■井上章一
桂離宮にエロスを読む
2007年に日文研で行われた講演。
「つくられた桂離宮神話」(1997年)で述べられたところを敷衍しつつ、
桂離宮にまつわるいろいろを、京都の人でなければ掘り起こせないポーズと雰囲気と諸々の小ネタで説き起こす。かなり面白い講演なのだが、実のところ中心的なところでかなり緊張感がみなぎっているのがわかる。というのはテーマがテーマだから。
桂離宮にまつわるいろいろを、京都の人でなければ掘り起こせないポーズと雰囲気と諸々の小ネタで説き起こす。かなり面白い講演なのだが、実のところ中心的なところでかなり緊張感がみなぎっているのがわかる。というのはテーマがテーマだから。
つくられた桂離宮神話 (講談社学術文庫) | |
講談社 |
氏は桂離宮と京都の上級町衆が支えてきた文化遺産の一つが通じ合っている、と考えている。林屋辰三郎は寛永文化論の中で、黒川紀章はバロックという言い方の中でどうやら同じものを見ていたのではないのかと井上さんはいう。
で、それは何かというと・・・。これが面白い。そしてたぶんそれはまったく正当な感触ではないかとも思える。しかしこれは言いよどまざるを得ない。なぜならそれは方や宮内庁の管轄にあるかの有名なそれ、方や・・・・(建築物の所有者があまり大声で言ってはいけないというらしい)。
井上氏は、ちゃらちゃらしているようでいて、その実反逆的なようでいて、それでいてなんと深く人間を感じていることよと感心させられた。
そして、なんと複雑であでやかで、ゆかしい日本よ、どうぞそのまま幾重にも秘密を重ねてもらいたいものだなどとも思った。
この講演は実に面白い。スローペースの冗談のうちにはらはらどきどきの1時間20分。