如意樹の木陰

古い記事ではサイババのことが多いです。
2024年に再開しました。

秋の旅(10)

2007-10-07 00:11:54 | インド旅行記
ハンカチ
インタビューに呼ばれた翌日の午後、少し疲れた気がして昼寝をしたら寝過ごしてしまった。子供が、.興奮した日の夜熱を出すのと同じようなものである。いくつも夢を見た。巨大地震の夢、荷物をいっぱいに積んだノアの箱船のようなジェット機がやっと離陸したものの墜落する夢。しかし、どの夢もそれほど恐怖感がない。内容のわりに怖くないのだ。
十年ほど前、予知夢を立て続けにたくさん見たことがあった。その中には翌日のテレビの一場面の予知夢もあった。だから、あまり恐怖感のない夢はたとえ予知夢だとしても映画の一場面かもしれないと思うことが多い。
UFOの夢を見たりするのだから、それをいちいち将来起きる事実として受け止めるわけにはいかない。それよりもUFOの飛来をほとんど信じていず、あまり興味もないのに、なぜUFOの夢を見るのか、そちらの方がはるかに不思議である。しかもそのUFOの形はたいそうクラシックな「空飛ぶ円盤」なのである。

私のいる宿は、アシュラムのマンディールから歩いて5分とかからない。直線距離にすればマンディールから200m程度である。だから宿にいても、バジャンの声などは風に乗って宿の部屋まで聞こえてくる。そんなとき町はとても静かである。

部屋の窓から前方の建物の間にレストランのテーブルが見えるので、捜してみた。そのレストランは、狭い路地のいちばん奥にあって、ガーネーシャゲートから近いこともあってずいぶん繁盛していた。コーヒーやトーストの出来はこの辺りでいちばんかもしれない。私の宿の1階の食堂の主人はイタリヤ系の夫人だが、ここの主人も同じである。宿の部屋の窓から見えるのは、このレストランの外の階段を上がった2階の席で、そこに座る人はある程度いつでも決まっているようだった。

アシュラムでは、広間の拡張工事と平行してマンディールの2階のテラスに何か作り始めている。たぶん生誕祭向けの工事なのだろう。工事はダルシャンやバジャンの間も続けられる事がある。スワミは工事の進行がとても気になるらしく、バジャンの前などに工事現場を見ては指示を出している。スワミがどうして工事の進み具合にこれほど気を配るのかと思うこともある。

せめて、マントラを覚えようと思って、本を買った。マントラは祈りの言葉。本にはバジャンの歌詞もたくさん載っている。バジャンは神をたたえる歌。バジャンの時、その本をめくって歌い出しの歌詞で曲を捜すのだが、これは案外難しい。しかしある程度バジャンが歌えれば、毎日のバジャンがもっと楽しくなると思う。
アシュラム内の書店では、さまざまなサイババの本を売っていて、いろいろな国の言葉に翻訳したものが並んでいたが、この時はなぜか日本語の本は置いていなかった。

新しくツアーの日本人グループがアシュラムに入って、目立って日本人が多くなった。
その日の夕方、日本人向けの説明会がアシュラムで開かれた。説明してくれたのは、小太りの60歳くらいの男性で、サイババの傍でよく見かける人だ。サイババの側近のひとりだろう。
説明の中で強調されたことは、アシュラムの外へ出るな、という事。このことが、これほど強調されるとは思わなかった。確かに、わざわざ日本から来たのだから、アシュラム内で修行に精を出すに越した事はないのだが、まさか、アシュラムの外に魔界があるわけでもないだろうと思う。
しかし、説明者の話し方は、まるでアシュラムの外に非常に邪悪なものが待ち構えているかのようである。そして、サイタワーと○×△には行ってはいけないと念を押す。いったいそこに何があるのだろうかと、事情を知らない私は逆に興味を感じてしまった。
外には悪い誘いもある。また、外で出される食事は、作る人が信者でない場合があって、たとえベジタリアン料理でもその料理人の好ましくない思いが料理を通して食べる人に伝わる。だから外に行くな。そう云った話をされた。
これをそのまま受け取った人がいて、外でクルタ・ピジャマを注文してしまったのだけれど、どうしたらよいでしょうかと質問。それを取りに行くことくらいは大丈夫です、との答え。
もうひとりの男性の質問は、タバコはどこで吸えますかとの質問。外に出てタバコを吸えないのなら、アシュラムの中でどこか吸える場所はあるかと云う意味。この正直?な質問には少し間が空いたが、喫煙は悪い習慣ではあるが、どうしても吸いたいならシェッドの裏のアシュラムのスミにあたる場所で吸うようにとの回答であった。

説明会の翌日グループの人に、説明会でなぜあんなに外出をしないように話したのか、そのわけを聞いてみた。
それによると、この年の5月頃、日本から来ていたあるグループが霊感治療をアシュラム内外で有料で始めたのだそうである。金額もかなり高かったし、スワミの名前を使ったりもしたようで、当然問題になり、彼らはアシュラム内から退去させられることになった。
ちなみに、アシュラムの規則を読んでも、『アコモデーション(アシュラムでの宿泊を管理する部署)は、理由を告げることなく退去を命ずることができる』となっている。
この退去の時さらにまた、いろいろと騒動があったようである。
その一件で、アシュラムでの日本人の評判は相当悪くなったらしい。そして、今でも、それは尾を引いていて、説明会の時に名前のあがったホテルには、彼らがしばらく滞在していたり、手かざし治療をしていたりしたらしいのである。今いるのかどうかは分からない。あれだけ強く言うところを見れば、いるのかもしれない。

その翌日、今度はスワミにハンカチを使っていただいた。
ダルシャンでスワミがビブーティを出したとき、周囲の人がスワミにハンカチを差し出しているのを見て、私もそうしようと思って、昨日ハンカチを買っておいたのがすぐに役立ったのだ。ハンカチを買った次の日にすぐなんて、アシュラムに偶然は存在しないっていう事の証明?
いちばん前の列に座っていたら、少し前の所でビブーティを出して、その後私の前に来たので、ハンカチを差し出したらビブーティをそのハンカチで拭いて、投げて返してくれたのだ。
これじゃあ、芸能人の追っかけとかわらない。
それでも、例によって私は非常にうれしい。にこにこしながら外に出たら、年配の信者の人に「赤ちゃんのように嬉しがっている。」と言われた。まあ、事実である。
アシュラムでは、スワミと何らかの交流を持つことが私の目的なのであって、スワミと目があって、私の用意したハンカチを使っていただいて、そのハンカチを私にスワミが投げ返してくれたのである。そこに意味・価値を見いださないで、何のためにアシュラムに来たというのか。スワミの本ならどこでも読めるし、他の信者さん達と仲良くなるなら、スワミがいなくてもできる。ここでなければ絶対にできないことをするのがよい。もちろん、あまりやりすぎてはいけないということは、わかっているつもりではありますが。

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