15年目の911の日だというので、この関係の話を書こうと思っていたら、ヒラリーがニューヨークで行われた式典の最中に急遽その場を去ったというニュースが来た。
金曜から昨日も騒動を作ってしまったヒラリーだったが、今日は今日とて不調なのかとちょっと驚いた。不調というより、全体として「大乱調」といった感じがする今日この頃。
その後直ちにヒラリーのキャンペーンから、熱中症で具合が悪くなってその場を去ったみたいな声明が出たので、CNNなんかは勇んでそうなの、そうなのとなっている模様。が、しかし熱中症になるほど暑いわけではないようだ。もちろん、人によって、湿度によってうんちゃらかんちゃらとは言えるだろうが、大統領が式典一つこなせないってどうよ、ではあるでしょう。
とか書いていたら、英テレグラフ、インディペンデントに非常によく撮れたビデオがあがった。ヒラリーは、急きょ式典を去ることになったので車を現場に向かわせるまでに数分あったようで、その間ヒラリーは道路端で待っていた、それを後ろから撮った映像。
Hillary Clinton leaves 9/11 ceremony due to 'medical episode', campaign says she 'felt overheated'
http://www.telegraph.co.uk/news/2016/09/11/hillary-clinton-leaves-911-ceremony-due-to-medical-episode-campa/
これを見ると、支えがあれば(後ろの置物みたいなのに寄りかかってる)立っていられるが、自力では一歩も歩けてない。すぐさまシークレットサービスがぐいっと腕をつかんでヒラリーは崩れ落ちるようにバンに入ってる。最初、歩み出せないとは誰も思わなかった、ってのがわかる。
熱中症といえばそう言えなくもないだろうが、待ってる間誰も水持ってきたり、あおいで多少でも楽にさせるような行動をしてないから熱中症じゃないと思うな。
なんてかこう、ちょっとマジでこれはヒラリーさん、健康について何か言わんとあかん状況やと思うわ。
■ Bascket of Deplorables
で、金曜から土曜にかけてクリントンがアメリカをにぎわせたのはこれ。
Clinton: Trump supporters in 'basket of deplorables...
資金集めの集会で、ヒラリーが、トランプのサポーターは、大まかにいえば、半分は basket of deplorablesだ! と言い放った。
basket of deplorablesってなんか本のタイトルみたいで面白いんだけど、要するに、バスケット一杯の嘆かわしい奴ら、と言ったわけです。
さらに、それをダメ押しするように、
そうでしょ? 彼らはレイシストで性差別主義者、ホモ嫌い、外国人嫌い、イスラム嫌い、なんでありよ。
と言い、会場は笑ってる、と。
私は率直にいって、この人薬でもやってるんだろうかと思った。妄想を持つ人が、自分の頭の中に出て来た憎むべき奴らに怒ってるみたいな感じなんだもの。
アメリカ国民の方は、怒ってる人も多数だけど、もっと広くは、なんてか、候補者は叩いてもいい、選挙民を叩くな、ってな大統領選挙でやってはいけないことナンバー1を踏み越えたとして、まぁ民主、共和関係なくあきれてたって感じだった。
なんで選挙民を叩くなというかというと、大統領に当選したらその人たちとも国民として付き合わないとならないからだからでしょ。そこで憎み合うな、と。で、民主党の大統領時代は共和党員には人権はない、お前の言うことは聞かれないとかできないし、逆には、民主党の大統領が無理なく政権運営するには共和党の支持者のうちのほんのちょっとにでも、なるほどこの法案、このジャッジメントはOKだと思ってもらえないとなんにもできないからですね。
というわけで、昨日あたりのツィッターは、嘆かわしい奴で俺はまったくOKだ、ゴールドマンサックスと軍産の女に褒められるより「basket of deplorables」でいい、とかいう投稿が多数みられた。
twitterで、「basket of deplorables」と入力するとまだいろいろあると思う。
こんなのとか。あはは。本当に嘆かわしい奴バスケットはこれだろ、ってことですね、ほんと。
■ 911
で、15年目の進捗としては、6月だったかにサウジ関与部分の28ページが公開され、そして昨日は、テロ支援国にアメリカのテロ被害者が損害賠償請求を行える法律が下院で可決され、これで上下院が共に可決となった。オバマは署名しないと言ってるけど、覆すに十分な上下院の賛成が見込まれるのでこれは立法化するんでしょう。
9.11の被害者が「テロ支援国」サウジアラビアを提訴できる法案可決 オバマ大統領は拒否権発動へ
http://www.huffingtonpost.jp/2016/09/10/saudi-arabia_n_11947386.html
アメリカ下院議会は9月9日、9.11(アメリカ同時多発テロ事件)のテロ攻撃に関与したという理由で被害者家族がサウジアラビアなどの外国政府を提訴できる法案を可決した。上院では5月に可決されており、残るはオバマ大統領による署名のみとなっている。
しかし、これは大方のアメリカ国民が求めているジャスティス、つまり本当は何があったのか問題への答えにはなってない。少なくともサウジ単体であんなことはできないから。
つーことで、まだまだこの問題は何も解決されていない。さてしかし、このままどこまで行くのだろう?
これにどうにか扉が開かない限り、アメリカ人の自国政府への信頼は戻らないでしょう。っつーことは、このまま警察国家のまま行きたい勢力と、なんとかするぞという勢力の持久戦はまだ続くということ。
でももう、なんかその前にあっちもこっちもボロボロになってるアメリカでもあるわけで、どうするんでしょう。
それでも、昨日「オバマのリビア大失敗」で書いた通り、
北朝鮮と「オバマのリビア大失敗」
このままではいかん、と考える人がthe Westにもまんべんなくいる、ってことだと思うんですよね。結局リビアの失敗はイラクの失敗がなければ存在せず、イラクの失敗は911がなければ存在しないわけですから、まぁ実は同じ話なんですよね。
で、リバティ、デモクラティック、ってな価値を温存したいと考える人たちは主にどういう人たちなのかというと、主に the Western Civilization(西欧州の文明)を担うと自負している人たちだと思うんです。だから、ブリッツ vs XXXもこの流れ。で、これは the Westなる政治概念とは異なる。
結局、文明ごとにそれぞれいろんな価値基準に濃淡がある、good governance(良い統治)の型にも差異があるという認識をしましょう、互いの文明を尊重しながら一致できるところを一致させていきましょう、ってな、まるでユネスコかいという話になるんだと思うし、現在見え隠れしているいわば覆水流はこの、今までだって見えたり見えなかったりだったモードを回復させようということなんじゃないのかなと私は思ってます。
そこで、再度、再再度言ってますが、この本の意味というか価値は文明が衝突する、というところじゃなくて、一極化を目指す勢力がウォーミングアップしている時代に、いくつかの文明がありまして、と切り出したことだと私は思うんですよ。
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文明の衝突 |
Samuel P. Huntington,鈴木 主税 | |
集英社 |
だからこれは、反・一極支配であり、おそらく著者の志向としてはなんとかして西欧文明を保存したい、だったんじゃないのかな。
今となっては、多くの人は読み間違った、というか、そこで止まれなかったことがここ25年ぐらいの不幸を呼び込んだという感じ。
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明治維新という名の洗脳 150年の呪縛はどう始まったのか? |
苫米地 英人 | |
ビジネス社 |
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アメリカも批准できないTPP協定の内容は、こうだった! |
山田 正彦 | |
サイゾー |