影響を相当小さくしているのです。直径700mm弱もあるタイヤで走るロードレーサーやトラックレーサーでハブの回転に血道を上げるのは、最終的なところでは実効よりも「そこまでやった」気持ちの問題が大きいのではなおでしょうか?
ノーマルベアリングのハブでも完全にグリースを取り除けば実によく回ります。セラミックベアリングは硬く熱による膨張も少ないので、ノングリースでこそその性能が活きるのですが、残念ながらカートリッジベアリングであってもノングリースで使うことは大変に難しいのが実情なのです。ハブの回転部位にグリースを使用するのは潤滑の為というより水やゴミの進入を防止するのが目的なのです。従ってせっかくのセラミックベアリングであってもグリースを注入するのが一般的なのです。一部カンパのCULTのようなノングリースのカートリッジベアリングもあるにはありますが、カンパの一部のBBやハブにしか使用できないのが実情です。「クランクでは1回転ごとに3W生み出し、ホイールは9倍回り続けるという脅威の性能」という触れ込みが事実なら、プロツアーでこれほどSHIMANOやSRAMが幅を利かせることはないと思います。
こうして考えてみると、高価なG3グレードのセラミックベアリングの導入より、チェーンやギアクランク・スプロケット周りのメカロスをいかに少なくするかを考えた方が実利的ではないかと思えてくるのです。
限定 2014 MAVIC マビック ksyrium 125 キシリウム ホイール シマノ | |
クリエーター情報なし | |
mavic |
ドライブトレインを考える場合、回転性能より重量の方が重要なのだということがお分かりいただけたでしょうか?私のCAAD10を例に取ると、フレーム部の重量が3,291gなのに対し駆動部は4,023gで45:55という重量比になります。
ここでいうフレーム部とはフレーム、ハンドル、ステム、ヘッドセット、コントロールレバー、シートポスト、サドル、フロントディレイラー、ブレーキ(前後)を、駆動部はペダル、クランク(チェーンリングを含む)、BB、チェーン、リアディレイラー、CS(カッセット・スプロケット)、ホイール、チューブ、タイヤを指しています。
フレーム部で最も重量があるのがフレームで、駆動部ではホイールになります。もしもう少し効率よく走ることを考え、200gの軽量化を図るとすると、やはりホイール交換になると思います。ここまで論じてきたことを考えれば、当然の帰結でしょう。次はクランクでしょう。クランクをCANNONDALE HOLLOWGRAM Si SL2(484g)に交換すると、200gほど駆動部を軽くできるからです。費用的には10万円弱なので、ホイールを200g軽くするよりは安上がりなのですが、走行性を考えればまずはホイールからでしょう。
勿論、「軽ければ全て良し」などと云うつもりはありません。フレームにはバイクの骨格としての機能がありますし、ホイールにおいても走行性能や空力性能という大切な役割があることは十分に承知しています。ただ、現状としてそうした部分が注目されている割りに、ドライブトレインが軽視されているようなので、敢えて皆さんが注目していることは省かせていただきました。
私がここで云いたかったことは、ロードバイクはフレームは勿論ホイールやそれ以外のドライブトレインも含めたトータルバランスが重要であり、トータルバランスを考える場合、ドライブトレイン部が軽視されることはあってはならないということなのです。
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