乍恐奉願口上第十一ページ、上の画像の署名宛名部分
解読 庚午七月 富田屋 廣七
江川浦長 竹中善六殿
同浦丁吏 那須弥六殿
同浦同断 岡本幸七殿
読み かのえうま七月 富田屋 廣七
江川浦長 竹中 善六 殿
同浦ちょうり 那須 弥六 殿
同浦どうだん 岡本 幸七 殿
解説 本件の場合、「庚午」年は明治三年(一八七0年)。 「富田屋」は商店の屋号。 「江川浦」・・・本文の内容から見て「江川浦」とは、現在の田辺市江川地区と思われます。明治三年には、庄屋とは言わず「長」と称した事が分かります。 「同浦丁吏」・・・江川浦の役所の吏員。単なる役場職員ではなく助役級の幹部と思われます。 「同断」・・・「右に同じ」と言う意味でこの場合は「丁吏」です。「同断」は古文書で肩書き欄に常に出て来ます。(同じことわり)の意味の(同理)だつたものが、(同断)と借字し、これを音読みして(どうだん)と言う言葉になりました。『理は道理・理屈・ことわり』