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京都・1011年:一条天皇最期の日々/倉本一宏先生

2013-06-24 18:02:10 | 参考資料-平安


倉本一宏先生による藤原道長の「御堂関白記」についてのおもしろいお話。御堂関白記と藤原行成の「権記」を併読しながら、一条天皇の周りの華やかな暮らしから、その御最後に至る日々を物語ってくださっている。収録は2011年。

http://blskweb.nichibun.ac.jp/lapis/detail.do?id=227
国際日本文化研究センター

「御堂関白記」は世界最古の自筆日記で、鎌倉時代の古写本も残っている。

「権記」は、一番古い写本でも鎌倉時代のもの。

平安時代の貴族の人たち、とりわけ男は毎日ぷらぷら好きな女のもとを通ってばかりの生活をしているかのように思っている人が多いのではないかと思うが、それは主に源氏物語などの女性が書いた物語によって作られたイメージ。

平安貴族はそんなに暇じゃなくて、朝起きたらご飯の前に昨日の出来事を日記に記す等、実はいろいろ忙しく、かつ、几帳面に生きている。そのへんをわかってほしいと倉本先生。

(ここで触れられているわけじゃないけど、日記って近世の庶民にとっては自分の感想を書く、とても個人的なものというニュアンスになっているけど、これもまたいわゆる女流の人々の日記によるところが大きいのではなかろうかと愚考する。

昔の、特に確固たる地位のある家に伝わる日記は感想文じゃないし、個人のものでもない。何が起こったかを自分の子孫たちに伝える大事な資料というべきもの。上司や他者とどういう対応が望ましいのかとかダメなのかとかの資料にもなる。)

一条天皇は後世、武家政権下で理想化された(実のところ結構わかがままなところもある人なのだが)。これによって、その理想化の過程で天皇とはこのように有難いお方という概念が出来て、それが今日まで天皇を抱くという形が続いた一つの原因じゃないかと示唆されている(そうはっきりはおっしゃってないが)。

藤原道長って、栄華の絶頂を極めた歴史上の有名人で、どんなにか権力欲にまみれた人なのかと思えば、明るいというかポッとしたところがあって、粘着質じゃなくてなにか憎めない。


 

藤原道長「御堂関白記」を読む (講談社選書メチエ)
倉本 一宏
講談社
藤原道長の日常生活 (講談社現代新書)
倉本 一宏
講談社

 

 


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