熊本から福岡へ輪行を予定していた2016年4月15日は前夜の『2016熊本地震』の発生で交通機関はマヒ状態に陥った。
さて、どうしようか。熊本にもう一泊しても交通体系が改善される保証は無い。思案投げ首の時に福岡にいる息子から「大牟田から福岡までの西鉄は動いているよ」とのメールが入った。
熊本から大牟田までは50Km。そうだ、“自転車”があるではないか!
幸運にも海岸線のR501は道路被害情報も無く、通行止めも無かった。
R501は損壊した九州自動車道からの長距離トラックが流れ込み混雑していてどこのコンビニも棚からオニギリ、飲み物などの食品が全て消えていた。
休憩している大型車の運転手に「自転車ごと福岡に運んで貰えないか」と訪ねると「荷物が空だと乗せられるのだが」との返事。心配してくれて有り難かった。
途中のちゃんぽん店に昼食で入ると新聞の一面が熊本地震で埋まっていた。改めて自然のエネルギーの大きさを認識した。
どうにか大牟田から西鉄に乗りホッとした。夕方に福岡に到着した。
福岡では九州交響楽団の演奏会を聴くことにしていたので合流した妻と泊まったホテルで未明に『本震』の揺れを体験した。
熊本で経験した「余震」に比べれば福岡は離れていて中程度に思えた。震源が少しずつ活断層の線上を動いているとのニュース解説が流れていた。
二日間で人生最大の地震を体験した。千島列島であれ、東京直下であれ、東海沖であれ、もう経験したくない。
九響の演奏会はアクロス福岡シンフォニーホールで予定通り開催された。翌日は息子夫婦に玄界灘に突き出た糸島半島の芥屋海岸を案内してもらい1泊。
妻は帰道し、私は福岡の沖合の壱岐に渡った。3日間の予定で一周するためだった。
「壱岐」と3年後の2019年に訪れた「対馬」の自転車旅はいつか一緒に纏めることにして、『 私の自転車旅物語 2016』-九州の旅-はこれで終了とします。
《ボロボロになった「トカラ列島から福岡」の自転車旅計画》
《福岡名物の「もつ鍋」と「とんこつラーメン」(一蘭本店) 写真は2016.4..15~19》