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GHQ焚書図書開封 第61回 アメリカの野望は国民にどう説明されていたか

2014-10-10 20:10:53 | GHQ焚書図書開封

GHQ焚書図書開封 第61回

■今回のご本
日米戦う可きか
出版社:世界知識増刊
発行年:昭和7年 

1941年の太平洋戦線の開戦直前になると、はっきりとアメリカを敵国として認識した論調が増えるに決まっているが、それ以前、開戦に至るまでの約10年間、日米に関する論調はどのようなものだったか。『日米戦う可きか』は論文集で、昭和7年の発行なので、満洲事変はあったがまだ日本が世界から孤立するといったところまでは行っていない状況で書かれたもの。

以下では、いくつかの論文のサマリーを紹介。

●冒頭論文「米国の極東政策」 海軍大佐関根郡平
中国とアメリカの関係は、ジョン・ヘイの門戸開放宣言から始まったものではなく、それよりもずっと以前からアメリカは清国に興味を持っていたが、清国は海外交易に興味を示していなかった。そこで米国側は、まだ憲法もないような時代1784年「エンプレス・オブ・チャイナ」という船で野生の人参(朝鮮人参)を積んで広東へと向かう。これが米中の直接貿易の端緒である。

以降、スエズ運河が開通したことによって、清国へのアクセスにおいてアメリカはイギリスに遅れを取る。そこで
パナマ運河が必要だ
パナマ運河を作るにはカリブ海を制する必要がある
カリブ海制覇のためにはにはキューバを取る必要がある
キューバを取るには、スペインと戦う必要がある
スペインと戦うには海軍を拡張しなければならない

という具合に目標設定をしアメリカは次々にそれを制覇していっている。アメリカは激しくイギリスと競っていた。

-- 日露戦争について

イギリスとアメリカが日本について、ロシアを抑える。逆にいえば、日本はロシア相手に英米の代理戦争を戦った、と。その後三国干渉が発生するが、ロシアにつくのはまずフランス、そしてドイツ。これは露仏同盟に対して、アングロサクソンが日本を応援する、という形ですね、と西尾先生はおっしゃるけど、そこはアングロサクソンというより、国際的金融資本家の方でしょうね。

1910年2月ルーズベルト(セオドア)がタフトとノックスに宛てた手紙には以下のように記されているらしい。

満洲において、サクセスフルウォー(上手く行く戦争か)をやろうとするには、イギリスの海軍と同じ勢力、すなわち均等の海軍を持ち、また、ドイツの陸軍と同じ力を持つ陸海軍を持たないとならない。しかしアメリカにはそれはまだない。では、むしろ満洲は日本に任せ、日本移民がアメリカに入って来るのを防いだ方がいいのではないのか。

これを含めて、アメリカは日露戦争で日本が勝ったからといって突如日本に敵対的になったわけではなく、アメリカの日本の特殊権益を認めている、とこの論文は書いていると西尾氏。

しかし、これって、満洲を日本に任せよう、と一段上から言ってるわけで、「彼ら」にとって日本はあいかわらず代理戦争をさせるための主体であるという意識がにじみ出ていると読むこともできると思うなぁ。これを日本政府周辺はどう取っていたんだろう? (結果から見れば、金融資本の手下であることを自覚する日本と、そんなこと言ったって彼らは俺らを軍事的に制圧できないと自信を持つ日本の分岐点がここにある、ってことでしょう。

●論文「米国の太平洋侵略史」 東京帝国大学教授 今井トシキ

米国は常に西方へと拡大している。フランス、メキシコに属していた土地を包含し西方へと拡大し、1846年メキシコとの戦争に勝ったことによってその領土は太平洋岸へと達した。ペリーがやってきたのはそれからいくばくもない時分だ。

日本の方はといえばイギリス、ロシアがたびたび接近したものの尚鎖国を破るところまでいく必要はなかった。しかし、アメリカが登場するに及んでそうも言っていられなくなった。日本の開国は米国東洋進出の一象徴である。

その後、アラスカ(対ロシア)、東サモア(対ドイツ)を取って、次がキューバ、フィリピン・・・・と要するに米国の太平洋侵略史が延々と続きましたというお話。

聞いてるだけで気持ちが悪い。

■ 感想

本論はそういうわけでアメリカが如何にして太平洋を侵略して日本に達し、そしてシナに特殊利権を持つ日本と対峙することになったという枠組みを説明している。

さてそこで感想なのだけど、日本というのは今に至るまでアメリカという集団の戦略の根本的な前提を理解していないかも、など思った。

それはつまり、アメリカにとって日本は島であり基地であるということ。地図を見ればわかる。

そして、アメリカの敵というのはあくまで大陸。コントロールできるようにする工作対象は大陸内の国家群、民族群。それに対して島は、軍事支配一本、ってことじゃないのか。

そこから考えた時、日本が南満州に権益を得て、意外に善戦している状態とは、日本が島から大陸内の利害関係者へとグレードアップしたということ。だからこそ、なかなか手を出せなくなった。

で、上の日露戦争についてのところで見たように、日本国の政府および軍人の一部も、よしここで独立だという気になって、それが故に満洲への大きな拘りが生まれていくということなんだと思う。これは戦略的には間違ってないと私は思います。(もちろん、金融資本の手下として生きていく、という選択肢もあったわけだけど。)

しかし、それを上手く潜り抜けるための手段やら知恵やらがまだ足らなかったということなんだろうなぁと思う。

 参考記事

忘れられてる日露協約

日本とロシアは日露戦争以降は日露協約を交わして友好状態にあった。これによって、満洲地区は大日本帝国とロシア帝国が抑えることとなり、混乱していた中国は、そもそも満洲は漢民族の土地じゃないから出てこれないし出て来る気もあまりない。・・・・中略

この状況は、チャイナ全体のコントロールを狙うイギリス&ユダヤ系(結果においてはアメリカ)にとっては重大な危機だったんじゃないのか、と思うんです。大日本帝国とロシア帝国が主体の北東アジアが出来てしまったら、完全な外来者は入ってこれなくなる。


 

GHQ焚書図書開封1: 米占領軍に消された戦前の日本 (徳間文庫カレッジ に 1-1)
西尾幹二
徳間書店

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