スノーデンって何者なんだろう?
いや、なんだかむちゃくちゃになっている。
エドワード・スノーデンがアメリカの秘密を盗んで香港に飛ぶ、っていうストーリーを聞くと思わず、エドガー・スノーは中国の犬でした、のパロディなんじゃないかと言いたくなる衝動があったりもする。まったく無関係な話だとは思うが、なにか名前が妄想を誘う。
とりあえず、今スノーデン君はモスクワの空港にいるという意味ではロシアにいる。
しかし、空港の中のトランジットエリアにいる。これは通関の手前なので正式にはロシアの国境は越えていない。
そこで、プーチン大統領と外務大臣のラブロフさんはそのことを訴え、だ~から、ロシアがスノーデン君をひっとらえてアメリカに返すとかできへんやろ、ロシアに入ってないんやから、と言う。
そのうえ、ロシアとアメリカは犯人引渡し協定も結んでないやから、正式にもその義務はないんどっせ、と。
畳み掛けるように、つまるところスノーデン君は自由の身なんだからどこにでも飛んでいけばいいやんか、とも言う。
この二人がぶら下がり談話ではなくしっかり登場したのは、アメリカのオバマ政権のケリー国務長官が、協定はないかもしらんが、常識的に考えて、法執行の慣行としてロシアは協力すべきだ、そうに決まってる、それができないなら覚悟しとけよとばかりにかなり居丈高に言い出したから(少なくともタイミング的にはそう)。ケリーとは別に広報官のあんちゃんは、なんだったかもっとキツイ言葉でロシアと中国はわざとやってる~みたいなことも言い出していた。
それを受けて、ケリー国務長官は、上のロシアコンビの言を受けて、いや、別に対決姿勢をとろうとかいう話じゃなくてさ、と一夜にしてトーンが和らいだ模様。
冷静に考えてテクニカルにはロシアコンビの言うことに理があって崩せない、その上そもそも秘密のリークというけどその秘密情報の獲得手法が違憲だろうとアメリカ国内でも議論があり、現在ロシアは事実上内部告発者を庇っている側になっているのに、そこでロシアを脅してみて何がどうなるねん、と周囲に言われたんだろうなぁという感じ。
プーチン&ラブロフ vs オバマ&ケリー って、オッズが一方的になりそうなのがアメリカにとって痛いなぁ。
そもそも、アメリカはスノーデン君のパスポートを無効にしてる・・・。
無効にしてしまうと、亡命許可申請を受けてくれる国向けにしか脱出できない。で、エクアドルが許可するよ、みたいなことを言っているがじゃあアメリカはスノーデン君をエクアドルに行かせていいの?
で、エクアドルに行かせたらロシアを非難するんだよね、きっと。
というわけで、アメリカ政府はロシアにババを引かせるためにメディア総出で頑張ったが、プーチン&ラブロフのコンビに正面から突っぱねられた、ってところかと思う。
ついでにいえば、在ロシアのアメリカ大使館員が空港に行ってスノーデン君をひっ捕まえて大使館内(つまりアメリカ)に確保するという方法もあると思うんだけど、そこを検討していないのは、ロシアにババを引かせようという作戦の故ではなかろうか。しかし、それって私だって考えるぐらいの話なわけで・・・。
どうしてこうなった。
まだまだ動きがあるだろうし、最終的には関係者の得失点を見てみたいと判断できない事案なんだろうけど、想像してみる。これは最初は習近平主席のアメリカ訪問にあわせてチャイナに引っ掛けられたんじゃなかろうか、と思われていた。
それが現在、なんでだかロシアのプーチンが強硬だ、みたいな見出しになってる。
ここから考えるに、オバマ政権は、チャイナにやられて胸糞悪いので、ロシアに行かせて(誰がそうしたのかは2通り考えられるけど)ロシア叩きに利用しようとした。しかし全然うまくいってない、ってことだろうか。いやそうじゃない、アメリカには何か深い考えがあるのだと考えたいところだが(一応同盟国なので)。
折からロシアはシリア問題でアメリカと交渉中なので、その間、スノーデン君問題はミステリーのままになるんだろうか・・・?
実際問題、本当にロシアの空港内の乗り継ぎエリアにいるのかどうかまだ誰も確認できていないという話もある。
もうスノーデン君は、ロシアの怖いおじさんたちに「ちょっとお話しようや」と言われている可能性も大なわけで、そうなるとスノーデン君が持ってる中身の重要性が問題になる。アメリカ大使館員が強硬突破しないのは、むしろその重要性の故かとか考えたくもなる・・・。わからないことだらけ。
いずれにしても、オバマ政権はかなり分が悪い。米・英主要紙の記事の下には一般人のコメント欄があって、ある意味2チャンネル化しているんだけど、そこを見ている限り一般のアメリカ人がかなりがっくり来てる。久しい以前から、Obama is an embarrassment to the nation (オバマは国にとって困りもの、国の恥じ)と言われているけど今回も一言でいえばそういう感じになってる。
広報官とかケリー国務長官とかみてると、無闇に強気なことを言ってるけど落としどころが見えなくてグダグダになるという、まるで日本の民主党を見ているようだし無理もない。いくらなんでもああなってもらっては困るんで頑張ってください、アメリカさん。
参考記事:
元CIA職員、雲隠れ=ロシア滞在長期化も-旅券失効で出発二の足
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2013062600638