連日トランプが世界を引っ搔き回すニュースにウンザリだが、この国の国会が静かなのはどうしたものか。
少数与党を嘆きつつ、自民党は国会の裏で一部野党と取引し、国会は予定調和〝熟議〟のセレモニー会場と化してはいないか。
緊張感の無い石破首相とのコンニャク問答を聞いていてそう思う。
政治資金規正法違反(虚偽記載)で有罪判決を受けた安倍派の事務局会計責任者である松本淳一郎氏の衆院予算委員会への参考人招致は象徴的だ。
立憲の安住予算委員長は、委員会が野党優勢であることから職権で採決に踏み切り、招致が決定されたが、松本氏に応じる気配は無い。
分かりきっていたことで、野党主導の予算委員会をアピールする空しいセレモニーに見えた。
石破首相は、「民間人であること」、「検察の捜査が終わっていること」を理由に慎重姿勢(=招致しない)だが、松本氏は、自身の政治資金規正法違反の裁判で「ある幹部から(キックバックを)続けることになったと告げられた」と証言した。松本被告は自民党安倍派の幹部協議に同席していたのである。
これまでの政倫審での幹部協議出席者の弁明は「キックバックがどのように再開されたか分からない。」というものであり、明らかに食い違いがある。
参考人ではなく強制力のある証人喚問が必要なくらいの核心の「新たな事実」である。
ところがである。
何故か立憲は「証人喚問」に踏み込まない。裏金事件の古くからの経緯を知っているとみられる森・元首相に話が及び、災いが我が身に及ぶのを避けようとしているのなら同じ穴の狢ではないか。
国会が始まる前は疑惑解明に威勢が良かったが、結局は裏金事件の「いつから」「誰が」「何のため」が分からず仕舞いでズルズルと2025予算の国会審議に応じている。
国会対策を長らくやってきた安住予算委員長は〝落としどころ〟を探ぐる性癖が浸み込んでいるようで、103万円の壁しかり、高校教育無償化しかり、同じような予定調和がこの後も続くだろう。
〝政治とカネ〟の問題で立憲は臨時国会で企業・団体献金禁止法案について3月末までに結論を得ることで自民党と合意している。
本当に政権交代を目指しているのか、この先、国会を止めるくらいの迫力を持って臨んで欲しいものだ。