新型コロナウイルス対策の中小企業・個人事業者・フリーランス向け現金給付事業を国から受託した「サービスデザイン推進協議会」なる一般社団法人が事業費から20億円を中抜きし、業務の殆どを構成団体に丸投げしていたことが分かった。
推進協議会は〝元請け〟となって、電通、パソナ、トランスコスモスという3社に事業を分配するトンネルペーパー法人だったのだ。週刊文春が報道し、国会追求が始まった。政権の膿は底知れない。
769億円の給付事業の大半の749億円を電通に再委託し、差額の20億円が推進協議会に入る仕組みだ。電通からさらにパソナ、トランスコスモスに再々委託。何と、これらの会社は推進協議会の構成メンバーなのだから形を変えた談合であり、何をか言わんやである。
この推進協議会は2016年5月に経産省肝入りの『おもてなし規格認証事業』の公募が始まると同時に設立されている。それから約4年の間に経産省から受託した事業は、14件、総額1,576億円にものぼるという。
うち7件が電通グループ、2件がパソナに再委託され、残り5件も大半を外注という。電通をヘッドとする経産省の事業に組み込まれた巧妙な談合システムではないか。「桜」もそうだったが、アベ政治ではこうした不透明な税金の使い方がまかり通っている。
国が直接電通等と入札契約すれば済む話で経費も抑えられる。推進協議会が全体の統括と給付金の振り込み、電通がコールセンターや申請受付業務等の管理・広報等を分担しているというのだから、給付までに時間がかかるわけだ。
他にも不透明なことがある。給付事業が組み込まれた第1次補正予算案が閣議決定されたのは4月7日、経産省が事務事業の入札の公募をはじめたのが翌8日であるにもかかわらず、件の推進協議会が「jizokuka-kyufu.jp」というドメインを取得していたのは、閣議決定の前日、4月6日だったという。受注が事実上決定していたということだ。
事実、競争入札の前に中小企業庁が推進協議会とヒアリングを行っていたことが国会質疑で判明した。入札が公平・公正に行われていたのか疑わしい。