一昨日から昨日にかけて、新聞・テレビ・ネットなどでは“羽生”の2文字が溢れんばかりだった。
フィギュアスケートの羽生君は五輪連続の金メダル。昨年11月の右足関節の大けがを乗り越えての頂点。おめでとう。(写真:表彰台での三人) 将棋永世七冠を達成し、国民栄誉賞も受賞した羽生さん。素晴らしい。残念ながら「朝日杯将棋オープン戦」準決勝で藤井五段(その対戦時)に敗れた。(写真:激戦後の二人)
その日の「有楽町朝日ホール」は約600人の将棋ファンで埋まったそうな。私も世紀の一戦を是非観戦しようと、2月1日だったか、インターネット申し込み解禁時刻から何度も申し込みサイトにアクセスしたが、チケットは遂にゲット出来なかった。
止む無く当日は自宅でタブレットでAbemaテレビ観戦し、 傍らには「iPad mini」を置き、将棋連盟のモバイル中継で棋譜を眺めていた。リビングでは妻がフィギュアスケートを観戦。私はテレビを横目でチラチラ見ていたが、最終組が登場すると気もそぞろになり妻に合流。はらはら、どきどきしながフィギュアスケートフリーを観戦した。目まぐるしい一日だった。
藤井少年はついに全棋士参加のタイトル戦で優勝し、規定により六段に昇段し、六段昇段の最年少記録をも塗り替えた。五段は僅か16日間だった。
藤井六段の将棋は出来る限りリアルタイムで棋譜観戦している。贔屓にしている棋士が勝つたびに嬉しくなるのだが、それを越えて毎回驚きがあるのだ。解説のプロから、あるいは控室で検討中の棋士達から「え~」と驚きの声が上がる一手・一瞬があるのだ。 昨日の決勝戦の対広瀬八段戦でも出た。右がその一瞬の☗44桂。
渡辺棋王のブログにはその一手に触れた感想が書かれていた。「(藤井五段の)決勝の▲44桂は、(かつての)18歳羽生竜王の▲52銀に匹敵する、語り草になる手だと思います。自分もテレビで見ていて思わず声が出ました」と。(右写真:絶妙手と絶賛された 下図はその手の一手前に広瀬八段が指した手)
指
雑誌「将棋世界」を昨年8月号から買い始め、大崎善生著「神を追いつめた少年」を読み続けている。そこでもその驚きの一手が紹介されることがある。勿論、棋譜観戦時には私にはその手の意味は難解で理解が難しいことが多いが、その一手が“超難問パズル”の解決に似ているように思える。単に勝つから嬉しいを越えて、超難問を解決しているのをリアルタイムで観戦しいる感じだ。後刻、大崎著作でそれを知って感動した対局が幾つもあった。
超怪物君が現れたのだと思っている。超難問パズル解答者の活躍を今後見続けられればと思う。
戦いを終えた後の羽生さんの言葉が良い。「・・・間違いなく藤井さんはタイトル戦に出ると思うが、そこに私がいるかどうかが問題です」。タイトル戦での天才と怪物君の対戦を熱望している。
最後に怪物君が絶体絶命から生還し、勝利した局面を記しておきたい。
藤井聡太四段 vs. 澤田真吾六段 第43期棋王戦予選。既に藤井四段の玉に”必死”がかかっていて、最下段に藤井四段の玉がいる。下図はその局面から藤井四段が指した手。