ウクライナを舞台としてソ連/ロシアを攻めるという構想はヒトラーの時代から何も変わってなかったことがますますあらわになってきて、そこだけ見れば私は個人的には楽しいが、で、これを一体今後どう始末していくのだろうと考えると、大変だな、としか思えない。
それはともかく、ウクライナの戦況は、なんというか、なんでいつまでもこんなことしてんの、という状況。
ドネツクを中心とする東部の民間人居住区に砲弾を撃ち込んで犠牲者を出すから、ロシア側に大きく殴られる、の連続と言っていいのでは? それによって、ウクライナでかき集められた人たちとこの「秘密の大戦争」のために駆り出されたイギリス、ポーランドあたりの軍人がただ死んでいく。
これはつまり、マスターである西側首脳部(というより西側秘密部みたいなところ)が、ロシアで政変を起こしてプーチンを引きずり降ろして、エリチンの時代を復活させるまで終わらせられないのだという底意の下に、ロシアを勝たせるわけにはいかない(by ドイツのショルツ、NATOなど)というアホな決意をしているからに他ならない。
ロシア側の攻撃の仕方は、春先とはまったく違う。春先は助けたいウクライナ人がそこにいるから、助ける奴と殺す奴の見極めをつけるのが大変で、そこで軍の側にも犠牲が大きかった(デカい爆弾でまるごと破壊する、という手段を取らなかったから)。しかし、もう助けるべき人たちは避難したり、一時退避させてるので、そこでミサイル撃ちこもうとしている奴らは敵でしかない。まったくのガイジンならなおさら遠慮はいらない。
ということで、こんな感じの動きがあちこちで起こる。
精密兵器: ロシア国防省は、ハリコフ近郊で最大 200 人のポーランド人傭兵が破壊されたと報告しました
この日かその翌日だったかには、スラビアンスクで外国人傭兵が集まっているところを攻撃して破壊しました、とかいう記事を見た。
そしてこうした「破壊」の場合、ロシア側にはほとんど犠牲者はいない。なぜなら、オープンフィールドでは中距離のロケットとか航空機を使って攻撃し、相手側にはそれを防御したり対抗する手段はほぼまったくないから。
そこで、ナチ側は民間人居住区に砲撃して民間人の犠牲者を出して、これがまたロシア人を怒らせまた破壊が来る。この連続。にもかかわらず、西側メディアではロシア軍は崩壊している、とかいって大騒ぎ。
そうしているうちに、特別軍事作戦の開始以来ロシア軍によるウクライナの地での脱軍事化作業が進む。毎日淡々と報告されている破壊報告によれば、3日ぐらい前の時点で、こんな感じ。
航空機333機、ヘリコプター177機、ドローン2,562、対空ミサイルシステム390、戦車その他の装甲戦闘車両6,813機、多連装ロケットシステム用戦闘車両902、野戦砲3,620、特殊軍用車両7352
昨日あたり、またラブロフ、プーチンが言っていたけど、我々はウクライナの人と戦争しているのではない、ウクライナ人を大砲の餌食として使っている人々と戦争している、というのがロシア政府の、そしてその後ろに控える集合的にいうロシア人(ロシア連邦の人とは限らない)の基本。
"We are not at war with the Ukrainians,but with those who use them as cannon fodder, Russia will achieve all of it's goals during the special operation"
— cooper (@coope125) November 25, 2022
Exactly,let's just hope, Ukrainians will wake up soon and realize the truth before it's too late pic.twitter.com/XDIBsAcXNJ
それがわからない、わかりたくないのが西側。
■ ますまる明らかになる「ナチその2」
毎週恒例の「ナチその2の時代」(笑)でございますが、
USはドイツの対ソ戦争を引き継いだ by Philip Agee(1991年)
今週は、先週よりももっと、1945年に終わった戦争の後、CIAはナチ残党を保護しておりましたという話しを見た。
まとまった記事としてはこんなのが最近出てきた。
ウクライナ:CIAの75年ごしの代理戦争
Ukraine: The CIA’s 75-year-old Proxy
おいおいいろいろ書いていくけど、今回はまずはスコット・リッター。2か月ぐらい前の動画。
TG 877: The Gaggle Talks to Scott Ritter
スコットは前から、ウクライナでナチを支援しているのは俺ら、というのをわーわー言ってるが、もう一歩突っ込んだ話をしているのを発見。
1時間 20分あたりから。ウクライナ人を訓練するキャンプにバンデラの像が立てられて、そこに世界中のウクライナのディアスポラが集まって、SS式の制服着て、バンデラに尊敬を示し、ナチみたいなカッコで敬礼したりといったことが行われている、
here in American, right now!! と激怒してる。現在ただいま、アメリカでこんなことが起こってる!!、と怒るアメリカ人は私は愛国者アメリカ人だと思う。
バンデラ祭りにはビクトリア・ヌーランドも参加してたそうだ。
在外ウクライナのグループはカナダ、オーストラリアを中心に世界中に広がっていて、そこで特殊利権のグループが出来て、お金も作って政治家に影響を与え、それによってこういう話しもできず、みんな盲目にされてる、という構図を語ってる。
ここらへんは語る人はもうみんな盛大に語ってるが、メインストリームには絶対のらないし、メインストリームのお抱え御用学者どもも言わないところ。
(ここでは触れられていないけど、ウクライナ、ポーランドのディアスポラとユダヤのそれは下半身は融合しているという感じだろうなとも思う。)
そこで、結局、東欧グループの中では脱ナチ化が行われなかった、それはアメ(CIA)にとって対ソでとても都合がよかったから、と対話者のジョージ(ハンガリーの人)が言い、それを受けて、スコットもまったく同意。
スコットはお父さんが米軍の軍人で70年代に西ドイツにいたため、子ども時代を西ドイツで過ごしている。高校生の頃、ボランティアを奨励されていろんなことをしてその頃見た話しをしてる。当時(1977年)、displaced personと呼ばれる一群がいた。それは1945年に終わった戦争の時分に、ソビエトで捉えられてドイツに連れて来られて労働させられてた人たちで、戦争が終わっても帰らなかった人たち。ポーランド人、ウクライナ人で、CIAとコンタクトしてる。彼らはロシアを「情熱を込めて」嫌い、アメリカが大好きで、アメリカのためなら何でもするといった感じだったと。
多くの西ドイツの人は知らない、秘密の経済コミュニティーがあったんだとも言ってる。だけど誰も語らない、そもそもゲーレンのことも語らない。ゲーレンは、今のドイツの情報機関を作った人だというのに。
ゲーレンは戦犯となる代わりにバンデラらのドイツ国外で作ったネットワークをそのまま(CIAの金で)引き継いだわけだから、つまり、西ドイツは表面上はどうあれ、全然脱ナチ化していなかった、と。
■ ゲーレン
ラインハルト・ゲーレンは、ナチ・ドイツの東部戦線の諜報活動の中心人物。そこで、敗戦が迫ったとき、自分が持ってるネットワーク、情報はアメリカの役に立つと気付いてドイツが持ってた情報を盗み出し(フィルム化して)、アルプスに隠して、その後アメリカに投降した、と言われている。
まぁ、ダラスあたりがスイスでうろうろしていたことを考えると、秘密のネットワークによる「推薦」みたいなのがあったからなんじゃないのかなぁと私は思っているわけですが、そこまでのことは今のところ出て来ていないと思う。
で、ゲーレンはその後CIAが資金を投入して、それによってゲーレンが東欧、ウクライナで作ってたネットワークの人たちをまた採用していく。これによって、これらの概ね対ソで戦犯であったであろう人たちが大量に生き延びる道を開いた。
そして、ゲーレンはそれを単なる一時的なユニットでやってるんじゃなくて、ドイツの情報機関を作ってそこにさらに20年ぐらい居座った。1968年までナチ現役(笑)。だからソ連に捕虜になって帰ってきた人は全員このナチ継続の人たちに調べられていた。そりゃもう、脱ナチ化なんて夢のまた夢でしょう。
さらに、思えば、東ドイツの悪者化だって、これらの機関あったればこそというのが正当な評価なのではなかろうか。東ドイツは、反ナチスの人々がナチに弾圧されたことで欧州各国、ソ連に逃れて、逆に、1945年にソ連が勝ったことでそれと共にドイツに戻った人たちが中心になってできた政体。つまり、西ドイツに陣取ったゲーレンたちからすれば、ほとんど宿敵でしょう。
東西ドイツがどうやって出来たかのかを「冷戦のせい」というのは浅薄にすぎる。というかむしろ倒錯しているのではなかろうか。
エプスタイン事件 (3) エプスタイン「自殺」と赤狩り物語
https://blog.goo.ne.jp/deeplyjapan/e/45815da53d92638b9f8d2b11f7b4adf4
https://blog.goo.ne.jp/deeplyjapan/e/45815da53d92638b9f8d2b11f7b4adf4
■ 極東
で、これは日本でもほぼ同様だなと思った。
スコットの話を聞いていて、70年代、80年代あたりまでに、アメリカの軍人で日本に滞在していた人の中にも、ソ連こそ悪です、共産主義こそ悪です、とか言ってる本来ならば戦犯となったであろうおっさんたちを見て、なんだかなぁこの集団みたいな視線で見ていた人もいたに違いないと思った。お前ら、なんやねん、みたいな。
高いランクの、いうなればディープステート集団の関係者というのは最初っから、上流階級のことは庶民に関係ないと思ってるだろうから彼らのモラルには抵触しないだろうけど、一身で国務省の中の地位とか、軍の中の地位を得た人にとっては、そもそも中国、朝鮮、ロシア極東で庶民相手に残虐なことをやってた奴らが平気の平左で、我々は民主主義、中国、ソ連は共産主義、彼らこそ悪です、とか言って威張っていたとしたら、たとえ現在味方であっても、個人の感情として良しとはしなかっただろうな、と思う。
■ ナチ化と脱ナチ化
今後どうなっていくのか、出来事の成り行きという意味ではわからないけど、ますます明らかになるのは、ロシアによる脱ナチ化は、ドンバスの地面を超えて実は幅広い裾野を持ったテーマだったということ。
どうなることか誰にもわからないけど、混乱が続くことだけはわかる。
そして、NATOの現在は、上でスコットが観察したような在外ウクライナ、ポーランドあたりの集団を中心アクターとして、むしろ、ナチ化しようとしている。
その中心に、ヒトラー崇拝ならぬバンデラ崇拝を置いている。
はぁ?
— DEEPLY JAPAN (@DTJTakumi) November 26, 2022
ポーランドってもうなんでもいいんだね https://t.co/D7oSmEUwFf
ソ連が東ヨーロッパ、中ヨーロッパを解放したということは絶対に認められず、ソ連が侵攻してきたから応戦していたのだ、という話しに作り替えている最中と申せましょう。そしてそれが、現在の我々だ、とこういう人たちが皆さんを鼓舞している。
できるんだろうか?
■ オマケ
脱ナチ化というテーマは、アメリカの政治事情にも影響していると思う。トランプを抱えた右派は、現在のウクライナ危機をバイデンやオバマによる「レフト」のせいでこんなことが起きた、と描きたかった。3月ぐらいまでその線のトークがたくさんあった。コミュニストが~みたいな。
ところが、ロシアがナチ、ナチ言い出し、アメリカの中でも、「ナチ残党が大量に抱えられているアメリカ」というテーマは再三問題視されていたので、ほぉらみろ、みたいな人たちの発言にフォーカスがあたった。歴史に敏感な人たちが生き返った。
となると、「レフト」が悪いという、考えてみればナチその2のアメリカがやってきた、なんでも悪いのはコミュニストというやり口は今回はスカになった。
右派は、多分、トランプを担いでレーガン再来にしたかったんだろうと思う。だから、レッドの津波が~とか言ってた。これはレーガン、ブッシュ息子がやってきたことの踏襲。右派こそアメリカなのだ、という見せ方も、前にも見たぞ、それ、ばっかりで退屈。
どうなることやら。
この試合で、どちらが突破するか決まる。
国歌斉唱拒否などとうつつを抜かしている場合でない。
前回、ベスト8入しながら、今回参加することさえ叶わなかったロシアの無念を晴らしてくれ!
しかも、排除されたロシアの代わりに、不戦勝でW杯出場を勝ち取ったのが、ポーランド!許せん!
ONELOVE=ハーゲンクロイツ
アメリカとNATOが次第に兵器生産で追い込まれてきた、というのは今は平時だ。彼らはその肩代わりを韓国に求める可能性が高い。というより既に始まっているが、韓国の産軍共同体ははそれを慎重に見ているようだ。
韓国は今アメリカと協力関係にあるが、いずれロシアとも協力関係に入ると睨んでいる。それがいつかは予測できないが10年以内に起こると思う。
最近のプーチンのウラジオストックの東方経済フォーラムの講演会の話を読んでそれを感じた。
お互いが求めているものが同じだ。
ロシアの高麗人が協力するだろう。
ロシアの戦争犯罪裁く「特別法廷」、欧州委が設置案発表…凍結資産をウクライナ復興に
https://www.yomiuri.co.jp/world/20221201-OYT1T50273/
記事によると
>ロシアの戦争犯罪については、オランダ・ハーグの国際刑事裁判所(ICC)が既に捜査を始めている。ただ、ロシアがICC非加盟国のため、ウクライナが「早期の立証が可能」として求める「侵略犯罪」で裁くことは、国連安全保障理事会の付託なしでは、規定上できない。
だそうですが、アメリカや欧州が、イラクやアフガン、シリアやリビアなどに対する軍事行動のかどで「戦争犯罪」の責任を問われたり、他国から経済制裁を受けたりしたことが一度でもあったでしょうか。
今年5月に、アラブニュースを始め、中東地域からは、ロシアの軍事行動には必ずしも賛成しないものの、欧米の態度はダブルスタンダードで偽善だという怒りの声がかなり上がっていました。
彼らの主張の背景にあるものを理解しない限り、欧米への敵意は消えることはないでしょう。
今日のセイカーのオルロフ氏の文章は素晴らしい出来で、現在のロシアの理解に役立つと思います。
(12月2日の The Goldilocks War という記事)
クリミア併合の何年か後の経済フォーラムでロシア高官がインタビューで、「個人的にはこの経済制裁が続いてくれた方が有り難い」ということを述べていました。実際、制裁により自立を余儀なくされたロシアの農産業の発展はめざましく、今では、完全に自給自足できる国になりました。更に今年の「地獄の制裁」により、ロシアは一層、軍事、経済共に強化されたように見えます。
経済面よりも重要だと思うのは文化面で、西側文化に対する疑念とロシア文化に対しての再評価が生まれつつあることです。最近、あるロシア人と話をしていて、「ロシア的精神とは何か」と問うと、彼女は「利他的なことかな」と答えました。実際、今の戦争に於いても、戦場での兵士の戦い、銃後の大変活発なボランティア活動でも、これは見て取れることです。恐らく、西側精神というのは「利己的」「合理的」だと思います。だから、ロシア人の行動が分からない。もう少し言えば、西側は常にロシアという国、ロシア人を完全に見くびっており、関心を持つ必要もないということで、全くの無知に陥っているのではないか。無関心だから無知であり、「謎」だと。従って、対露政策は常に誤り、「予期せぬ事」が続いているということではないでしょうか。
ドミトリー・オルロフの記事、私も読みました。私はオルロフのファンなので氏のサイトも読んでます。
こういう局面でGoldilocks(3匹のくま)が出てくるあたりが、才人オルロフならではだとも思いました。スパンが長く、長持ちする議論をする。ああ、ロシアだなと思いました。
そういう人たちの集団を破壊しようとしたって、それは結局無駄なあがきだとも思いました。
また,URLですが,確かに特定のURLはこのgooによって蹴られるようです.
さて,このオルロフ氏の文章で印象に残った一つが教育に関する下りでした.90年代に破壊されかかったのが見直されているようです.
ソ連が解体してから現在に至るまで科学者の国外流出が続いています.それは致命的なことだと言われるのですが,別の視点から見ると違ってきます.それらの科学者の多くは,ロシア/ソ連にいた時のほうが良い仕事をしていたのです.これは何がそうさせているのか,オルロフ氏の書いているように,ロシアでは商業主義に流されずに独自の思考を貫けるからなのか,と思っています.