昨日、ロシアの検察庁が拡大会合を行い、そこでプーチンが訓示を述べていた。
ロシア検察300周年にあたる年だそうでそのあたりのお話をいろいろした後、特に、現在の特殊作戦に関して述べると言って、現状を概括した。拾ってみるにこんな感じ。
ヨーロッパとアメリカは、戦場で勝利するために自分のところのリソースをウクライナのサテライト(*衛星、子分ということか)に使わせ、おかしな外交をしている
しかしこれが上手く行かないことがわかり、ロシアを内側から壊そうとロシア社会を二分しようとした
しかしこれも上手く行かなかった。我々の社会は成熟し、かつ、団結して、ロシア国民は特殊作戦を支持した
欧米諸国は情報空間のモノポリーを利用して自分の国民を騙し続けるということになったが、これはロシアでは失敗した
そこで彼らは、テロにスイッチし、我々のジャーナリストを殺害しようとした
しかしこれが上手く行かないことがわかり、ロシアを内側から壊そうとロシア社会を二分しようとした
しかしこれも上手く行かなかった。我々の社会は成熟し、かつ、団結して、ロシア国民は特殊作戦を支持した
欧米諸国は情報空間のモノポリーを利用して自分の国民を騙し続けるということになったが、これはロシアでは失敗した
そこで彼らは、テロにスイッチし、我々のジャーナリストを殺害しようとした
それに対して、ロシア当局は:
この点で、もちろん、私たちはウクライナの治安機関と協力している、西側のハンドラーの全員の名前、西側の機関の、主にCIAの全員の名前を知っていることに注意する必要があります。
明らかに彼らが(実行犯に)そのようなアドバイスを与えている。これが、ジャーナリストの権利、情報の普及に対する彼らの態度です。これが一般的な人権に対する彼らの態度です。彼らが気にかけるのは彼ら自身の権利であり、その中のいくつかは帝国の野心を持ち続けるということで、他のいくつかは、昔ながらの方法で植民地時代の過去を保持しようというもの。しかし、これはロシアではうまくいきません。
そこで、なにしろ話しているのは検察当局なので、こう訓示する。
私は、ロシアの捜査委員会とすべての捜査機関に、そのような犯罪を詳細に記録し、彼らの首謀者と加害者を特定し、刑事事件を開始し、必要に応じて裁判にかけるよう求めています。
ということで、2月に今般の特殊作戦を開始した時からロシアの中で言われているように、惨いことした馬鹿者たちは、(バトルグラウンドで死なない場合には)裁きにかけられる、という方針にブレはない模様。
実際、ロシアの報道では、アゾフらを筆頭とした現在のウクライナの軍事機構の成員であるらしい人々によってウクライナの市民に加えられた虐待が詳しく報じられているといっていいようだ。
それこそ、ロシア人が過去8年間(あるいはもっと長く)、どうにかせんといかんと思っていた状況で、そうであらばこそ、当局の意図にかかわらず、今般の作戦は必要であったということになる。
特に、ロシア軍の兵士に加えられた蛮行が詳しく報じられたことが、ロシア人の態度を強化、あるいは、腹を固めたと見る人たちが結構いるようだ。こんな奴らなんだな、これはもう決着をつけるしかない、となった、ということ。
聞くところによると、中国人、インド人なんかもこのロシア兵虐待の映像に激怒していていたらしい。
思えば、上でプーチンが総括している、自分のところのリソースを使って云々というのは、西側がウクライナ治安機関とCIA、MI6なんかが、ロシアは弱い、こんなに負けている、西側は強い、という印象を作ってロシア国民をおびえさせ、国民が怖気づいてクレムリンに軟化を懇願する、みたいな「作戦」を考えていたとみているという意味なのでしょう。
ロシア人はそんなことでおびえる人なのか???
はぁ??? だけど、多分前から準備した「作戦」だったんだろうと思える。
■ ケース1
アメリカ人の中には軍事関係に詳しい人が相対的にいえば欧州各国や日本などよりもずっと多い。なんせ年中戦争してるわけだし、退役軍人もいっぱいいる。
そこで、そういう人たちが現状を嘆きつつ、要するに反ネオコンとなって各種のフォーラムにいたり、自分でブログを持つ人もいる。過去15年かそこら一貫して存在するそれらの人々は、当然のことながら現在のアメリカの外交方針には批判的で、そして、意見を持って長く書けるだけの知見があったり、それが故のファンみたいな人たちがいる。
そんな中で、一般的な有名人ではないけど、ロシアものでは地味に有名な人がが、前にも書いたけど去年の終わりぐらいにアメリカの某有名シンクタンクの人が家に来て、どこそこで書くなと言われ、最初断り再度の来訪に俺は折れました、年寄りなのでガッツないです、とか言い出したことがあった。言い出したのを知っているのは彼にはホームページがあったから。その後そこには時々書いていた。しかし、2月の終わりの特殊作戦の後、2つぐらい書いた後、愛国心はないのかと来られてもなぁとか言って、俺は休止しますと宣言して以来休止してる。
また、別のところでは、ある種ボス的だった人が、手のひらを返したように、現在の政権の言うがままの、ロシアは苦戦している派になって、まわりを驚かせ、がっかりさせるというケースがあった。
それでも折れなかった数少ない人の中の一人が、このおじさん。こっちは元CIAのラリー・ジョンソンさん。
この人は、何をもってロシアが負けているなどというんだと、例を出して書き続けている。
RUSSIA’S ARMY IS A PAPER TIGER?
24 April 2022 by Larry Johnson
他には、スコット・リッターとマクレガー大佐ぐらいしか見当たらない。あと数人は、あまりにも嘘がすぎた場合に微妙な線を言う係りみたいな感じ。思えば、この状況は本当に異常で、少なからぬ人が指摘するようにイラク戦は少なくとも批判できたが、それもできない状況。
■ ケース2
そういえば、スコット・リッターが、アメリカには、軍でも国務省でも、ロシアの現実を知っている奴は誰もいないと何度も繰り返していることは、もっと知られてよいでしょう。
彼によれば、冷戦期のアメリカは、確かに反ソを強く打ち出してはいたが、そうはいっても敵を知らねばという意識があってロシア語、ロシア文化、歴史のいい先生もいたし、みっちり勉強させる空間もあった。だが、ここ20年以上にわたって、それが失せ、今、国務省、CIAにいる奴らは、プーチンはいかん、プーチンはいかに独裁か、独裁者はいかに害悪か、除去すべき、みたいな論文を書いてる奴ばっかりだ、と言っていた。つまり、結論が決まってる奴らが、勝手な想定をしているから何やっても上手くいかない、今モスクワにいるCIAは未だかつてないほど、何の成果もあげられない奴らだ(冷戦期は最優秀の奴らがいくところだったのに)、と言っていた。
■ やる気でやった
ということをいろいろ思い起こすと、私が「仮想戦記」と言っていた、現実とは何の関係もない、ロシアの将軍は何人死にました、参謀本部議長は首になりました、戦闘機は何十機も落とされ、戦車は何百両も破壊されました、みたいな頭がいたくなるほどのアホな話の主意は、3月にも書いたけど、
ロシア軍を引っ張り出したらすぐさま、最大級の制裁をかけて、ロシア国内を混乱させ、音を上げさせる、みたいな「妄想」を完遂するためだった、
ってことでいいんでしょう、多分。そしてそれは、偶然できたものではなく「作戦」として遂行されていた。
何台かの破壊は確かにあるだろうし、何機かは落ちただろうし、大きな船も一隻沈んだ。だが、全体を見よう、とならないよう誘導されていたのは実際確かだわなぁ・・・。
牡丹江でソ連の兵隊を集めてリンチするとか、何台かの戦車を破壊するとかしても、1945年8月のソ連軍の満州侵攻作戦を覆すことはできません、みたいな話なんですけどね。
振りかえってみるに、これはもう、ほとんど、クリスマスまでにはソ連に勝つ by ヒトラー、みたいなものかもしれない。笑えないけど、こういうことは初めてではない。初めてではないどころか、立派な欧州史のエピソード。
(1) 18世紀初頭
スウェーデン カール12世 「ロシアなど取るに足らない。私が跪かせてみせる」
スウェーデン カール12世 「ロシアなど取るに足らない。私が跪かせてみせる」
(2) 1759年
プロシア フリードリッヒ 「後進ロシアなど私が征服してみせる」
プロシア フリードリッヒ 「後進ロシアなど私が征服してみせる」
(3) 1814年
フランス ナポレオン 「ロシアは脆い巨人だ」
フランス ナポレオン 「ロシアは脆い巨人だ」
(4) 1941年
ドイツ ヒトラー 「今年の終わりまでにはソ連に勝つ」
ドイツ ヒトラー 「今年の終わりまでにはソ連に勝つ」
ロシア弱体化という願望
■ 地上
そして昨日は、ウクライナの真ん中へんの電車の駅が破壊された。西から東へNATO諸国が戦車、武器弾丸、燃料などを送ることがとっても難しくなった。
そこより西のポーランド国境付近では、ブツが集められると、一気にミサイルで破壊されることが何度か繰り返されている。脱軍事化はじっくり、着実に実行されている。
独、ウクライナに戦車供与へ 初の重火器支援
どうやって運ぶのか見ていよう。
また、ドネツクの兵が、ドンバスの紛争をモニターしていたOSCEのアーカイブスを発見。残して逃げたらしい。ここが中立ではなくウクライナ寄りの報告をしているとしばしば言われていたそれが明らかになるんでしょう。
The OSCE staff in Mariupol abandoned their archive. All OSCE field reports since 2014 were found, with reportedly thousands of Ukrainian war crimes that were documented, but which were not reported by the OSCE in their official documents. pic.twitter.com/3Aw61o2kUF
— Maria Dubovikova (@politblogme) April 25, 2022
「仮想戦記」では折り合いが付かないこと甚だしい。多分、次は、強い言葉と、テロまがいの事件を起こす。その間にまた作戦会議だ、みたいな。
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スローモーションのバルバロッサが失敗したわけだが
一方、鉄道労働者の息子で社会民主党所属だという現ドイツ首相は、なぜかロシアに過剰なまでの敵対心を燃やし、しかも祖父が武装SS将官だったとかいう情報も浮上(最後の件は、自分なりに裏を取ろうとしたものの挫折しましたが)。
既成の枠組みで見れば、これどういうことなの?と混乱せずにはおれないヘンテコな逆転現象が、現在の西側では多く発生しているような…。
いやほんとに、どうなってるんだろうかと首をかしげることだらけになってますね。
ショルツのおじいさんか、の話は、私も見ましたがあまり証拠がなさそうに見えました。
(EU委員長のフォンデルライエンのおうちがガリチア関係者のようだ、という話は本当のようだ、と思ってます。)
10日ほど前、「戦争は酷い。二度と繰り返してはならない。」と訴え、テレビニュースで紹介され有名になったマリウポリの少年の話、第2弾です。
https://www.youtube.com/watch?v=ccNKolpJwNQ
「まずは、おばあちゃん、いとこ達に挨拶します。マリウポリでこんなことが二度と起こらないことを強く願います。平和で、道路を戦車や自走砲ではなく普通の車が走ることを。幸いなことに、家はそのまま残り、本も全部残りおもちゃもそのままでした。ぼくは百科事典が大好きで、偶に文学も読みます。晴れた日に陽の光の下、座って読みます。コンピューターゲームは、目に悪いのでやらないと約束しました。ぼくは大変苦労しました。地下室で機関銃の音を聞き、頭の上を爆撃機が飛び、戦車が行き交う。仮にぼくが戦争のことを話すとすれば5才くらいの子には理解できず脅すだけだろうから、もう少し大きくなったら話そうと思う。戦争は酷いことで、平和な街から去らなければならない。罪なのはゼレンスキーです。何故なら、彼は平和的解決を選ばなかった。ママはこのことが始まった2014年当時、どうすれば良いかとかなり心配していました。将来、ぼくが住んでいてこれからも住むマリウポリの市長になればよいなと思います。」(抄訳)
元気の良い男の子で、話を聞いていてこちらまで明るくしてくれます。悲惨な環境にも拘わらず、屈託がなく非常に真っ直ぐな子です。このコメント欄に誰かが書いていましたが、ソ連時代にはこういう子がいたな、という感じがします。(ソ連では子供が子供らしいというのが僕の印象です)それともうひとつ、この8年間、この町はアゾフの首都として、かなりきついウクライナ語強制があった筈ですが、この10才の男の子は、訛りもなく(ウクライナの人には南部訛りがあります)非常にきれいなロシア語を喋っています。
もうこれ以上はザ・ウエストにお付合いするのはやめてほしいですね。
支援とかするのなら、官僚と閣僚と国会議員の給料から全部支払ってほしいですね。
これから先、食べるものにも困るようになるかもしれないので…