![]() | 河内源氏 - 頼朝を生んだ武士本流 (中公新書) |
元木泰雄 | |
中央公論新社 |
河内源氏の系統を詳述(とはいえ新書だが)した好著。
冒頭に清和源氏、桓武平氏の系図が出ているが、これがとっても使いやすい。いやそんなのwikiにあるだろうという向きもあるだろうが、やっぱりこういうものは紙がいい。
話の中心は河内源氏の盛衰で、源頼朝に至るところで終わるのだが、その間の平氏、藤原氏、朝廷まわりの動向も動的に読み込まれているので、縦の歴史として表題よりもずっと幅がある。素晴らしい。
八幡太郎義家というか源義家って苦労してるよなぁと思ってみたり、保元の乱あたりの父子、兄弟関係で争う様とか源氏って怖い人たちだわと思ってみたりという楽しみ方をしつつ、ちゃんと鎌倉時代に到着できる。
もう一つ、好著だなぁと思った点は、河内源氏の系統は東国にいって力をつけていくために、従来東国のいわゆる坂東武者っぽいイメージで語られ、そのイメージに食われてしまっていたかにみえるのだが、そもそも彼らは地場の武者ではない。中央に縁を有するものでもあり東国に拠点を持つものでもあるというその中間的なあり方を「軍事貴族」という概念を使われて説明しておられるのだが、このへんもわかりやすかった。
その他いろいろ、細かいところはなるほどと思って読み飛ばしてしまったり、私には詳しすぎて誰それ?へぇそんな人がいるんだ、等々で頭に入らなかった登場人物は多数。で、今後いろんなものを読むたびに系図を開いて、該当するところを読み返していくことになるだろうなと思われる。
会えて嬉しい便利で大事な一書。