ともあれ変わっていくようだと昨日書いたら、こんなニュースがウォールストリートジャーナルに出ていた。いやいやいや、面白くなってまいりました。
トランプ氏、米情報機関の再編と規模縮小を計画=関係筋
http://jp.wsj.com/articles/SB10175227258939934692904582539753709377214
【ワシントン】 米情報機関に対し批判的なドナルド・トランプ次期大統領は、情報機関を統括する国家情報長官室(ODNI)の再編と規模縮小などに関する計画について政策顧問らと協議している。事情に詳しい関係者が明らかにした。ODNIについては肥大化し政治化しているとの見方が背景にあるとみられる。
<略>
また、トランプ氏の計画に詳しい関係者の一人によると、政策顧問らは中央情報局(CIA)の再編にも動いており、バージニア州にあるCIA本部職員の削減や世界各地の現場にさらに多くの人員を押し出す見込みだという。CIAはこの計画についてコメントを控えた。
http://jp.wsj.com/articles/SB10175227258939934692904582539753709377214
いろんな情報機関があるけど、なかんずくCIAのことでしょうね。
昨日書いた「現在私たちが見ているのは、一極支配妄想主義者による内部崩壊である」の象徴例のようにさえ思う。(とりあえず過去25年の恐怖時代は終わりつつあるんだと思う)
まぁその、アルカイダと組んでる奴らの話をどうやって信じろっていうんだよってのが率直なところですね。あははは。
だけど、アメリカの大統領としてはこれはもう、今日誰でも知ってる通り、それはつまりケネディーになる可能性があるの??? という恐ろしい決断なわけですね。
だから今回は、まず国民に直接訴えることによって中間レイヤーで話しを仕切るメディアという存在の悪辣さを暴露することで、何かあってもメディアにナラティブ(話の筋)を仕切られないようにしてからこの大仕事にとりかかった、という感じでしょうか。
西側と比べたら「へ」のように小さいにせよロシアメディアがあるというのも大きい。屈しないから。そして、そこを非常に多くのアメリカ人を含む世界中の人が見るようになった環境も良い。もちろんロシアは国家として持つ情報もあるわけだから、それが潜在的には脅しになる。これも好都合。アメリカの体制内の歪みを正すのに協力してるロシアって何、また騙されるのぉとか言いたいものもあるけど、とにかく「悪魔」の撲滅が先決でしょうね。
そういうわけで、いよいよ来たか~って感じ。どうなるか誰にもわからんわけですが。
でも、あちこちに味方はいる。ひとつひとつは小さいけれども重要な働きをしているレジスタンスがあちこちにいる、と考えればいいんでしょう、きっと。
(上のWSJの記事の続き)
トランプ氏の政権移行運営に深く関わっているこの関係者は、「情報当局の世界は完全に政治に染まり始めているというのが、トランプ・チームの見解だ。それらは全てスリム化される必要がある。焦点となるのは機関の再編と相互作用のあり方だ」と話した。
このへんの認識は、既にCIAを含む各国情報機関出身の人たちで、現在のアメリカの外交方針に批判的な人たちが再々指摘している通り。ここらへんも様々なメディア(オールタナティブ系、ロシア系など)に出ることで、それなりに見解を述べて応援できる体制を作っているようにも思う。
これこれ。これは元イギリス情報部の人の見解。
これらによって、情報機関は、観察するという仕事を放棄して、自分たちが投資家になってしまい、捻じ曲げた現実、偽情報、次第に高まる傲慢さが織りなす迷路に迷いこんで、負けたのだ。
ジャーナリズムの政治化とジハード支配
もうやってることが情報機関じゃなくて、自分で判断して作戦行動する人たちになってて、しかも、それを止めたら過去の悪事がばれる筋になってるから、自分の利益がかかってしまってる。つまり、観察して判断をマネージする人に仰ぐのではなくて、それを乗り越えて、利益を期待して資金等を出す投資家と一緒になってるよと。
■ 「戦後レジームからの脱却」
でも、CIA問題は別にベンガジ、シリアだけではないし、アルカイダだけでもない。
冷戦時代から常に批判されてきた組織ではあるんだよね。過激で異常な反共政策の犠牲になった人が後にCIAを訴えてCIAが損害賠償に応じたケースもあるし、あと、ある種のもはやマニアみたいになってる著作者たちが、地味にいろんな資料を掘り起こしてため、出版物においてCIAものというのは一つのジャンルになっているようにも思う。
で、まぁ、これがつまりホンマもんの「戦後レジームからの脱却」ではなかろうかという気もする。どこまで行くかはわからないにせよ。
だって、CIAはドイツのナチの情報機関の人たちの情報と人物を扱った人々が中心になって出来た組織だし、冷戦期間中、ずっとその人たちを使い続けたことも知られている。(冷戦期、米国諜報機関は1000人ものナチをスパイとして使っていた)(混乱を無視して進むドイツ流)
さらに、後のEUにしても日本の政治にしても、この組織が影から資金を出したり、脅したりすかしたりしながら戦後政治が形成されていった。
ということで、この余波は大きいわけだし、そうであらばこそ、トランプは危険だとなるのも当然ですね。
さっき、アメリカ人たちが書いてる掲示板で拾った。「1947年以来、偽ニュースとクーデータの扇動」とか書いてある。好かれてないわけですよ、なんてか。
公共貨幣 | |
山口 薫 | |
東洋経済新報社 |
問題は英国ではない、EUなのだ 21世紀の新・国家論 (文春新書) | |
エマニュエル・ドット 堀茂樹 | |
文藝春秋 |
アメリカの行革なんですよね。
CIAとFRBに手をつけないと行革はできない、というのがとっても大変そうですが。あはは。