【霊告月記】第八回 オウム真理教とトランプ旋風
【霊告月記】第三回のまえがきでも詳しく書いたことだが新しい作品の発表はオリンピック明けを予定している。それまでの期間はインプットに専念しようと思っている。しかし【霊告月記】は毎月更新することを決めているのでなんらかのアウトプットは続けなければならない。そこで今回は現時点に於いて心掛けている私なりのインプットの工夫について述べてみたい。
ある著者の著書を読もうとする時、私は必ずユーチューブやグーグルビデオのサイトで検索し、著者の肉声を聴くことにしている。その著者の思考のリズムや意識の流れの状態は肉声によって確かめることができる。まずその著者の声を自分の身体の中にに取り込む、その上で文章を読む、そうすると活字でしかない書物が肉声となって浮き上がってくる。インプットの技法としてこうしたやりかたはとても効果的だと私は考えている。
次の問題として、さてどんな本を読んだらいいかだが、既にさまざまなテーマについて私は論じてきている。その論じた題材について拡張というか、より深めていくような読書が効果的であろう。もともと関心があるテーマで基礎知識がある領域ならばその読書は理解が速やかに進む。知の拡大が見込めるのである。
ひとつ例を挙げる。三島由紀夫と連合赤軍について論じた際に私はオウムとの対比を行った。オウムは自分達の救済のために大衆を犠牲にしたが、三島や連合赤軍は信念として大衆の救済を目的として自らを犠牲にしたという判定をした。しかし勿論これでオウムの評価が終わったと考えたわけではない。オウムは70トンのサリンの製造計画を持っていた。このサリン散布計画が完全実施された場合、7億人の死傷者が出ることになる。オウムは巨大な妄想に支えられた宗教集団であって、このオウムの思想的総括は必ず成し遂げなくてはいけないという思いは、未完のプロジェクトとして私にある。
オウム真理教に関する資料は広く漁ったのだが、オウムの批判的総括の書として、いまのところもっとも重要なものは次の二冊である。大田俊寛の『オウム真理教の精神史』と上祐史浩の『オウム事件17年目の告白』。上祐氏のオウム総括に関してはユーチューブで直接肉声で聴くことができる。この対談は非常に参考になる。⇒ 田原総一朗 オフレコ!スペシャル・元オウム真理教 上祐史浩
旬の話題だが、トランプ旋風について。『反知性主義:アメリカが生んだ「熱病」の正体』(新潮選書)を出した森本あんり教授が、米大統領選の底流にある変化と継続について話した動画を紹介したい。この動画を視聴するとトランプが次期アメリカ大統領に当選する可能性がリアリティを持って実感できる。トランプのような“反知性主義”の持ち主が大統領に就任するのは、ある意味でアメリカの伝統に即した事態であり、なんら驚くべきことではないことがよく了解できるのである。目からうろこの貴重な講演である。
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