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【創作】『カラマーゾフの兄弟』続編

2011年12月24日 01時01分26秒 | 創作

亀山郁夫氏の「『カラマーゾフの兄弟』続編を空想する」(光文社新書)が出版されて以来、続編の内容について、喧々諤々たる議論が学会やネットで続いている。しかしそれらの議論は確実な根拠や資料に基づいたものとは言えず、文字通り「空想」に終始している。

そこで、『カラマーゾフの兄弟』続編について考察するにあたっての前提となるべき資料を二つご紹介したい。

一つ目は「ユーラシア出版ニュース」の1881年2月7日号ならびに2月8日号の記事(資料1)であり、二つ目は新発見のドストエフスー自身の残した『カラマーゾフの兄弟』続編の創作ノート(資料2)である。二つの資料は共に本邦初訳である。

■資料1■

・「ユーラシア出版ニュース」1881年2月7日号より

「神はある」(アリョーシャ・カラマーゾフ)。「神はない」(イワン・カラマーゾフ)。相反する思想を抱けるふたりは血をわけた兄弟であった。無神論国家が実現するのか(ありえない!)。神の国が誕生するのか(困難である)。ロシアの未来はいつに『カラマーゾフの兄弟』続編の完成にかかっている。

ユーラシア出版ニュース社では『カラマーゾフの兄弟』の著者フョードル・ドストエフスキー氏に対し続編の内容に関してのインタビューを行うこととした。結果は明日の「ユーラシア出版ニュース」1881年2月8日号に掲載される。ドストエフスキーの良き読者の皆様へ。明日が良き日になりますように。

・「ユーラシア出版ニュース」1881年2月8日号より

ユーラシア出版ニュースの編集者Dは、本日ドストエフスキー氏宅を訪問し、インタビューを行った。最初の質問はこうであるー「カラマーゾフの兄弟続編の執筆を計画なさっているというのは本当ですか?」。ドスト氏の答えー「計画ではなく、続編はもう書き終わってますよ」。驚愕する私(D)であった。

ドスト氏は笑いながら続けたー「前篇を書く前に続編は書き終えています。作品を完成させることと書くこととは違う」。「書くことと違う?」「頭の中で精密にすべての場面、すべての議論は完成している。下書きもある。だが、作品は違う次元に存在する。書かれたものを語り直すのが作品を創る作業です」

「語り直す時、既に文字で書かれたあるいは頭の中にある物語は、一瞬毎に破壊される。新しい物語として再生する。カラマーゾフの前篇もそのようにして誕生したのです」。ドスト氏の言わんとすることが、私にもおぼろげながらも分るような気がした。「すでに書かれた物語を語りなおす作業はいつから?」

「2年ほど休養して精気を充填してから続編の語り直しを開始するつもりでいます。その間、いろんな調べものをしたり思考を深めたりという、純然たる労働も必要だ。しかし作品を語り直すという必死の作業に比べれば、それらは息抜きのレクレーションのようなものですよ」。ドスト氏の気迫に圧倒された。

作品の内容について聞いてみたー「内容については何も言えない。出たら読んで下さい。読めば内容は分るでしょう」。そう答えて、ドスト氏はにこやかに笑った。「読んでも私には何も分らないかもしれません。あなたの作品はあまりにも奥深い」。「そんなことはありません。続編はベストを尽くします」。

書斎の机の上に、プーシュキンの『ボリス・ゴドゥノフ』が置かれているのを、私は発見した。栞が何枚もはさまれている。ドスト氏は私の様子を見てー「ボリス・ゴドゥノフ。皇帝暗殺の物語です。ロシアの悲劇はそこにあった。いまもある。忘れてはならない」。ドスト氏の謎のような言葉が耳朶を打った。

ドスト氏のインタビューは以上ですべてだ。創作に捧ぐべき文豪の貴重な時間を奪ったことは罪深いことであるのかもしれない。けれども今回のインタビューを通じてドスト氏の次回作こそは、ロシアの叡智と神秘が込められた前代未聞の傑作であろうことが証明されたことを信じて疑わない。ドスト氏に感謝!


■資料2■

~~~「カラマーゾフの兄弟」続編・創作ノートより~~~

ロシア革命党の結成を準備したアリョーシャとコーリャたち12名は、その結党の旗揚げの仕事として皇帝暗殺を図った。

革命党の首領に就任したアリョーシャは、自らが皇帝暗殺を実行することを望むのだが、アリョーシャを崇拝するコーリャは自らが発議した会議において、皇帝暗殺の実行にあたるのはコーリャとし、アリョーシャは実行の時期を決め決行の指令を出す、そして皇帝暗殺後のロシア革命党の指揮監督を担うこととすることを決議した。

その決議の内容はアリョーシャにも伝えられ、アリョーシャも、全員一致で決まったその決議を受け入れる。

コーリャはアリョーシャを全面的に信頼しており、一声かかればすぐさまにでも自らの一命を犠牲にしても異存はなかった。アリョーシャの指示に従い、直ちに暗殺を決行する覚悟を固めていた。

そのような中でコーリャにアリョーシャからの呼び出しがかかる。

「何を言われても、アリョーシャの指示にぼくは従う。この命は惜しくない」。
このような独語を吐きつつアリョーシャとの会見に臨むコーリャであった。

しかし、アリョーシャは、コーリャの顔をじっと眺め、コーリャにとっては信じられないような驚くべきことを語る。

「人間の霊魂が世界のあらゆる国々よりも貴いと教えるものこそはキリスト教である。キリスト教はすべての個人とその個別的運命とに無限の注意を払う。つねに個人であり、絶対にくりかえされることなき人間は、キリスト教にとって社会よりも第一義に深い実在である。人間はしばしばその生命を犠牲にしうるし、しなければならぬが、その人格をではない。かれのうちなる人格をかれは実現すべきであり、犠牲は人格顕現の条件であり、永遠の生の獲得である。人格は精神=宗教的カテゴリーであって、人間の前に置かれた任務を意味する。人格は個とはまったく別のものであり、個は生物学的、社会学的カテゴリーであって、種および社会に従属する部分である。人格は何ものの部分でもありえず、社会もしくは世界の一部でもありえない。それは一つの全体であり、それの深淵においてそれは精神の世界に属しているのであって、自然の世界にではない。共産主義哲学の限界と誤謬のすべては人格の問題を理解しえないことにもとづき、そしてそれは共産主義を人間に敵対する人間疎外の力と化し去る。それは、社会、社会主義社会、社会階級、プロレタリアートを偶像に仕立て、真の人間は否定されるのである」。

コーリャは、アリョーシャの言っていることが、一言も理解できなかった。驚愕し、頭が混乱するままに、「で、暗殺は?」と聞くのが、やっとだった。

※後注※この二つの資料はすべてフィクションであり実在の団体等とは一切関係ありません。アリョーシャの発言はベルジャーエフ著作集7『ロシア共産主義の歴史と意味』からの引用です。

【関連記事】⇒好日26  ドストエフスキーの好日


非ユークリッド幾何学について

2011年12月12日 00時47分28秒 | 創作


1979年の1月~3月に、私は、新宿の朝日カルチュアセンターで、「幾何学 その思想と発展」という題の、全十回の講座を受講したことがあります。

講師は矢野健太郎で彼が書いた下記の本がテキストでした。
『幾何学の歴史 (1972年) (NHKブックス) 矢野 健太郎 (著)』
矢野の本は終始持ち歩いて講義の予習・復習を熱心にしたものです。

30年も前の話ですが、ターレス・ピタゴラスから始まって、非ユークリッド幾何学・微分幾何学に終わるその講義は、終生忘れえぬ感動を私にもたらしました。真のダンディとはこういう男のことを言うのかと思ったものです。

講義のクライマックスは九回目の「非ユークリッド幾何学」のテーマの時にやってきました。頭の中がグニャと曲がって、高層ビルの外も、空間がねじ曲がるかのような不思議な思いにとらわれたのでした。

非ユークリッド幾何学の誕生時のような真の創造を、文学・思想の分野においても誰かが成し遂げなければなりません。そうではありませんか。皆さん?


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※参考【非ユークリッド文学宣言】 → http://blog.goo.ne.jp/dan5dan5/e/932e8072f6b2aa85b18ebb2d50df9ebb

※【非ユークリッド文学宣言】はダンボールネットに初出されたものです。

※ダンボールネットの主掲示板の過去ログのリンク先はこちらです。
http://www.asahi-net.or.jp/~qv1h-isi/danmain.html

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シュールレアリスム小説【狛犬少女】全三話 一挙公開!

2007年09月24日 20時22分48秒 | 創作

 シュールレアリスム小説【狛犬少女】全三話  一挙公開!


☆★☆★  第一話 【夢の中の狛犬少女】  ☆★☆★


何年も前のことだ。こんな夢を見た……

気がつくとおれは、故郷の自分の家にいた。鉄骨二建てに立て替えたばかりの頑丈な家にである。

しかし、突然、地震でその家がグラグラと揺れた。

家族全員は家の中に居た。今にも倒れるかと思うくらいに急角度に家は傾きかけた。

するとその時、家に来てまだ間もない兄嫁が、私には理解できないことを口走った。

「狛犬(こまいぬ)を借りてきます」

狛犬? 妙なことを言うもんだなと、おれはその時(夢の中で)思った。

夢の中では物事の進行スピードは極めて早い。

兄嫁は家の中へ狛犬を連れて来た、そして、狛犬だけを倒れつつある家の中に残し、家族全員が家から避難したのである。

おれは家の外から、自分の目だけを家の中に移し(夢の中ならなんでもできる)、狛犬の正体を見てみようとした。

なんとそれは、乳母車の中に入った真っ赤なほっぺたをして(おそらく熱があるのだろう)目を血走らせた十才くらいの少女であったのだ。(少女は何かの病気のようであった)。

こんな女の子が近所にいるなんてことは、ずっとこの町のこの家で育ったおれでも知らなかった。それを、最近他の町から来たばかりの兄嫁がなぜ知ってる? 

しかも狛犬という不思議な仇名を付けたりして……。

もしかすると、この世の中には男の知らない女どうしのネットワークがあって、様々な不思議な情報がやりとりされているということなのか。まったく男どもの預かり知らぬところで。

……更に激しく家はグラグラと揺れた。家は傾き、もはや倒壊寸前である。

その時、狛犬少女は倒れそうになる我が家の中で恐怖に目を見開き、ウギャーと得体の知れぬ動物のような叫び声をあげた。

どんな力がその狛犬少女に備わっていたのかはわからない、しかしその瞬間、家の揺れはピタリと止まった。我が家の倒壊は免れたのである。

狛犬少女は近所のその家に帰された。幾許かのお礼と共に。

……私の見た夢はこれだけである。

夢の中に現われたあの狛犬少女は、その後いったいどうしているのだろう?



☆★☆★ 第二話 【狛犬少女は語る】 ☆★☆★



私は子供の頃、狛犬少女と呼ばれていました。

毎日熱を出し、苦しんでいました。言葉は喋れず、知能は劣等で、容姿は醜く、狛犬そっくりだったと聞いております。

ところがある日突然直って、それからは順調で、ミス自由が丘にも選ばれましたし、大学も無事卒業できました。

子供の頃に犬同然に見なされていました関係上、私は犬が好きでした。生物として種を異にするとはせよ、犬とは友人として付き合ってきたと思っております。

ハイスクール時代に飼っていた犬の名前をプラトンといいます。プラトンは利口な犬でした。しかも敬虔でさえあったといえます。

人間の死、ひるがえって生物の死ということを深く考えさせてくれた友人、それがプラトンだったのです。

プラトンの死の光景はこんなふうでした。

プラトンは病気になって日々衰弱していきました。最後には食べ物を与えても吐き、死期が迫っていることがはっきりと見えてきました。

プラトンは賢い犬でしたから、家族の者が連れていかない限りは自分から家の中に入ってきたことはありませんでした。ましてや二階に上がって来たことなど一度もなかったのです。

そのプラトンが初めて家の中に入ってきました。二階まで上がってきて、家族の部屋を順々に訪れました。

まず父の書斎に行き寝室の母に会い最に私の部屋にやってきました。プラトンは最後の力をふりしぼって別れの挨拶にきたことは間違いないのです。

プラトンは私の顔を眺めつつ、私に感謝の気持ちを伝えようとしていました。

私は確信しているのですが、衰弱の極みに達していたプラトンがこの最後の無謀な試みで死期を二、三日縮めたのは間違いありません。

プラトンは自分の命を、その残された大切な最後の生命を捧げて私たちへの感謝を伝えにきたのでした。

ここで不思議なのは、二階まで上がってきても私達が迷惑がらないことを、いやそれどころか感謝の気持で迎えるであろうということを、プラトンがちゃんと知っていたことです。

やがてプラトンは階段を降りて行こうとしました。用事がすんだからです。私は抱き抱えて玄関の犬小屋に戻してあげました。

プラトンは翌日その犬小屋で死にました。

犬であろうと人間であろうと死が厳粛な事実であることにかわりはありません。そのことをプラトンは私に教えてくれたと思います。

私達は中庭でプラトンの葬儀をとりおこないました。私達の親しい友人の死として。

以上が私にできる話です。



☆★☆★ 第三話 【ピタリ・テレパスの手紙】 ☆★☆★



 ピタリ・テレパスといえば、この惑星パスカルにおける五百年ほど前の大占師として名高いのだが、いまやその子孫はすっかり落ちぶれてしまっている。

  ピタリ・テレパスから数えてきっかり十八代目、テレパス家では男の子が生まれなかった。娘が生まれたものの、熱を毎日出し容姿は極めて醜く、近所の子供からは狛犬少女と呼ばれて苛められていた。これではさしもの名家のテレパス家も断絶するかにみえたが、この娘長ずるに及び、病気は直り、容姿は端麗、性質も良かった。町の評判娘にと育つ。そこで入り婿が来たものの、この男、正直だけが取り柄の世間的にはまったくの役立たず者。商売にしくじって、両親が亡くなった後は、夫婦は食うや食わずの困窮の極みとなってしまった。

 ところで、このテレパス家には先祖代々、伝えられている書状があった。その書状はしっかり封印されており、添え状にはきっかり五百年後に国の財務大臣に手渡すこと。しかも屋敷の中で渡してはならず屋敷の外まで取りにこさせることと明記されていた。その渡すべき刻限までも正確に書かれていた。信心深い家系のものであったから、もちろん封印を解いて中身を読んだ子孫などはいなかった。親から子へ、子から孫へと五百年伝えられてきた書状なのである。

 商売が傾いて金策の為に奔走する夫を助けている間は、妻も先祖のそんな書状のことなど忘れていたのだが、いよいよ金も尽き、食料を買う金もなくなった今、妻はその書状のことをふと思い出した。有り金を使い尽くして、早く職を捜さねばならない事情ではあったが、不況でそう簡単には職など見付かりそうにない。先祖の指示でありますからと妻のたっての頼みで夫も願いを聞き入れ、半日がかりで夫婦共々歩いて、書状を首都のその財務大臣の屋敷に届けることになった。夫妻は身分の高い人のところへいくのだからと、残してあった唯一のよそ行きの着物を出して正装した。

 さて、夫妻は首都の財務大臣の屋敷の門前へと着いた。惑星パスカルの首都ダンボ-ルシティの郊外に時の財務大臣ビリリの屋敷はあった。門番の勝犬老はこの不思議な来客に首をひねった。はて、ビリリ閣下に書状を届けたいはよいとして、直接ビリリ閣下に門の外まで取りにこいとはいったいいかなる言い草か。しかし見れば実直そうな夫婦者。別段怪しいたくらみがある様子でもない。ピタリ・テレパスといえば惑星パスカルの歴史を学んだ者ならば誰でも知っている有名人。その子孫とならば、何かそこには事情があるに違いないと判断して、門番の勝犬老は財務大臣ビリリに、書状を届けにきた夫婦者がいること、門の外で手渡したいと述べていることを伝えた。

 ビリリはその時、書斎で書見中であった。不可解ではあったが、勝犬老の「なにか事情があるに違いない、怪しい者ではございません」との言を信じて、またテレパス家の子孫であることに興味も感じて、書状を受取るために門の外へ出た。

 テレパス家の婿が、かくかくしかじか先祖の遺言によりこの書状をビリリ閣下の元へ届けに参上いたしましたと口上を述べ終わったその瞬間、ビリリの屋敷が轟音と共に倒壊した。あっけにとられるビリリと勝犬老、そしてテレパス夫妻であった。気を取り直したビリリは、もしこの書状を受け取るために門の外へ出なかったらならば、自分は屋敷の下敷きになっていまごろ死んでいたであろうことに気付いた。その書状に何が書かれているのかを知りたくなり急いで開封した。能書家で知られるビリリであったが、そこにはビリリでさえも驚くピタリ・テレパスの見事な筆捌きによる文字が記されていた。

 書状を読んだビリリは五百年前のピタリ・テレパスの声が頭の中で鳴り響いたようであったと後に語った。書状を読んでビリリはこのテレパス家の婿を自分の部下に取り立て、やがてビリリが惑星パスカルの大統領になった時には、この男を自分の後任の財務大臣に任命したのであった。

 さて、その書状に書かれていたのは、以下のような内容であった。

………【ピタリ・テレパスの手紙】………
 
 ビリリ財務大臣閣下。私はピタリ・テレパスと申しまして、閣下より五百年程前にこの世に生を受けし者にございます。私は当代においては千里眼の能力にていささか名が知られておる者ですが、五百年の後にまで閣下に私の事が知られているかどうかは、自分の事でもあり予知しようとは思いませんでした。

 この書状を貴方の下へ届けることにしました事情のみをてっとり早く述べることと致します。我が父が臨終近き時、父が私に言いますのには、テレパス家の未来を見て欲しい、テレパス家の未来は安泰かどうか、と申します。私の未来予知の能力は五百年が限度です。ところがちょうど五百年後に我がテレパス家は貧窮し、持ち金が零になって、子孫が飢え死にする可能性があることが判明致しました。これはいかぬと、さらにその時代を透視しておりますと、テレパス家の有り金が尽きた翌日に、ビリリ閣下の屋敷が倒壊し、その家の中では閣下が書見を致されている光景が見えたので御座います。

 そこで、この書状を未来に託し、閣下の屋敷が倒壊する直前に、我がテレパス家の子孫をして届けさせて、閣下のお命を救って差し上げますことに、手筈いたした次第です。子孫が性根良きものなれば、貴方様のお命は長らえることができるでありましょう。

 なお、この書状を届けますテレパス家の者は貧窮の極みにあり、もはや明日食料を買う金もないにかかわらず、ただ先祖の命に従わんものと閣下の下にまかりこしたる忠義者であります。ピタリ・テレパス、伏して不出来な我が子孫のために、閣下のお憐れみを乞う次第にございます。

         パスカル歴1507年9月24日午後3時・記
                     ピタリ・テレパス拝
 
 パスカル歴2007年9月24日午後3時頃の
 ビリリ財務大臣閣下へ