日本はもうプロパガンダ・ランドという地位で、これはこれなりに楽しむしかないんじゃないかといった趣だが、世界はそんなこととは関係なく動いている。
おバカな選挙で安倍ちゃん頑張れをやっている間、中国では、中国共産党大会が開かれ、どう見ても習近平強しのトーンは続行という感じ。
日本にはここ10年か15年ぐらい、中国は潰れる、破綻する、習は失脚等々、いろんなことを言ってた人がいっぱいいたなぁと遠い目ですがな。
そういえば、ロシアは2019年に経済破綻することになっていたような気がするんだが、森永卓郎は予想を変えたのだろうか? あと1年ちょっとで2019年だよ!
これこれ。証拠の記事を定期的に引っ張り出して置こう。
他者の破綻願望:ロシア編を評価してみる
そうこうしている間に、ロシアは今年は100年ぶりの豊作が予想され、2年前から顔を出して来た穀物輸出の上位国の地位をますます強化していっている模様。さらに、収量が増え輸出に回る量が増えたことによって、穀物からの収益は武器輸出を超える、超えた、超えそう、といった感じみたいだすよ。
Russia's grain harvest at 100-year high
http://www.blackseagrain.net/novosti/russias-grain-harvest-at-100-year-high
世界レベルで価格が付いているから、相対的に北米なんかよりずっと労賃の安いロシアはここで大きな利益が出る。で、それは10年ぐらいしたら差異が小さくなっていくだろうが、そこで今度は、GMOフリー、遺伝子組み換えじゃない農産物の大国としてブランド化する、ってな算段ですかね。
いいと思いますよ。世界中の広い面積がGMOになっていって、もし万一、その組み換えが気候変動(上下ある)に対応できない、or GMO種子が土地にもたらす影響が想定外だった、とかいう時にロシアものは別の行き方をしていたというのは人類にとって幸運となるでしょう。
みんな同じって危険なことですよ、ほんと。
で、石油、天然ガス、各種資源、穀物、水と何をとってもいっぱいあるロシアさんと友好な関係を結ぶ選択をした中国は、いやほんと、賢かったと言う以外にないでしょう。
一般に、ウクライナ危機で苦境にたったロシアにはそれしかなかったのだ、だからロシアにとって良かった、ロシアが下についた、みたいなことを言う人が多いような気もするけど、これは両方にとって良い選択だったでしょう。どう考えても。
欧州人とかあんまり気付いてないようだが、そもそも中国が崩れる時はいつも北からってなことを考えると、猶更そう。今の中露は、清とロマノフ朝ロシアなんだなと思えばいいわけだな、とか思ったりもする。
だからこそ、日本の現在のフォーメーションはあたかも、日清、日露戦争前みたいな感じなんだろうなぁとかも思う。
そして、2年前、戦後70周年を迎えるにあたっての我が国の首相の言に、誰も何にも期待もしていないのに、いきなり、日露戦争の勝利はアジアの人々を勇気づけたのだ、とかいうのが入っていたことを思い出す。恐ろしい。
■ 社会主義思想を捨てませんから by 習さん
その中国は、今回の党大会で、新時代の中国の特色ある社会主義思想を盛り込むと党規約に入れたらしい。何日か前から環球時報に書いてあった気がするが、ともあれ今日ニュースになってた。
2017年10月24日 / 14:22 / 1日前
「習近平氏思想」規約に明記、中国共産党大会閉幕
[北京 24日 ロイター] - 中国共産党大会は24日、党の最高規則に当たる党規約に、習近平総書記(国家主席)の名前を冠した政治思想「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想」を盛り込む改正案を承認し、閉幕した。
https://jp.reuters.com/article/china-congress-idJPKBN1CT0FC
社会主義と聞いただけでアレルギー反応を起こす人が盛大にいそうだけど、去年はアメリカでサンダースがいた。そしてロシアは、自己の立ち位置を市場主義経済の中の社会主義国です、といったあたりに置いていると思う。つまり、マーケットエコノミー一本槍だったら、国家は成り立たない(というより国家でいる意味がない)ということじゃないですかね。その意味で、中露も、そしてじんわりとアメリカも、国家を捨てたくないからむしろ社会を考える主張を採用しているということもできるかも。
■ 米を信じすぎたことがロシア最大の誤り
それはともかく、中国共産党の党大会で長い演説をして基本方針を打ち出した習さんに対し、プーチンはクレムリンのサイトにご挨拶を載せていた。そこで、今回の党大会を「歴史的な重要性を持った出来事」とまで言ってる。クレムリンのサイト。
Greetings to President of China Xi Jinping
Vladimir Putin expressed confidence that the decisions of the 19th National Congress of the Communist Party of China (CPC), which was an event of truly historical significance, would help strengthen the relations of comprehensive and trust-based partnership between Russia and China.
http://en.kremlin.ru/events/president/news/55915
ちなみに、ネット上には多数のインチキなプーチンの発言が跋扈しているけど、基本的には、クレムリンのサイトで確認できるか、動画でそう言っているのが確認できるか、あとはペシュコフ報道官がそう言ったとTASS他のロシアの事業者が拾っているの以外は、あんまり信じない方がいいと思う。
あと、ロシア軍がこういったああいった、というのも相当眉唾なものが多い。ってか、これって多分冷戦時代からのガセネタの定番なんでしょうね。ソ連はこう言っている、みたいなやつ。
ということで、中露間の協力関係はますます進む模様。今のところ抽象的なことしか出てこないけど、多分この重要性が反映される出来事が今後しばらくの間に起こるんだろうな、などと想像する。
で、ここでプーチンが、comprehensive and trust-based partnership(総合的かつ信頼に基づく関係)と言っているのは、as opposed to(何かに対置して、ということ)と考えると、そりゃもう、アメリカの過去25年から30年ぐらいの行為に対して言っていることは明白。
最近も、毎年恒例のバルダイ会議で、凄いことを言っていた。この会議、毎年その先にとって振り返ってみて重要だったと思うようなことを言う会議になってる。
ロシアの最大の誤りは、アメリカを信じすぎたことだ、と。
Putin Slams US: "The Biggest Mistake Russia Ever Made Was To Trust You"
こう語った動画を見たけど、怖かった。怒りと侮蔑の感情が抑えきれずに湧き上がるという趣だった。格戦略、ミサイル戦略で、優位性を得るために、アメリカは本当にいい加減なことを言いまくって、世界中を騙して、いい子のふりして、その陰で恐ろしいことをしているというのが、相手になったロシアの大将から明言された格好。
で、プーチンはそりゃ思い出すたび腸が煮えくり返るから普通に話てるつもりでも、怒りがメラメラ見えるようなことになるわけだが、そういう場をあえて作ったことには意味があるでしょう。それは、ロシアの失敗例を晒すことによって、もうこれ以上アメリカ( or the West)に騙さるな、というウォーニングを発したのだと思う。誰に? 北朝鮮とイラン、シリアあたりでしょうね。
重要なことは、チェチェン&グルジア、ユーゴ解体、イラク・リビア・シリアのシリーズといったことは、ロシアが弱い以上誰も止めないというのがわかって、米は行為していたということですね。
逆にいえば、シリアにおける2015年10月のロシアのシリア介入とその成功は、非常に重要な出来事だったということ。
“What we got in return is well-known – a complete disregard for our national interests, support for separatism in the Caucasus, a circumvention of the UN Security Council, the bombing of Yugoslavia, the invasion of Iraq, and so on. The US must have seen the state of our nuclear weapons and economy and decided to do away with international law.”
多分これは本当だったのでは?
去年10月にはダマスカスにISの旗が翻っているはずだった?
で、安倍政権というのはこれが成功するシナリオにおいて行動していたのだろう、ってこと。