マーちゃんの数独日記

かっては数独解説。今はつれづれに旅行記や日常雑記など。

連勝はどこまで続くのか

2017年06月20日 | 将棋

 最近の将棋界は話題豊富である。昨年は、スマホ疑惑に端を発し、日本将棋連盟の理事退陣などの出来事が出立し、暗雲が立ち込めていた。しかし、今や中学生棋士藤井聡太四段が連戦連勝中で、マスコミの話題はここに集中し、将棋を始める子どもさんが急増しているとか。漫画や映画でもあり得ないようなストーリーが中学生によって演じられ、彼に夢を託し、日本中が興奮しているように感じられる。その初々しい姿も好印象で迎えられている。
 将棋が好きなこともあり、私は棋士関連の読み物を愛読している。どの棋士の物語にもドラマがあり、棋士に親近感を抱くことも多い。藤井四段のみならず、ポーランド人で初の外国人女流棋士となったカロリーナ・ステチェンスカさん、名人を防衛した佐藤天彦名人、間もなく引退を迎える加藤一二三九段や渡辺竜王等など。今日はそのうちの藤井四段について綴っておきたい。
 中学生の藤井四段の凄さは、数年の経験を積んでからの連勝ではなく、デビュー以来負けなしの27連勝(6月20日現在)を続けていることにある。このブログの読者諸氏も報道等を通じて多くのことを知っていることだろう。そこであまりマスコミに登場しない事柄を中心に記すと、
 (1)将棋連盟は、棋譜のモバイル中継(有料)をしているが、6月2日に行われた棋王戦予選の澤田六段対藤井戦では、ある時点から中継が繋がらなくなってしまった。私も月540円を支払いこの中継を観ていたが棋譜が進まなくなった。モバイル観戦のアクセス数が予想を超えるという事態に立ち至り、新たな”千駄ヶ谷伝説”が生まれた。

 (2)6月7日の「上州YAMADAチャレンジトーナメント杯」での対阪口戦。最終局面に藤井四段に悪手があり、大逆転で必負の局面となったが、阪口五段が魅入られた様に大悪手を指し、即詰に討取られてしまい、連勝は途切れなかった。右は藤井四段の一手を見て阪口五段が投了を告げた局面。詰め将棋に自信のある方は、その後を解いてみてください。

 (3)NHKの日曜放送に「NHKトーナメント杯」という番組がある。当日以前に録画録りが行われ、当然、その結果は放送終了まで伏せられる。しかし4月17日に放映された千田五段戦の結果は、それ以前に勝敗が公表されていた。この戦いにも勝利した時点で、連勝記録をカウントしなければ連勝記録に齟齬を来すからか。あるいはこの結果を公表しておけば、この番組の視聴率が上がるとNHKが判断したかは分からないが。前代未聞のことが起こった。

 (4)6月15日は対瀬川晶司戦。瀬川五段はプロへの登竜門の奨励会を脱退した後に、各種アマチュア選手権で優勝し、プロへの編入試験に合格。2007年に37歳という高齢でプロとなった異色の、”雑草魂”の男。その生き様に共感した私は『泣き虫しょんたの奇跡』(瀬川晶司著)などを読んだこともあった。
 経歴において、対極に位置する二人の対局の棋譜読み上げの女性が凄い。女流棋士の里見香奈五冠。彼女は現在奨励会会員だからあってもおかしくはないのだが、異例中の異例。(写真:対局中の右瀬川五段。左藤井四段。奥の女性が里見女流五冠)
 などなど、普段では起こらないような事が続いている。
 興味や期待は、どこまで連勝が続くのか、28連勝を突破するか否かだが、渡辺竜王はそのブログで次の様に書いている。

 (5)次戦からの澤田六段(王将戦・21日)、増田四段(竜王戦・26日)、佐々木勇気五段(竜王戦・26日に勝った場合)は強敵続きで試練の3連戦と言えます。これを全部勝つのは上位棋士でも容易ではないでしょう。この3連戦も勝たれたら実力、勝負強さも含めてお手上げ、と感じている人は多いと思います。注目します

 



名人佐藤天彦、PONANZAに敗れる

2017年04月04日 | 将棋

 41日(土)に電王戦第1局、将棋名人佐藤天彦対PONANZAの一戦が行われた。この日は花見などがあり、途中からiPadで棋譜観戦をしたが、名人は終始苦戦で、素人の私にも名人の方が分が悪いと分かるような一戦だった。持ち時間5時間のところ、PONANZAの消費時間は1時間21分に対し、名人は4時間59分。5時間の持ち時間使い切り寸前だった。(写真:対局終了瞬間。このロボットの手が駒を動かす)

 先手はPONANZA。将棋の先手・後手は予め決められている場合と当日の振り駒の結果決められる場合とがあるが、この一戦は、対局に先立つ1ヶ月ほど前の2月22日の記者発表会で、韓国の囲碁棋士で、あのイ・セドル九段が振り駒を行って決めた。と金が2枚出て、PONANZAの先手に決まった。
 相手を研究し対策を十分練ったと思われる、初手が38金。女流戦で1度だけ指されたことはあったがプロの対局では登場しない手。後手が研究しずらい将棋へ導こうとした。名人が最も得意とする「横歩取り」を巧妙に避けたのだ。(写真:PONANZAが3手目を指した局面。プロ対プロでは出現しない局面)
 71手を指された段階で名人が投了。コンピューターが初めてタイトルホルダーに勝利した瞬間。囲碁界でも、先日まで七冠を保持していた井山六冠が国産AIの囲碁プログラム「ZEN」に敗れていた。衝撃度は以前より薄れてはいるだろうが、名人の完敗は将棋界に激震が走ったであろうことが予想される。
 後日、渡辺竜王のブログを読むと、概略次の様に書かれていた。
 「PONANZAの平均悪手発生の確率は平均値で推定10%程度くらい。人間の悪手率は10%以上。これでは名人が会見で言った《その実力は棋士を超えている》になるんだと思います」
 囲碁でも将棋でも、AIはプロを超えたと見ざるを得ない。知性の分野でAIが人間を超えるとき、いわゆるシンギュラリティーではないがそれの疑似状況に思える。電王戦もこれがFINALとのこと。今後果たしてプロ棋士対AIの対決は行われるのだろうか。行われるにしても、PONANZAにプロが挑戦するという側面を帯びて来る。攻守ところが入れ替わった。
 名人は「第2局には勝算があります」と語っていた。520日に「姫路城」内での第2局は排水の陣に見える。


羽生の決断、叡王戦へ参加

2016年08月23日 | 将棋

 対戦前にはα碁への敵意を露わにしていた、囲碁最強棋士イ・セドルの完敗後の表情は晴れやかだった。記者会見で「α碁との対戦は心の先から楽しかった。α碁の手を見てこれまでの知識が正しかったかどうか疑問を抱きました。囲碁の世界をもっと極めたいと思います」と爽やかに語っていた。謙虚で、囲碁に向かう真摯な姿勢を感じて私は感動した。
 羽生曰く「将棋の世界でも過去の定跡が人工知能によって否定されています。でもそれは、終わりではなく新たな時代の始まりではないか。今回の取材で強く感じました」と語っていた。(写真:ハムサビに囲碁盤を贈呈するイ・セドル)


   (第5局を戦うイ・セドル)

 昨年から将棋のタイトル戦に「叡王戦」が加わった。一昨年まで、プロ棋士側5人とコンピュターソフトが対戦した団体戦の電王戦。それが発展し、叡王戦の優勝者と人工知能搭載の将棋ソフトとの対戦と、電王戦は変化した。
 第一回の叡王戦の優勝者山崎隆之八段は、電王戦でコンピュター側の優勝ソフト「ポナンザ」と戦い0勝2敗と完敗した。これ以外のタイトル戦は全棋士の参加が義務付けられているが、叡王戦のみはエントリー制で、参加希望棋士のみの参加。それでも大方の棋士は参加しているが、3冠保持者羽生も、竜王渡辺も、名人佐藤天彦も昨年はエントリーしなかった。それが今年のタイトル戦には羽生が参戦を宣言し、将棋界の大きな話題となっていた。

 
優勝すれば人工知能と対戦する可能性のある叡王戦。羽生は人工知能との対戦を辞さない決断をしたのだ。大川慎太郎著『不屈の棋士』では、羽生は昨年不出場だった理由を「タイトル戦のスケジュールが詰まっていたので、今回はいいか、という感じでした」と述べていた。それが一番大きな理由にしろ、棋界の最高位に位置するものとして、多くに考え巡らせたうえでの決断だったろう。今年は、その羽生が叡王戦のトーナメント戦を勝ち上がっている。(写真:対局中の羽生)
 羽生対ポナンザの頂上決戦が実現するかもしれない。私は羽生の英断に大きな拍手を送りたい。避けて通れない人工知能との戦いに自ら進んで出て行った背景には、人工知能の現場を見て来たことがあるような気がしてならない。イ・セドルの上記発言をも前向きに捉えたのではないだろうか。兎も角、羽生の叡王戦での戦いをじっくりと見続けたい。

 (本当は今日から北信濃の旅に出るはずだったが、台風の影響を避け、出発を一日延ばした。旅先でのブログ更新が可能かどうか不明だが、更新なきときはその環境に無かったと理解して下さい。26日帰京予定です)


佐藤天彦八段、新名人に

2016年06月07日 | 将棋
 天童市で行われていた第74期将棋名人戦七番勝負の第5局は、5月31日(火)、挑戦者の佐藤天彦八段が羽生善治名人に勝ち、通算4勝1敗でタイトルを奪取した。佐藤は初のタイトル獲得で、28歳の若さで将棋界の頂点に立った。
 もう1週間ほどの時間が経ったが、私が応援している3棋士の1人佐藤天彦が名人となれて大変に嬉しく、未だその余韻に浸り、再度棋譜を眺めたりしている。3月20日の、棋王戦第4局前夜の検分時に、直ぐそばで彼の姿を見たということもあり親近感が増していた。
 他に応援している渡辺明は竜王に復位し、広瀬八段も王位に就いたことはあったが、2人とも名人への挑戦権すら得ていないことを考えると、A級1年目にして8勝1敗で挑戦権を得て、更には巨人羽生に1敗後4連勝したのだから凄い。(写真:感想戦での新名人)
 
 今回の名人戦、特に2日目はiPadで、現在進行形での棋譜を見みながらプロの解説を読み、パソコン上では「ニコニコ放送」を観た。
 第5局を天彦八段が勝てば晴れて新名人になれると
思うと、ハラハラドキドキしながらの観戦。前日の封じ手直前の局面では羽生名人の方が指しやすく、挑戦者は封じ手に苦慮しているとも解説されていたので悲観していた。
 31日の午後に入り挑戦者が有利となり、名人に反撃の一手もあったようだが、その手は指されず、名人は1時間以上の持ち時間を残して終局となった。プロでもない私が戦況を書くのはおこがましいが、プロの解説では第2局で名人が即詰を逃した以降について、「第3局~第5局は、羽生精彩を欠き完敗」との評が載っていた。

 新名人の誕生はビッグニュースで各種新聞でも写真入りで報道され、彼の経歴や人柄も紹介されていたので、それらは新聞等に譲ることとして、ここでは、彼のこの9年間の順位戦での成績を記しておきたい。
 2007年 C2級で  6勝4敗
 2008年  C2級で  7勝3敗
 2009年 C2級で 5勝5敗
 2010年 C2級で  10勝全勝  C1級に昇進 この年17連勝を記録
 2011年 C1級で 8勝2敗    B2級に昇進
 2012年 B2級で 8勝2敗
 2013年 B2級で 10戦全勝 B1に昇進
 2014年 B1級で 10勝2敗  A級に昇進
 2015年 A級で   8勝1敗  名人位に挑戦し名人奪取
 2007年~2009年の3年間はC2級に停滞していたが、2010年からは毎年の様に、僅か2名(C2級は51名中3名)
の狭き昇級枠を潜り抜け昇進した。この間54勝7敗(勝率0.855)。プロ棋士としてデビューしても名人となるには最低でも5年はかかる。ここを9年で頂点に立った。他の棋戦での活躍も期待したい。

 (追記 このグログ投稿後、新名人と仲の良い3人の棋士による”天彦名人誕生を祝う会”があり、ここに私が好きな3人の棋士の揃った写真が紹介されていたので、その写真を追加。写真左より、佐藤天彦名人・渡辺明竜王・広瀬章人元王位。撮影は観戦記者大川慎太郎氏)
  

都高教退職者会総会に出席し、『日本と原発 4年後』を観る

2016年05月22日 | 将棋

 昨日の5月21日(土)は、私も幹事に名を連ねる「都高教退職者会」の定期総会だった。参加者は来賓も含めて30数名。開会が13時。この会終了後、原発学習会が予定されているので、14時終了を目指しての総会としたいと、議長菅さんはまず初めに断りをいれた。
 会長挨拶・来賓挨拶の後、2015年度の経過報告・決算報告。続いて今年度の活動方針・予算の提案。3人の方からの質疑の後、拍手で原案は可決された。
 決議案「原発の再稼働を阻止し、脱原発社会を目指す決議(案)」と「辺野古新基地建設・高江オスプレイパット建設に反対する決議(案)」を可決。最後に「総会宣言(案)」を私が読み上げ、これも拍車で可決。来賓挨拶・活動方針案・総会宣言などを共通して流れていた思いは、迫りくる参議院選挙で3分の2の議席を確保し憲法改悪を狙う、安倍政権の打倒を目指そうとの決意。その思いがひしひしと伝わって来る総会だった。
 続いて新役員16名が紹介された。新たに3名が加わっての16名での新体制。この2年間の退職者会の活動を下支えすることとなる。私もその一員で、幹事を引き受けてから早や4年となった。もう一期2年は頑張ろう。
 最後に平岡会長の音頭”団結頑張ろう”で目出度く幕。(写真:活動報告をする平岡会長)



 会終了後14時半から映画会と講演会。
 映画は『日本と原発 4年後』。
 実はこの映画『日本と原発』の続編。弁護士の河合弘之氏がメガホンを握ったこの作品は、最初の一年間で約1,000回(観客動員数約7万人)の自主上映がされるほどの大好評。その続編が『日本と原発 4年後』。ここ一年の大きな出来事(高浜原発差止仮処分、元東電役員の強制起訴など)、被バクの問題、テロと原発の問題、推進派(近藤駿介氏、木元教子氏)の言い分等を入れた。製作者曰く「日本の原発の全ての論点を論じ尽くしました。これを見た人は必ず脱原発を確信するようになります」と。ただ2時間の長編で、主として学校用に1時間ものに再編集したもの。
 映画は冒頭に浪江町請戸の現状が流れます。町民の怒り・悲しみ・憤りを感じ取った河合氏たちがこの映画を作成し、多くの人に伝えねばならないと感じた出発点が胸に迫ります。


 その後の講演会は河合氏の予定だったが、アメリカの兵士が提起した「被曝米軍兵士が東電などを提訴」した問題で、聞き取りの為渡米。代わりに「脱原発弁護団全国連絡会」の事務局長で弁護士の只野靖さんが講演。弁護士だけあって、主眼点は原発再稼働を巡る裁判。主論点は”基準地震動は過小評価ではないか”。この講演の記録は私の役目。録音をし、Power Pointで映し出された全画面を撮影した。昨日の今日なので内容のまとめが出来ていない。この点は後日に回します。(写真:講演をする只野靖氏)

 (映画『日本と原発』のHP はhttp://www.nihontogenpatsu.com/ から)