古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第十二章 乍恐奉願口上・その四十八宛名

2012年10月07日 07時12分21秒 | 古文書の初歩

 

乍恐奉願口上第十一ページ、上の画像の署名宛名部分

解読    庚午七月    富田屋 廣七

      江川浦長  竹中善六殿

      同浦丁吏  那須弥六殿

      同浦同断  岡本幸七殿

読み  かのえうま七月    富田屋 廣七

     江川浦長    竹中 善六 殿

     同浦ちょうり  那須 弥六 殿

     同浦どうだん  岡本 幸七 殿

解説  本件の場合、「庚午」年は明治三年(一八七0年)。 「富田屋」は商店の屋号。 「江川浦」・・・本文の内容から見て「江川浦」とは、現在の田辺市江川地区と思われます。明治三年には、庄屋とは言わず「長」と称した事が分かります。 「同浦丁吏」・・・江川浦の役所の吏員。単なる役場職員ではなく助役級の幹部と思われます。 「同断」・・・「右に同じ」と言う意味でこの場合は「丁吏」です。「同断」は古文書で肩書き欄に常に出て来ます。(同じことわり)の意味の(同理)だつたものが、(同断)と借字し、これを音読みして(どうだん)と言う言葉になりました。『理は道理・理屈・ことわり』