今年は道内で羆に襲われる事件が多い。本州はツキノワグマだがどうなのだろう。
竜飛崎からの日本海沿岸自転車旅で“熊出没注意!!”の看板の立ったキャンプ場に泊まったことがあった。初めてのことだ。
“熊出没注意 !!”
携行する「ツーリングマップル」が古いせいか、適当なキャンプ地が見つからないまま35℃の猛暑の中を鶴岡から70Km以上走って新潟の手前の村上市まで来た時のこと。
あちこち探し回るのも面倒になっていたので観光協会に電話してみた。すると10Kmほど新潟方向にある「荒川」沿いに市の管理する無料のキャンプ場があるとのこと。
近くのスーパーで食料を買って1時間ほど走ると河川敷公園のようなところにキャンプ場らしき施設が見えた。
堤防道路を降りて入り口にさしかかってたじろいだ。「この付近で熊が目撃されました」との看板。炊事場もトイレもあり、芝生も綺麗だ。
スマホで確認すると「水辺の楽校」とある。先客はいない。
迷ったがもう適当な場所を探す気力も薄れていたので腹を決めた。
食べ物の残渣をテントの外に置かない、
時々自転車のベルを鳴らす、
堤防道路は集落の生活道路になっていて車がよく通る、
看板はやや古くて何時の事か分からない、
観光協会も注意喚起していないから最近の事では無い、
あれこれ決断を納得させることを頭に並べてテント設営にかかったらワゴン車で旅をしているオヤジさん二人連れが来た。看板のことはたいして気にしていない。そうか車泊か。それでも心強い。
この日の夜は生寿司弁当で乾盃した。新潟まであと1日、ゴールの前祝いだ。
それにしても村上市は大胆だなぁ。使用禁止にするか、古い話なら看板を撤去するか。何せ“楽校”だよ。などとビールを呑みながら思った。
家にはこのことを知らせずに早めに寝た。
翌朝、キラキラした太陽が何とも眩しかった。
人間には物事を都合の良いように考える「合理化」の精神構造がある。
何も無くて良かったが、時として判断ミスに繋がる。
2021.8.1