連日興味深い展開となっている、NATO東方拡大問題を考えずにすむようウクライナを戦場にしようという馬鹿プロジェクトですが、今日の日経は、まだ懲りずにバイアスをかけてきてた。
英・ロシア首脳、近く電話協議、ウクライナ巡り自制促す
だって。
宇宙広しといえども、こんな視点で書くのはイギリスと日本ぐらいなんじゃないのか?
実際には、フランス、ドイツ他の欧州諸国は、英米から出てくる「今すぐ侵略」の話に驚いて、距離をおき続けている。大使館員退避とかいうドラマの一幕も、結局、英、米、カナダしか参加してない。
ウクライナのゼレンスキー大統領周辺は、この騒ぎは迷惑であると明言している。
フランス、ドイツ、ロシア、ウクライナから成る、「ノルマンディー・フォーマット」と呼ばれる対話の枠組みがパリで話を始め、2週間後にはまた会う。
・何度も書いているように、英米が入ってないというのがポイント。
・この枠組みはミンスク合意を実行するためのもの。
・ミンスク合意は、キエフの米傀儡ナチ政権と東部ドンバスの2つの自治共和国が話し合って、憲法改正して新しいウクライナを作れ、というのが趣旨。
さらに、
クロアチアは、ウクライナで何かあっても兵なんか出さないといい、
ブルガリアは自分のところのエネルギー危機を心配してこっちも何もしたくない。
ハンガリーは、NATOの増員を引き受けるのを嫌がっている模様。
Hungary does not need NATO reinforcements amid Ukraine standoff – minister
イタリアは、英米の「今すぐロシアが」の大声の飛び交う中で、26日、プーチン大統領とイタリアの大きな企業団体がビデオ会談をしていた。
Meeting with representatives of Italian business community
これはつまり、アメリカが地鳴り越えをあげている「巨大な制裁」にイタリアが入らない可能性を示唆しているでしょう。その方が圧倒的にお得なんだから。
ということなので、イギリス、アメリカ、カナダと「それ以外」では態度が異なり、ウクライナの当局者と「それ以外」は同期している。戦争を回避したいという立派な大義もある。
で、イギリスは、「しまった」と思って、モスクワと対話だ、となるわけ。首相以外でも、英の防衛大臣がロシアのショイグをロンドンに招待する、とかいう調子の高いことを言っていたが、断られ、自分がモスクワに行くと言い出してた。笑えないほどみっともないことを言い続けているのがイギリスの全閣僚、すべての主流+タブロイドのメディア。
そして、ボリスは、プーチンと話せる俺様を演じようとしている。
ウクライナだけじゃなくて、カザフスタンもMI6が噛んでいるだろうとみんな思っているわけだから、大失敗の連続なんじゃないの?
イギリスはこういうことで表面を取り繕いたがる国。繕えてないから道化と化しているわけだけど。
■ ウクライナの大統領、米大統領に苦情を言う
で、昨日あたり面白かったのは、ウクライナのゼレンスキー大統領が再々ロシアの脅威、今すぐ侵略みたいな話は起こってない、と言っていることがついに西側メディアでも明るみになったこと。
ゼレンスキーが、ロシアの脅威を煽られたおかげで、うちの経済は損害被ってると怒ってるという話がブルームバーグから出てきたりしてる。
- Says situation on border with Russia hasn’t escalated
- President Zelenskiy again plays down risk of Russian invasion
読んでいくと、ゼレンスキーはたびたびバイデン政権に苦情を言っていることも書かれている。結構、強烈に主張しているっぽい。
■ ウクライナの内部抗争
ウクライナは東部以外はアメリカに支配された傀儡国家となってはいるものの、そうはいっても、ゼレンスキーは、地元&イスラエル系のオリガルヒに担がれた大統領なので、ヌーランドらが据え付けた大統領じゃない、というのがここでのポイントでしょう。
そして、去年の後半からは、そのヌーランドらの希望の星だったポロシェンコを訴追する動きがあった。
反逆容疑のウクライナ前大統領の拘束、明日判断 欧米は政争懸念
といってゼレンスキーが独立的で正常な方針を持っているのかというと、そこもまた違っていて、こっちはこっちのオリガルヒの事情というものがあるんだろうと思われる。
思い付きを書いてみると、
・イスラエル系オリガルヒが、昨今のイラン動向を念頭に、ウクライナでロシアを敵視している場合じゃねー、しばらく自重だと思った
・ここで騒乱を起こしたら失敗の責任を取ってゼレンスキーが倒され、ポロシェンコ閥が復活する、そんな手には乗らねー
みたいな感じ?
逆には、バイデンは、ポロシェンコ閥を作った側なんだから、ポロシェンコ訴追の事態はピンチだったでしょう、多分確実に。
最近の報道に出てきませんが、忘れてはいけない。バイデンその人はクーデターを仕掛けた張本人の一人。
2014年ウクライナでクーデーターを仕掛けたバイデン
https://blog.goo.ne.jp/deeplyjapan/e/6d1431b35f9579ac8e21cbd242b0f131
https://blog.goo.ne.jp/deeplyjapan/e/6d1431b35f9579ac8e21cbd242b0f131
左からポロシェンコ、バイデン、ケリー、ヌーランド、勢ぞろい。
書いてて思うわけだが、世界経済を危機に陥れる可能性さえあるこの馬鹿騒ぎが、ポロシェンコ閥を守れという発想から始まったとかだったらどうしよう(笑)。
しかし、まんざらなくはないのかもしれない。なにしろ日本の各紙までがこぞって「ポロシェンコ氏」の動向に関心を持っているぐらいだ。
ヌーランドらが担いだ集団はどこからどう見ても、控え目に見ても酷い奴らばっかりで、そこら中で惨いことをしていたが、中でも、オデッサの虐殺事件、マレーシア航空機撃墜事件は大事件としてウクライナ&ロシア世界以外でも知られている。航空機墜落事件では、オバマはこれを、何の証拠も出さず、ほとんど誰も墜落地点さえあやふやな時に、親ロシア派のせいにして、ロシアを糾弾した。まったく意味不明だが、オバマが得意の上から目線でやりきった。すべての主要紙が従った。
で、ここで、もしウクライナが変化して、それらの特筆すき悪辣さの部分に光があたるようなことがあれば、正常な神経の持ち主には歓迎すべき事態だが、ヌーランド/バイデン/オバマらにとっては不都合でしょう。
ウクライナをオープンにすることそのものが、西側の評判がこれ以上ないほど地に落ちる。
考えようによっては、この人は
この人たちより酷い状況にある。
■ オマケ
並べてみて考えるに、
ウクライナでポロシェンコ訴追の動き発生
→ヤバいと思ったバイデン一派が「ロシア侵略劇場化プラン」を構想(目的は動乱によってウクライナを完全掌握)11月
→それを知ったロシアが、NATO拡大問題を含む包括的な解決策が重要だとデカい声を上げる。一気に、冗談で済まないレベルになる 12月中旬
(カザフスタンで仕返しクーデター、失敗。ナザルバエフ倒れ、CSTOが登場、旧派の一掃が成る)1月初旬
→バイデン政権、おろおろしながらロシアの提案に半腰で答える 1月後半
→ゼレンスキー、倒れない
→バイデン一派、ピンチ 今ここ!
みたいな感じ? 発生源はそこ???
真面目に思うのだが、一体全体どうして2014年のクーデターは必要だったのだろうか? そこまでする価値はどこにあったのだろう? 不正隠匿のための維持コストがかかりすぎる。
一説によれば、ブレジンスキーが、ウクライナさえ切り離せばロシアが大国になることはない、との信念を持っていたから、とかいう。ムジャヒディーンを開発してソ連に向かわせたのもこの人。アメリカを破壊した男として知られるようになるでしょう。
まぁ無理でしょう、とばっちりがコチラに来ないことを祈ります。
↓
この動画の1:00辺りに出てくる教官らしき男性ですが、防止の紋章がどこかで見たような気がします。ウクライナの民兵でしたっけ?
https://www.youtube.com/watch?v=rUysvcVeGL4