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室町戦国の社会/永原慶二

2012-02-05 13:30:35 | 参考資料-室町
室町戦国の社会―商業・貨幣・交通 (歴史文化セレクション)
 
吉川弘文館

室町戦国の社会 
商業・貨幣・交通
著者:永原慶二


「土倉と徳政一揆」の考察が示唆に富んで非常に面白かった。
特に、一揆そのものというより、そうならざるを得なくなってくる社会状況についての説明。「山科七郷に見る村落共同体」と併読すべき。

確認事項として、
荘園の年貢は、京都近傍・畿内は輸送条件がいいので現物収納、それより遠いところは急速に銭納化していた。
しかし銭とてモノなので、輸送にはリスクが伴う。そこで急速に為替が使われるようになっていった。

というわけで、室町時代とはそれが困ったなぁという時代に立っていたようなのだが、為替の使用例は、どのぐらい遡れるのだろう?当たり前だが、物納が難しいのは室町に限らない。

為替というのは本当に凄い発明だと主に西洋史をみててそう考えていたのだが、日本の為替ネットワークの発展史みたいな本が読みたい。

室町といえば大河ドラマの名作『花の乱』。

この中で、やけに銭に興味を示す日野富子、関所に関銭をかけようとする日野富子、というのがしっかり描かれていたが、その時代背景と思って読むとこの本はさらに面白い。そして、『花の乱』は、火の橋、水の橋を比喩とする物語性を縦糸にして描かれていて、ドラマとしても非常に優れていたが、そのドラマ性のために時代背景を無視する、犠牲にするといったことのない優れたドラマだったのだとあらためて再認識。市川森一氏がもうこの世にいらっしゃらないことが悲しい。

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