雨の日に拾われた猫の話

2006年初夏、しとしと降る雨の夜に拾われた二匹の子猫。
リツとコトと名付けられOL一人との同居生活が始まった。

311回想 ~その3~

2011-04-10 23:49:52 | 日常のこと
311回想シリーズその1その2はこちら。

真っ暗な会議室から薄暗い廊下に出てみると、クライアント先のスタッフのみなさんも
事務所内から出てきたところだった。
ビルを出るように言われ、財布と携帯だけ持って階段室へ向かう。












大きな傘立てや書類棚が傾いたり倒れたりしていた。
給茶室のコーヒーメーカーが倒れ、セッティングされていた水と豆が散乱していた。
エレベーターホールの天井にはまっていたラグラーチェ5枚全てが床に落下していた。

階段は窓がなく真っ暗。
足元がほとんど見えない状態で、手探りで声を掛け合いながら下る。
息を吸うと粉っぽい空気がのどに入ってくる。
壁が剥がれたのか、足元は瓦礫だらけ。











7階から下るのがこんなに長いとは…と感じたころ、うっすらと外の明かりが入る1階に到着。
急いで外に出ると、大通りはビルから出てきた人で埋め尽くされていた。
ビルの真下は危ないということで、中央分離帯まで避難。
車通りは多いが、信号は消えたまま。

その時、東京にいる同僚から電話があったが、通信状況が悪く切れてしまった。
その後一切携帯がつながらなくなる。

(きっと、この頃海沿いの街に津波が押し寄せていたのだろう。
この後もしばらく情報が入らなかったため、我々が津波の被害を知ったのは翌朝だった)












中央分離帯にいる間も余震は続き、信号や道路標示、街灯が揺れてミシミシギシギシいう音が
絶えることはなかった。
今にも雪が降りそうな仙台の空。
長いこと外にいるのはつらい。
このまま外にいても動きが取れない。
揺れが落ち着いたのを見計らいパソコンや荷物を取りに戻ることに。

とはいえ、いつが「落ち着いた」状況なのか分からず、結局賭けのような感じでビル内に戻り、
さっき下った真っ暗な階段をまたもくもくと登る。
会議室に駆け込み仕事道具をキャリーケースに戻し、天井から降ってきた粉や漆喰の欠片で
真っ白になったパソコンとコートと自分の荷物(東京に戻る日だったためスーツケースも)を
持ってまた暗い階段を下りる。
いつ来るかわからない地震におびえ、焦りで指先が冷たく手のひらに汗をかいていたのを覚えている。












携帯の照明で足元を照らしながら階段を下りていると、壁が剥がれたと思っていた瓦礫は実は
天井が崩れたものだということが分かり背中がひんやりする。
3F4Fの踊り場の壁には横に向かって大きなヒビが入り、壁が剥がれていた。

もう一度外に出てやっとほっとした。



つづく











先週までの2週間ほど美しく庭を彩ってくれたハクモクレンは週末の大風でほとんど
花びらが落ちてしまった。
また来年会えるのを楽しみに。

明日で震災から1カ月。












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